キヤノンの Demi EE17 弐号機です。

 

 

露出計の光センサーであるcds素子が電池の液漏れによって腐食してしまい正常に動作できない状態に陥っている個体の割合が意外にも多いのに驚きました。

今迄露出計の動作が不動の場合はユニットを丸ごと交換していたためにこの事に気が付いていなかったんですね私は。

 

 

繰り返し繰り返しの格闘の末ようやくまともに動作しそうなcds素子に換装できたみたいだったのですが日没により精度の確認調整が出来ませんでした。

本日午前中に作業を再開してようやく精度を出す事に成功しセコニックの単独露出計と比較して±0.5程度まで追い込むことに成功しました。

ただ作業再開当初に電池を挿入しても針が全く動きませんでした。

どうやら電池と露出計を繋ぐ配線の電線のハンダ付けが不良だったために導通していなかったようなので改めてハンダ付けをやり直したらキチンと動作するようになりました。

しかし心配な面がまだあるため今から数時間放置してから露出計の動作の再確認をしてみます。

 

 

という事でその間にフィルム室の蓋の開閉用の爪のカバー(赤色矢印の部分)がグラグラしていますのでこれを治します。

 

 

革を剥がすと二本のネジが出てきます。

これを増し締めします。

 

 

増し締めが完了したら革を接着剤で貼り付けて完了です。

 

 

次にフィルム室の蓋なのですが赤色矢印の部分に傷があります。

 

  

 

この様に凹んでいるというか擦られて傷ついて削れているような感じです。

メラミンスポンジで丁寧に磨いたのでここまで目立たなくなりましたが、最初はこの削れたような細かい線傷の一本一本に汚れが染みこんでいました。

 

 

それと蓋にはシリアルナンバー(製造番号)が入っています。

交換してしまうと番号が変わってしまいます⤵⤵⤵

という事でこのオリジナルの蓋を再使用して取り付ける事にしました。

 

 

それでも時間が余ったので厨房に赴きお米を洗って炊いて、三浦大根の煮もの鍋Ver2に火を入れます。

前回のVer1の残った煮汁をベースに出汁を継ぎ足して大根を煮込んだものです。

それにオプションとなるさつま揚げやがんも、揚げボールを加えてグレードアップします。

 

 

中でもこの『玉ねぎボール』が私の大のお気に入りです。

7個で110円と値段もまぁまぁなので有難いです。

これらを鍋に投入してから火を入れて沸騰させないようにしなが2時間程度加熱したら火を止めます。

火を止める事により温度が下がるとこれらオプションたちに味が染み込むので今夜の晩ご飯のおかずに最適になるでしょう。

ただし加熱&冷却を何回も繰り返すと練り物の旨味が鍋の汁に全て溶けだしてしまってスカスカになってしまうので注意が必要です。

 

 

さて、作業場に戻りもう一度弐号機の露出計の動作確認&チェックを行いました。

問題無くキチンと動作をしてくれたので安心して絶縁テープを貼り付けます。

 

 

軍艦を載せてモナカを取付けました。

 

 

モルトを貼り付けました。

後期型にはこのモルトの存在が無くなるので意味ない様な気もしますが…。

 

 

革を貼り付けてタイマーレバーを取付けmした。

そしてタイマーの動作を確認したら。。。

ナ、ナント!シャッターが切れないじゃぁないですかぁ⤵⤵⤵

ここまで組上げて.....それはないでしょう⤵⤵⤵

 

 

タイマー機構の微調整をしてシャッターが切れるようにしなければならないのですが、

タイマー機構にアクセスするためには前板をボディから取り外さなければなりません⤵⤵⤵

結局画像のように再び分解する事になってしまいました。

微調整の結果タイマーはキチンと動作するようになりシャッターが切れるようになりました。

しかしフォーカスインジケーターの針の位置や露出計の精度の微調整等をもう一度やり直して確認する必要があります。

実に実に実に面倒な事になってしまいました(泣)

 

 

なんとかここまでリカバリーできました。

フォーカスインジケーターの針の再調整も完了しました。

露出計の精度の確認&微調整はまたもや日没のため明日以降に持ち越しです。

 

