キヤノンのDemi EE17 です。
前回四台をまとめて修理したうちの四号機です。
実は参号機と四号機の露出計の精度に問題がある事が発覚したため、まずは四号機を再び分解して修理する事になりました。
今回は四台で撮影したフィルム四本をまとめて現像に出すためにどれが何号機のフィルムか判るようにとテスト撮影に出かける準備として
各フィルムの最初に1, 2, 3, 4, といった番号を撮影していました。
当然撮影時には露出計でF値を確認してから逆光気味の為+1.0オーバーになるように撮影していたのですが、壱号機と弐号機はF5.6とセコニックの単独露出計と同じだったのですが参号機と四号機はなんとF11.0の値を示してしまいました!
ナンジャコレ?
というかこれってもう一度修理が必要になるよ。
テスト撮影がまたもや遅れてしまう。。。
参号機は既にフィルムを挿入してしまったため後で分解するとしてまずは四号機を冒頭の画像のように分解して露出計の再調整を行うことにしました。
この時に中古の電池(1.505V)を使ってF5.6になるように調整しました。
が、再調整前の撮影時は壱号機と弐号機と同じ新品の電池(1.551V)を使っていました。
なぁ~んか嫌な予感がしたので改めて新品の電池を挿入したら再びF11.0の値を示してしまいました⤵⤵⤵
(この時にある一つの事が頭の中をよぎっていました)
不思議というか異常に思って壱号機と弐号機に中古と新品の電池をそれぞれ交互に挿入してみると中古であれ新品であれ双方ともにF5.6を示しました。
という事は壱号機&弐号機と参号機&四号機では何か違いがあるという事になるでしょう。
それで私は先程頭の中をよぎった『ある事』が原因ではないかと考えるようになりました。
その『ある事』というのがこの画像です。
少しスモークがかったこの遮光フィルムの様なものが実は露出計のcds素子の前に二枚入っていたんです。
この遮光フィルムの様な物の存在は組上げ完成後に床に落ちていたのを発見してその存在を確認したのです。
ですから『まぁ、こんなのサングラスみたいなものだろうからこれが無くなって光量が増加した分可変抵抗器で調整すればよいだろう』と判断してこのサングラスの様なフィルム無しで可変抵抗器で調整したのです。
三号機と四号機の露出計を分解した時にはこの遮光フィルムの存在を認識していたので二枚共にcds素子の前に挿入して組み上げました。
壱号機&弐号機と参号機&四号機で露出計に関わる違いというとこれしか考えられません。
ということで部品取り機の露出計からこのフィルムを取り出して参号機と四号機の露出計をもう一度分解してから挿入ます。
と思ったのですが、四号機は分解&修理時に基本的に露出計本体には手を付けていなかったんですね。
電池室と露出計を繋ぐマイナス側の配線だけを新品に引き直しただけだったようです。
ですので分解してみたらcds素子の前には遮光フィルムが入っていました。
それと中古の方の電池の電圧をもう一度確認してみたら1.505V ⇒ 1.347V へと電圧が下がっていました。
おそらく検査中の何処かの段階で電圧が一気に1.505V ⇒ 1.347Vに電圧が下がってしまい電池を入れ替えるとF値が大幅に違ったのではないかと思います。
なので今後は新品の電池のみで検査・調整を行っていきます。
気を取り直して再び四号機の露出計の検査をしてみると明るい場所での精度はほぼ問題無いのですが、どうも暗い場所でのF値つまりF4.0以下で+1.0位になってしまうようです。
これはcds素子そのものに問題があると思われます。
最近たまたま部屋の中で部品取り機をもう一台発見しましてコレの露出計がとても元気そうだったので移植する事にしました。
その結果おおよそ±1.0程度まで追い詰める事ができたのでこれで良しとして組み上げていく事にしました。
その後またもや精度に難が有ったというか可変抵抗器の導通不良のために再び分解してコイルを交換しました。
その結果最終的には露出計の精度がセコニックの単独露出計と較べて±0.5程度になりました。
さてお次は参号機です。
こちらも改めて露出計の精度を検査してみたのですが、こちらは暗い場所での精度はほぼ問題無いのですが、どうも明るい場所でのF値つまりF8.0以上で+2.0位になってしまうようです。
参号機は何回も露出計の分解&組立を繰り返して最終的に『サンコイチ』にしたのでほぼ確実に『遮光フィルター』がcds素子の前に入っていないと思います。
ですのでまずは露出計を取り出してから分解して『遮光フィルター』を挿入します。
露出計の精度の為というよりも本来入っているべき部品が入っていないというのが非常に不愉快です。とても気に入りません。
参号機は極上コンディションのレンズを搭載しているのですから露出計も欠品が無い極上の状態にしてあげたいです。
フィルムを装填してしまってから露出計の問題が露呈してしまったため、フィルム装填室の蓋を開けてしまったのでフィルムの何枚かが無駄になってしまいました。
と言ってもテスト撮影ですからせいぜい30枚も撮影しないので全く問題ありません。
露出計からcds素子を取り出してみると驚いたことに中には右側の薄い色のフィルムが一枚入っていました。
元々は二枚だったはずなので左側の濃い色のフィルムを追加挿入します。
遮光フィルムをcds素子の前に挿入してから露出計を組上げてボデイに取り付けます。
取付後に配線を結線してから露出計の精度を微調整しました。
遮光フィルムを挿入した効果なのでしょうか非常に容易く正確に精度を調整できるようになりました。
その結果セコニックの単独露出計と較べて±0.5以下のほぼドンピシャとなりました!
まさしくレンズのコンディションに相応する精度に仕上げる事ができました。
後は組上げるだけですがその作業工程は何度も記事にしていますので割愛させていただきます。
これでようやくテスト撮影を行えそうです。
今迄は露出計の調子が悪い時は露出計ユニットを丸ごと交換していたので今回のように遮光フィルムを挿入し忘れる事はありませんでした。というよりも遮光フィルムの存在そのものを認識していませんでした。
もう何度も何度も繰り返して露出計の分解と組立を行いました。
部品取り機もただ分解するのではなく使わなくなった露出計を取付けて再び組上げています(そうしておかないと部品取り機として今後も活躍できない)のでとんでもない回数の繰り返しになります。
とはいえ組上げ後に遮光フィルムの存在に気付ながらも再分解するのはは面倒だからと『まぁ、こんなのサングラスみたいなものだろうからこれが無くなって光量が増加した分可変抵抗器で調整すればよいだろう』などという自分勝手で傲慢な判断の結果による見事なまでの手痛いしっぺ返しを受けたことになります。
例え在っても無くてもどうでもよさそうな部品であってもそれは設計者が必要と感じたからそこに存在するわけです。
自分勝手な愚かな判断で組み立てるのは良い結果には繋がらないという事を今回は痛感して反省させられる出来事でした。