「親は認知症で、もう誰が誰だか分かっていませんから。会っても意味がありませんよ」
高齢親の囲い込みにおいて、認知症は非常に「便利な理由」として使われることがあります。しかし、認知症であることを理由に他の家族との交流を断つことは、親本人の尊厳を傷つけ、さらなる孤立を招く危険な行為です。
今回は、認知症を理由にした排除がなぜ問題なのか、その危うさについて考えます。
「分からない」という決めつけ
認知症が進行すると、確かに名前を忘れたり、関係性が曖昧になったりすることはあります。しかし、「誰だか分からない」=「会っても意味がない」というのは、周囲の勝手な決めつけに過ぎません。
たとえ名前が出てこなくても、懐かしい顔を見ること、聞き慣れた声を聞くこと、手を握ること。それらを通じて得られる「安心感」や「心地よさ」は、感情の記憶として親の中に残ります。理屈での理解は難しくなっても、心の交流は最後まで可能なのです。
排除の口実にされる認知症
囲い込みを行う側にとって、認知症は「面会を拒否する正当な理由」に見えます。
「会わせると興奮して、後で介護する私が大変なんです」
「本人が、もう誰にも会いたくないと言っています(本人の意思確認が困難なことを利用)」
「病状が悪化するので、刺激を与えないでください」
これらの言葉は、一見すると親を思いやっているように聞こえます。しかし、その実態は、親を自分の管理下に置き続け、他の家族の目を遠ざけるための壁になっていることが少なくありません。
認知症だからこそ、開かれた関係を
認知症の親を支える上で最も大切なのは、多角的な視点です。一人の家族だけが親と接していると、その人の主観や感情が「親のすべて」になってしまいます。親が本当に望んでいることは何か。今のケアは適切か。それらを客観的に判断するためには、他の家族や専門職との開かれた関係が不可欠です。
認知症は、親を社会から切り離す理由にはなりません。むしろ、認知症という困難な状況にあるからこそ、多くの人の手と目で見守り、親がこれまでに築いてきた人間関係を維持することが、本人のQOL(生活の質)を高めることにつながります。
面会制限の妥当性を問う
もし、認知症を理由に面会を拒まれているなら、以下の点を確認してみてください。
1. 医師の診断や指示はあるか(医学的な根拠があるか)
2. 施設や病院の公式な方針か(一部の家族の独断ではないか)
3. 代替案(オンライン面会、手紙、写真の送付など)は検討されているか
認知症は、その人の人生のすべてではありません。名前を忘れても、言葉がうまく出なくても、その人はその人であり、家族との絆を断ち切られてよい理由にはならないのです。
親を守るとは、親の「世界」を奪うことではありません。認知症という霧の中でも、親が自分らしく、愛する人たちとのつながりを感じていられるよう、周囲が環境を整えること。それが本当の意味での介護であり、支援ではないでしょうか。
プロフィール
高齢親の囲い込み解放コンサルタント 白岩俊正
白岩会計事務所 代表/公認会計士・税理士/株式会社みらい 代表取締役
〒422-8005 静岡市駿河区池田616-2パレス葵102
お問い合わせはまずはメールで release.advisor@gmail.com
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