刺青和彫 2 | 黄色い涙〜Storm〜

黄色い涙〜Storm〜

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黄担当で大宮をひどく拗らせてお話書いてます(。-ㅅ-。)
はじめましての方はテーマ→蓮のトリセツの必読を!

物語の1番最初はこちら






先にこちらをお読みください
















※妄想中









2 和也






梅雨 ━━





周りで

蛙の鳴き声が聴こえ

蒸し暑く

時折

雨が降る季節がきた





※ララァさんのお写真





僕たちの店は

吉原では珍しく

引手茶屋を間借りして

書店を開いている

智は版画や彫り師をしており

僕が店の経営をしている


主が亡くなってからは

雅紀の父親が茶屋を

引き継いでくれた


そのおかげで

いまでも店を続けさせてもらえている


智兄への恋心に気づいたからといって

どうすることもできず

相変わらず

コソコソと

智兄のことを想っては

悶々とさせ

"好き"という

純粋な心とは裏腹に

体は正直で

智兄のことを考えては

ひとりで欲を吐き出すことしか

できなかった








「はぁ…暑すぎでしょ」


うちわをパタパタさせるが

どーにもこーにも

耐えられない


「ちょっと、休憩しよう」


早朝に雨が降ったにもかかわらず

涼しさよりも蒸し暑さが勝っていた


表に"休憩します"と札をさげて

少しだけ

休憩しようと

店の奥に引っ込むと

智兄の姿がみえ

話しかけようとした


だけど


「はぁ…またあの絵」


僕は独りごちてから


ガタンっ

ドタンっ

バタンっ


ドスドスドス


僕は

わざと大きな音を立てて

扉を開け閉めし

ドンっドンっと廊下を歩いて

智兄に近づくが


智兄は

まったく微動だにせず

こちらに気づく気配もない


智兄は随分と前から

ある絵に夢中なのだ


主が千葉の絵描きさんから

預かったとされてる美人画


かつて"伝説の花魁"と呼ばれた美しい人が

そこにいる


わかる…わかるよ?


僕だって

あの絵の人は

美しく綺麗だと思う


だけどさ?

こんなに大きな音を立てて

隣に僕が座ったっていうのに

声をかけてもうわの空


この絵の人は

もうこの世にいないとわかっていても


現実の世界で

僕が智兄に恋心をもっていようと


この絵には

敵わないのだ…




※赤ずきんさんの絵






続く








次は和子ちゃんのお部屋

11時26分