 

日付が変わり太陽に光の下で露出計の精度チェックを行ったところ全く問題なかったので軍艦を載せモナカを取付け革を貼ってレバー類を取付けて最後にタイマーレバーを取付けて完成しました。

もちろん、タイマーを使ってもシャッターはちゃんと切れますよ。

 

今回は少しは楽を出来るかなぁ~と思ったのですがそうは問屋が卸しませんでしたねぇヤッパリ。

Demi EE17といえば私にとっては非常に修理がしやすく且つ簡単な機種として捉えていたのですが今回はやけに悪戦苦闘しています。

とはいえ他メーカーのとあるカメラのようにストレスが溜まらないのがキャノンクオリティでしょうか。

レンズのコンディションが四号機や参号機に劣っていしまうのが残念ですがテスト撮影の結果は非常に参考になると思われます。

 

それと一つだけ問題というか欠点の様なものができてしまいました。

それはフォーカスリングの動きが無限遠近くで非常に渋くなってしまった事です。

無限遠のピントの再調整をしたせいでフォーカスリングとシャッタースピードリングの隙間が狭くなってしまい、無限遠に近づくと両者が接触してしまい動きが渋くなてしまいます。

 

今回はここまでとなります。

次回はいよいよ壱号機の登場ですが、ここまでの繋がりから考えるとまたまたまた苦労させられるような予感がします。

 

 

 

キヤノンのDemi EE17 弐号機の続きです。

 

 

前板をボディに仮付けしたので無限遠のピントの再調整を行います。

 

 

ピントスクリーンを取付けてデジカメをセットして

 

 

結果はこんな感じになりました。

今迄全て再調整すると当初設定されていた無限遠の位置よりも奥へ行きますね。

きっと理由があるのだと思います。

 

 

仮付けした前板を再び取り外しフォーカスインジケーターの針を取付けます。

とにかく作業中に部品や指が知らぬ間に当たってしまって曲げてしまいます。

大きく曲げると修正がすごく面倒くさいです。

絞り羽根制御レバーと並んでDemi EE17の部品の中で一番神経を使う部品です

 

 

配線の三本の電線はファインダーの下でこのようにまとめられています。

 

 

露出計の配線をハンダ付けしました。

 

 

軍艦を載せて完成間近と思っていたところで露出計の動作と精度のチェックをするのを忘れている事に気付きました。

チェックするために再び画像の状態まで分解して動作チェックをしてみたら針は動くものの精度が全く出せませんでした。

これまたcds素子がダメだったようです⤵⤵⤵

またかよ。。。

 

 

部品取り機の中に露出計のcds素子の窓に×印が付いた個体がありました。しかしこれが最後の部品取り機になるのでコレで試してみるしかありません。

コレで駄目だともう部品がありません。

露出計を取り外して単体で動作チェックしてみたら驚いたことに正常に動いているようです!

ただ後期型なので画像の様に取付穴が三個あります。初期は二個です。

という事で露出計丸ごとを画像のように搭載してからハンダ付けで結線しました。

そして動作チェックを行うとまたまた精度が出ません。

そして時折不整脈のように針がピコンピコンと跳ねます。

これは参号機の時に同じ症状がありました。

それと同じだとすると今回精度が出ないのは可変抵抗器が原因と思われます。

ということで先刻の初期型の露出計にコレのcds素子だけを移植する事にしました。

初期型と後期型では微妙に構造が違うために『ニコイチ』ができませんので初期型のコイルをコレに移植する事はできません。初期型のコイルを使うのであればcds素子単体を初期型のコイルユニットに移植するしかありません。

 

 

そして今度こそと願いを込めて組上げたのがこの画像です。

動作チェックをしたのですが今回はちゃんと動いているようです。

精度もそこそこ出ているようなのでチューニングして追い詰めようと思ったのですが日没のため作業が出来なくなってしまいました。

 

