刺青和彫 3 | 黄色い涙〜Storm〜

黄色い涙〜Storm〜

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黄担当で大宮をひどく拗らせてお話書いてます(。-ㅅ-。)
はじめましての方はテーマ→蓮のトリセツの必読を!


物語の最初はこちら





先にこちらをお読みください














※妄想中







3 和也






版画 ━━━





智兄の綺麗な指が手が

その絵に触れていく


集中すると

何時間だって

そこにいる


こんなに近くにいるのに…


指が、手が、腕が

墨で黒く汚れていくのに

絵は

どんどんと艶を増し

その姿をあらわしていく


ふぅ


智兄の吐息、息遣い

優しい眼差しは

その絵に向けられる


流れる汗を

拭くことも忘れる智兄


手ぬぐいを取り

そっと

その額を、項を

拭ってあげる


「汗、出てるよ」


「お、ありがとう」


智は

自分で汗を拭おうとするから


僕はそれを

制止*し汗を拭った


やめて

あの絵に触れた手で

拭わないで


智兄の汗に触れられるのは

僕だけなんだから…


バカみたいに

絵に嫉妬する自分


そんな僕の心なんて

気づかずに

僕に止められた手は

そっと

頬に触れ


「あぁ、そうか…」


ブツブツと

また

独り言のように

言いながら

またその手は絵の向かう


ふふ


絵に嫉妬したところで

僕に触れるその手は

どうにも

優しい…


僕の勘違いかもしれないけど

優しく触れらその手を

こそばゆく感じて

ドキドキしながら


「仕方ない人」


また

僕にしか拭えない

智兄の汗を拭いた


そんな智兄を

ずっと

飽きもせず

眺めていた


「うん、いいな」


一段落ついたのか

ゆっくりと

腰を上げて


「汗すげぇ〜からちょっと水浴びしてくるわ」


「あ、うん…」


智兄の汗を拭ってから

随分と時間がたってるというのに


智兄は当たり前に

僕が隣にいると思って

自然と僕に話しかけてきた


「よっこいしょ」


うーんと

伸びをしたあと


立ち上がり際に

また

絵をみて

そのまま部屋を出ていった





※赤ずきんさんの絵








続く






次は和子ちゃんのお部屋

11時26分