高齢親の囲い込み解消コンサルタント 白岩俊正、公認会計士・税理士です。

 

高齢になって認知症や病気が進んで判断力や思考力、行動力が落ち子どもたちの介護を受けるようになった親を、子どもたちの一人が囲い込み、他の子どもたち(きょうだい)に会わせないようにしている方のご支援をしています。

 

 

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「私のほうが親を大事にしてるのに」という思いが苦しみを深める

 

「私のほうが、ずっと親のことを思ってるのに……」
「なぜ、あのきょうだいが親を囲い込んで、私は親に会えないの?」

 

私のもとには、そんな切実な声が日々届きます。
 

親が高齢になり、認知症や介護が現実となったとき、きょうだい間の関係が一気に崩れはじめる──これは、少しも珍しい話ではありません。

 

この記事では、親を囲い込まれて会えない状況にある方に向けて、「自分は親を大事にしているのに」という想いが、どうして苦しみに拍車をかけてしまうのか。その背景と、そこから少しずつ心を軽くするための視点をお伝えします。

 
 

 

「親を思う気持ち」は誰にも奪えない──でも、苦しみの正体はそこではない

 

たとえば、あなたが長年にわたって親の病院の送迎や金銭面の援助をしてきたとしましょう。
親の気持ちを大切にし、感謝されなくても献身的に尽くしてきた。

 

それなのに、ある日突然、別のきょうだいが親と同居を始め、外部との接触を制限し、電話も通じず、面会も拒否されるようになった──そんな状況に置かれたら、誰しも怒りや悲しみを感じるのは当然です。

 

とくに、「私のほうが、親のことをちゃんと考えてきたのに」という思いがある人ほど、納得のいかない気持ちは強くなります。

しかし、その「正しさへの執着」こそが、心の苦しみを深くしてしまうのです。

 

 

「正しさの感情」は、解決ではなく分断を生むことがある

 

心理学では、こうした状態を「正義の苦しみ」と呼ぶことがあります。
 

自分の価値観や信念に照らして「自分のほうが親思いだ」と思えば思うほど、相手のやり方が許せなくなり、「間違っているのはあの人だ」という怒りが増幅されていくのです。

 

このとき私たちは、感情的には「親を守りたい」という純粋な気持ちを出発点にしているのに、いつのまにか「親を囲い込んでいるきょうだいを責めたい」という方向へと心が変化していきます。

 

すると、どんどん視野が狭くなり、冷静な判断ができなくなってしまう。
実際の問題解決や対話の糸口が遠のき、逆に法的な対立や感情のこじれを深める結果にもつながりやすいのです。

 

 

 

「親を思う気持ち」こそがあなたの財産

 

では、どうすればいいのでしょうか。

それはまず、「自分がどれほど親を大切にしてきたか」を、他人に証明しようとするのをやめることです。
この言葉は、冷たく響くかもしれません。でも、本当に大事なのは──

 

あなたが親を大事に思ってきたという事実は、他人に承認されなくても、すでにあなたの中にしっかりと根を下ろしている、かけがえのない“財産”なのです。

 

この財産は、奪われることも、否定されることもありません。
そしてそれは、親がたとえ今、別のきょうだいの影響下にあり、あなたに会えない状況にあっても、消えることはないのです。

 

 

比較しないことが、心の自由を取り戻す鍵

 

「私のほうが親を大事にしている」と思う気持ちは自然です。
 

しかし、それが「だから、きょうだいのやり方は間違っている」「親も本当は私に感謝しているはずだ」という方向に行きすぎると、ますます心は縛られていきます。

 

比較しないこと。
証明しようとしないこと。
自分の価値は、親への“行動”ではなく、その“思い”に宿っていると信じること。

 

これらを少しずつ意識することで、心の余白が戻ってきます。

 
 

 

実際の事例から見える「思い」の効力

 

ある50代の女性の事例です。

彼女は長年、母親の病院付き添いや食事の準備をしてきました。
 

しかし、弟夫婦が母と同居を始めたことで、突然連絡が取れなくなり、施設に入った後も面会を断られ続けています。

「私がどれだけ母に尽くしてきたか、誰もわかってくれない」と涙ながらに語ってくれました。

 

でも、彼女はある時こう気づいたのです。
 

「母と過ごした記憶は、私の中にちゃんと残っている」
「母のために動いた時間は、嘘じゃない。母もきっと覚えてくれているはず」

 

それからは、法的な手続きを必要に応じて進めつつも、心の中では怒りよりも「感謝と祈り」を大切にするようになりました。
 

「母に会えないことはつらいけれど、私は今も母を愛してる。それでいい」
 

そう話してくれた彼女の表情は、どこか凛としていました。

 

 

 

「正しさ」を手放すことで、見えてくるもの

 

親との関係性は、たとえ会えなくなっても、あなたの心の中で続いていきます。

 

だからこそ、
「私のほうが親を大事にしてるのに……」
という思いに囚われすぎないでください。

 

それは、あなたの愛が深いことの証ではあるけれど、あなたを苦しめてしまう「刃」にもなり得るからです。

 

正しさを他人に主張するよりも、親への想いを、自分自身が静かに認めること。
その積み重ねが、あなたの心の回復を助けてくれます。

 

 

最後に──会えないからこそ、伝え続けてほしい

 

親に会えない今も、あなたの心の中には、確かに親への想いが生きています。

 

それは、たとえ直接会って言葉を交わせなくても、手紙を書くことや、日記に思いを綴ることでも伝わります。
 

親子の絆は、物理的な距離ではなく、心の通い合いで育まれるものです。

「親を大事に思っている」
その気持ちは、あなたがこれからも大切に育てていく人生の指針です。
どうか、自分の心の中のその光を信じて、少しずつ前に進んでいってください。

 

 

ブログのご紹介

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2. 高齢親の囲い込み 解放アドバイザー  ~ 介護が必要になった高齢親が自分以外のきょうだいに囲い込まれて会えなくなった方へ~

3. 家族心理学・家族療法スクール オンライン ~ 家族関係に悩む方や支援職のための学びの場。家族との距離の取り方や関係性の見直しに役立つ知恵を、心理学の視点から発信

 

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