という事で今回はここまでになります。

しかし…。参号機から数えると一体私は何回露出計だけをバラして組んだのでしょうか。。。

Demi EE17のcds素子がこんなに腐食劣化している確率が高いとは今迄おもってもいませんでした。

 

キヤノンのDemi EE17 弐号機です。

 

 

ケーキ台の右側の個体です。

 

 

最初の記事を読み返してみるとレンズの薄クモリが問題だとありますが…。

 

 

なるほど、確かに前玉側に薄クモリがりそうですね。汚れでは無さそうです。

あと微細な線傷が在るみたいです。

後玉はそれほどでもなさそうです。

他の部分も検品してみました。

露出計は全く動きません。電池側の配線が断線しているようです。

そうなると再び液漏れによる腐食が疑わられますね。

フォーカスリングの動きも渋いというか固いですね。

シャッター羽根&絞り羽根は良好

AUTO & マニュアルの制御機構は良好

シャッタースピードの変化は良好

タイマーの動作は良好

といった感じでした。

フォーカスリングの動きが悪いので今回も前板を外してからシャッターユニットまで外してみます。

 

 

案の定液漏れの腐蝕で電池室の配線が断線しています。

前回の様な露出計トラブルの再来の臭いがプンプンしてきました。

 

 

やはりcds素子の端子もガッツリ腐蝕していますね。

 

 

cds素子を露出計からとりだしました。

なんと透明なはずの保護カバーが白濁しています。この時点で光の明るさに正常に反応できなくなっていますね。

それに赤色矢印の部分が黒ずんでいます。これは腐蝕でしょう。

cds素子を交換しなければなりません。

今回この弐号機では前回の参号機の教訓がありますので暗中模索による『迷い』がありません!

ですから大幅に時間を短縮できました。⤴⤴⤴

経験が活きた典型例です。

ですがここからは再び手間と時間が掛かってしまうでしょう。

なぜなら正常に動作するcds素子を部品取り機の名から取り出さなければなりません。

一台ずつ分解してはcds素子をチェックしなければなりません⤵⤵⤵

部品取り機は重大な問題があって修復不能と判断された個体達ですからその中から程度の良い部品を見つけるのはかなり難度が高いのです。

 

  

 

運よく程度の良いcds素子が見つかりました。

右の画像のように露出計のコイルの針が折損してしまってジャンク扱いになっていました。

そのためcds素子は問題無く使えそうです。

 

  

 

cds素子を交換して組み上げました。

そして片方の端子を可変抵抗器にハンダ付けしておきます。

 

  

 

次は電池室です。

電極を接着剤で電池室に固定します。

 

  

 

次に電池の向きを伝えるプレートを接着剤で固定します。

はみ出した接着剤は半乾きになってから除去します。

プレートに染みの様なものが付着して汚らしいのですが、除去のためにメラミンスポンジ等を使うと印刷まで剥がしてしまう可能性があるのでこの状態のままにしました。

 

 

電極に新しい電線をハンダ付けします。

あとで電線の向きが逆な事が判明したので電線が左側に伸びるようにハンダ付けし直しました。

 

 

そしてファインダーなんですが…。

前回の参号機同様に底蓋の金属が腐食しています。

どうやらこの弐号機も液漏れの被害に見舞われていたみたいですね。

電池室に電池は無かった(もしくは蓋が開いたので販売前に電池をとりだした)んですけどねぇ。

 

 

あと液漏れで気化したガスのせいなんでしょうか、スクリーンが黄ばんでしまっています。

これは交換するしかないですね。

 

 

交換用のファインダーの中をクリーニングしようと底蓋を外すと一枚のレンズが取れてしまいました。

エポキシ接着剤で固定しました。

エポキシ接着剤のおおよその効果を待ってファインダー内をクリーニングして蓋をしました。

 

 

電池室をボディに取り付けました。

 

 

フォーカスリングの動きが良くなかったのですが、グリスを塗布したら良くなりました。

 

 

シャッターユニットを組付けます。

今回この組付けに物凄い苦労をしてしまいました。

シャッターユニットを正しい位置にセットしてからリングナットで締め付けないと

キチンと動作しなくなります。

 

