お気楽な片思いを楽しんで
本当の幸せは見えていなかったころの話です。
職場のTくんに
おいしいお菓子を
あげていました。
お菓子をあげて
仲良くなりたくて。
お菓子をあげて
好きになってほしくて。
お菓子をあげて
気に入られたくて。
お菓子をあげたら
車の助手席に
乗せてくれるんじゃないかと
期待して。
お菓子にそんな威力ない。
お菓子にそんな魔法はない。
お菓子をもらって
「ありがとう」
と笑顔で言われる。
それだけで
良かったはずなのに
お菓子に見返りを期待していた私。
おかしな話でしょう?
あるときに言われます。
「どうして僕にお菓子をくれるの?」
「僕に見返りを期待しているの?
見返りを期待するぐらいならしない方が良い」
「僕だけじゃなくてみんなにあげたらどうかな」
「僕に何を求めているの?」
本当は好きになってほしいだけ。
ただそれだけ。
「分かった!
君ってお人よしなんだね!
人が良いんだよ。
これほめてないよ。
良い人ってだけで終わるよ。
本当にそれで良いの?」
良くない!
良いわけない!!
でも言えなかった。
ここで終わりにしたくなかった。
だから
ただ笑って
「嫌だけど分からない」
って
言うのが精一杯。
「不思議ちゃん」
とあきれられたけど。
あのとき
「あなたが好き」
って言ってたら
きちんとフラれて
終わっていたのかな。