 

次は問題がありそうなレンズです。

 

 

前玉を青色LEDで透過してみると…。

これは酷いですね。

交換するしかありません。

以前にも書きましたがDemi EE17はレンズにダメージを受けている個体が多いため

もう予備のレンズが底を突きかかっています

 

 

そのため今回はこの前玉を使います。

薄クモリはまぁまぁなのですが線傷がいくつかあります。

 

 

後玉です。

珍しい事に薄クモリがありますのでコチラも交換です。

 

 

交換してこの後玉を使いますが極上品とまでは言えないレベルです。

 

 

前板に後玉を取付けて

 

 

前玉を仮付けしてからボディに仮付けします。

 

 

蛍光灯の下ではレンズは極上品のように見えるんですけどねぇ。

前板をボディに仮付けできましたので次回では無限遠のピントの再調整をします。

弐号機は外観から程度が良く見えたので今回は少し楽が出来るかと思っていたのですがこの個体も電池の液漏れによる腐食を患ていたようでそれなりに手間が掛かってしまいました。

それとレンズのコンディションもかなり悪かったため代替品を探すのにも時間が掛かってしまいました。

 

今回はここまでとなります。

 

 

 

 

 

キヤノンのDemi EE17 参号機です。

 

 

ここまでかなり順調に作業が進んでいたのですが、露出計の段階でトラブルが続出してしまい何をどうやってみても上手くいかずとうとう手詰まりとなってしまい何をどうすればよいのか判らなくなってしまいました。

このままでは埒が明かないので別の視点からのアプローチを模索するためにブログの記事を記述しながら作業をするのを一旦やめて事にしました。

更に閑話休題とばかりに一度頭の中を空っぽにしてからもう一度この露出計の構造等について全集中で考えてみてみる事にしました。

 

  

 

さて、

画像にある左二つのcds素子の左の端子はもうcds素子本体に届かんばかりの距離まで腐食しています。

そのためにこんなに短くなってしまっています。

この辺に問題があるのではないでしょうか?

通電はするし抵抗値も光の明るさによって変わる。だけどそれでも液漏れの腐食の影響で性能が変化または劣化しているのではないでしょうか?
 

 

特に一番左のcds素子はこの参号機に元々付いていた物で腐食が一番酷い物ででした。

拡大して見ると左側の端子の接続部が右側とは何か違うような気がします。

 

 

とても気になるので顕微鏡に切り換えて拡大して見ました。

やはり明らかに左側の端子の接続部がおかしい⤴⤴⤴

何かが膨らんでいるような…。これ腐食しているんじゃないかな?

 

  
 

だったら右のcds素子のように左右の長さが同じ様な長さになっているcds素子を使えば良いのでは?

と、思いまして…。

 

 

もう一台の部品取り機に登場してもらいまして露出計を提供してもらう事にしました。

(以下より全集中の影響でしばらく画像がありません)

こちらのcds素子は左右の端子の違いがあまりありませんでしたのでこれならよろしかろうという事で使う事にします。

とはいえこの露出計には何か使えない理由が有ったのでジャンク扱いになったはずです。理由は忘れてしまいましたが。

取り外して動作確認したところちゃんと動作したのでこの露出計をコイルと共にユニット丸ごとを取付けてみました。

するとキチンと動作し、しかも精度も出せたじゃないですか!

よし!

これをこのまま使おう!

と判断して参号機を机の上に置いて仮付け状態だったので本付けのハンダ付けの準備をしていたら...。

突然針が『ピコン!』と跳ね上がったのです!

???と思っていたら今度は『ピコン!』跳ね下がったのです!

不思議に思って見入っていたらそんな現象を数度確認できました。

ナンじゃぁコリゃぁ不整脈か? としばらくは???状態だったのですが、思い出しました!

この露出計ユニットは以前に分解&修理したDemi EE17でのテスト撮影中、突然この不整脈現象が発生して急遽ジャンク扱いになった露出計ユニットでした。

当時はその原因が解りませんでしたが、今回は前回の経験から

アッ!これって『可変抵抗の部分で電気の導通が断続されかかってるんじゃね?』と思いましてコイル部分を先刻まで取り付けていた露出計ユニットのコイル部を移植したら...。

 

 

不整脈は無くなりました。

そして針も光に反応して動いています。

シャッタースピードの変化にもイイ感じで追随しています。

そして可変抵抗や針の位置を微調整していくとASA400でシャッタースピード全速でセコニックの露出計の指針と一致しました。

次にASA100にしてみてもシャッタースピード全速でセコニックの露出計の指針と一致しました。

やっと治りました。

やっと完成しました。

でもこの後で時間が経過したら再び動作確認をそれも何回か繰り返してみます。

 

 

今回より端子やハンダ付けした部分が軍艦と接触して短絡してしまう恐れがありそうな時は絶縁テープを貼る事にします。

 

 

軍艦を載せる前にフィルムカウンターの動作確認をしてみたらマック動きません。

フィルムカウンタを『カチカチ』と動かしているのは矢印の日本の爪です。

この爪の動きをつぶさに調べると水色矢印の方の爪のスプリングの張力がかなり弱いです。

分解してスプリングを取り出してみましょう。

 

 

 

黒っぽい方のネジを緩めます。

そしてカムのような形をしたカバーを外します。

 

 

その下に本当のカムがあるので取り外します。

 

 

するとこの様に水色矢印の下側の爪にアクセスが出来るようになるのでEリングを外してスプリングを取り出します。

 

 

上がフィルムカウンターが動かなかったボディに付いていたスプリングです。赤色矢印の部分が折損しています。

下がフィルムカウンターが動いていたボディに付いていたスプリングです。黄色矢印の部分が長いです。

スプリングの折損なんて。。。

滅多にない症状だと思います。

ということでスプリングを交換して組み上げます。

 

 
動画のようにキチンと動くようになりました。
というか最初の巻上げ時だけカウンターが動いていないように見えますが他の個体も同じ動きをしていたのでO.K.としました。
フィルム室の蓋を開けるとキチンと S に戻ります。
 

 

軍艦が載りました。

軍艦を載せる前にもう一度丹念に露出計の精度をチェックしてみました。

殆どの領域でセコニックの単独露出計と一致または ±0.5 ~ -1.0 といった感じでした。

ASA感度を100より下げると+0.5 程度となりました。

シャッタスピードが1/60秒以下で絞りがF4.0以下になると-0.5 ~ -0.5+α といった感じでした。

ASA感度100より低いフィルムは現在ではあまり使われないと思いますし

シャッタースピードやF値が低い状態ででの誤差はマイナスなので明るくなる方向に写るようになりますからまだ偉丈夫ではないでしょうか。

±1.0 の誤差であれば範囲内ではないかと思われます。

 

 

モナカとシャッターレバー類を取付けました。

 

 

革を貼り付けてタイマーレバーを取付けて参号機の完成です。

 

露出計の動作不良で想を遥かに上回る時間を浪費してしまいました⤵⤵⤵

しかし、前回の四号機ではシャッタースピードユニットの絞り制御レバーの弱点に付いて学べたように今回の参号機では露出計のcds素子の動作不良や電池の液漏れによる腐食による被害について等を学べました。

それら学んだ経験を次の弐号機に活かしていきたいと思います。

そして何よりもこの個体のレンズが素晴らしいコンディションを維持していてくれたことはまさに僥倖でした。

 

 

 

 

キヤノンのDemi EE17 参号機です。

 

 

外観のコンディションは極上品とも呼べるレベルだったのですが…。

 

 

電池室に挿入されていた電池からの液漏れによる被害で内部構成品の多数が腐食して緑青が発生してしまいまともに使えそうなのが画像に写っている部品だけでした。

しかし、あれだけ腐食が酷かった個体でしたが不思議な事というか非常に幸いな事にこれらの部品だけはコンディションがとても良いのです。

特にレンズがかなり良さそうなのでまずレンズをクリーニングしていきたいと思います。

 

 

まず前玉です。

クリーニング前の状態でもかなり状態が良いのが判ります。

一番手前のレンズを外して前玉の内側もクリーニングします。

 

 

クリーニング後がこれです。

薄クモリが殆どというか全く無いと言えるレベルです!

これは超極上品です!

 

 

次に後玉です。

こちらは更に程度が良さそうなので分解せずに両表面だけのクリーニングとしました。

 

 

クリーニング語がこちらです。

薄クモリが全くありません!

これらの前・後玉のコンディションは私が今迄触れてきた、修理してきた CANON Demi EE17 の中で最高です。

非常に美しいレンズです。

これは今後の作業の成功如何では非常に程度の良い個体が完成するでしょう。

 

 

ファインダーや露出計等の各部はこちらの個体にドナーとなってもらいます。

 

 

左上から時計回りで露出計・ファインダー・電池室・ASAダイアルです。

それぞれあと2~3個スペアの部品を用意しました。

それらの中から一番程度が良い物 or 混ぜ合わせて一番程度の良い物を作ります。

 

 

まずは露出計です。

今回は二系統についてチェックして修理していきます。

 

 

まず光センサであるcds素子の動作確認です。

画像の黄色い二本の電線がcds素子の端子になります。

テスターをこの日本の端子とつなげて電気の導通と明るさを変えると抵抗値が変化するかどうかを確認します。

すると最初は3個全てのcds素子の電気の導通がありませんでした。ということは全て使用不可能という事になります。

きっと何か別の理由があると思ったのですがその原因が解らずに数時間を浪費してしまいました。

やがて、赤色矢印の電池室の電極と直接つながる端子の電線が黄色い被覆の中で更に腐蝕していて断線している事に気付きました。

 

 

実際にはこんなに短くなるまで切断しないと通電しないのです。

短くなり過ぎてしまったので手が出せなくなったので露出計のコイル部を取り外してその奥まで端子をカットしました。

電池室の液漏れがここまで浸食してくるなんて本当に恐るべきことです。

この位置から電線をハンダ付けすれば通電もしますし明るさで抵抗値も変わるようになりました。

 

 

次は露出計のコイル側の通電と針の動作確認です。

 

 

電気を流すとこのように針が動けばです。

電気を流すしても針が動かなかったり、電気を切ったのに針が元の位置に戻らなかりしたら針に何らかの不具合がある場合があります。例えば針の軸が軸受から脱落しているとか。

またコイルのどかで断線していて動かない場合もあります。

 

 

取り敢えずジャンクの露出計3個の良い部分だけを使って動作品を1個作り上げました。

しかしこれがボディに取り付けた状態でキチンと動くかどうかは不明です。

 

 

電池室とASAダイアルはよくよく考えたらドナーとなるボディに両者ともに付随していました。

ただ電線の長さが私にはちょっと短く感じたので取り外して敗戦を新たに引き直し致しました。

こうしておけば万が一にも将来再び修理する事になった際にハンダ付け作業等が非常に楽になるはずです。

 

 

シャッターユニットは動作が非常にスムースなため分解の必要は無いのでこのままで再使用しようと思ったのですが、

無限遠のピントの再調整や

ヘリコイドリングへのグリスの塗布のために仕方なく取り外す事にしました。

 

 

シャッターユニットを外してから無限遠のピントの再調整だけならシャッターユニットを取り外さなくてもできる方法がある事が玉の中に浮かび上がってきました。

しかし現状ではフォーカスリングがあまりにも軽い(緩い)のでグリスを改めて塗布する事で少しでも動きを制御できるようなダンパー効果を狙ってグリスを塗布します。

 

  

 

フォーカスリングを完全に分解していないのでインチキな感じのグリスの塗布(追加)ですが、これでも塗布後に何度も左右に回転させているとそれなりに効果が出てきました。

良い感じに変わりました。

 

  

 

はみ出しているグリスを丁寧に拭き取ります。

フォーカスリングが軽い(緩い)と折角合わせたピントがひょんな微細な力や衝撃を受けてフォーカスリングが動いてしまい、安易にピントがズレてしまう可能性があります。

そういった衝撃を制御できるようなダンパー効果を期待してグリスを塗布しました。

自動車のサスペンションのショックアブソーバーのダンパー効果と同じ意味になります。

 

 

前板にシャッターユニットを戻します。

真鍮製のリングナットで前板に取り付けるのですが。。。

 

 

この時にリングナットを締め付ける事ばかりに集中して赤色矢印の絞り制御レバーに変な力や不要な応力をかけてしまわないように細心の注意を払ってください。

 

 

現状でフォーカスリングを無限遠の位置にするとシャッタースピードリングとの隙間はほんの少ししかありません。

この隙間が無くなる方向に回転させ過ぎるとフォーカスリングの動きがおかしくなってしまいます。

ですのでこの隙間が残る範囲内で無限遠のピントの再調整をしなければいけない事を前回のDemi EE17 の無限遠のピントの再調整の時に学びました。

 

 

シャッタユニットが装着出来たらその他の鏡胴部の部品を組付けて行きます。

 

 

後玉を装着します。

 

 

赤色矢印のイモネジを緩めてフォーカスリングとヘリコイドリングを解結してフォーカスリングのみ右方向へ30~45度程度回転させて再びイモネジを締め付けてヘリコイドリングと連結させておきます。

こうしておくと無限遠のピントの再調整時に一番良い所を探す作業がとても楽になります。

 

 

ボディに仮付けします。

そしてこの後に前玉を装着します。

 

 

フィルム室側にピントスクリーンを貼り付けます。

 

 

三脚を取付けます。

 

 

デジカメをセットしてピントの再調整を行います。

 

 

今回はこんな感じになりました。

 

 

ピントの再調整が終わりましたら赤色矢印のイモネジを緩めて解決してフォーカスリングだけ動かして無限遠の威信の位置を合わせて再びイモネジを締め付けた後に接着剤で緩み止めをします。

 

 

フォーカスインジケーターの針を装着します。

 

 

前板を本付けをする前に

シャッターボタンのリターンスプリングを取付けます。

この部品は実はかなり重要な部品なんです。

これが無いと露出計のAE機構が正常に動作しなくなってしまいます。

 

 

前板が付きました。

 

 

底蓋も付きました。

 

 

露出計を取付けて配線をハンダ付けしました。

その後に電池を挿入して動作確認をしたのですが、露出計はピクリとも動きませんでした。

 

 

テスターを使って導通や抵抗を計って調べてみたのですが、どうやら赤色矢印の可変抵抗器の導通がありません。

何処かで断線しているようです。

ですので右のコイルと交換します。

可変抵抗器がコイルの外周ケースに接着剤で協力に張り付いているため無理に剥がそうとすると可変抵抗器を変形又は破損させそうなのでコイル事交換します。

 

 

動くようになりました。

やはり可変抵抗器に問題があったようですね。

一応動くようになりましたがこれでO.K.というわけではありません。

まだASAダイアルを接続していません。

更に言ってしまえば精度も正しいとは言い切れません。

 

 

再び配線をハンダ付けして電池を電池室に挿入して露出計の動きを確認しました。

今度は動いてくれたのですが、何かがおかしいです。

シャッタスピードの変化させた時の針の動きが変ですそれまでモッサリとしか反応しなかったのがあるシャッタスピードから『ピコン!』と極端に反応します。

これはシャッタースピード関連だろうと思いまして、

 

 

この部品はシャッタスピードの変化に比例して露出計のcds素子へ当たらせる光の量を変化させる羽根です。

円い窓の下に羽根がありましてその更に下にcds素子があります。

右下のカニの足の様なレバーがカム山をフォローしながら動くことによって動画のように羽根が開閉します。

 

 

パッと見には判別できないのですが、この部品の赤色矢印の部分のレバー変形していました。

修整して再使用するのが難しいレベルになっていました。

という事でまたもや露出計を取り外してコイルを取り外し別の同じ部品に交換しました。

 

 

そして三度交換して露出計の針の動作チェックをしたら今度こそスムースに動いてくれました。

精度を大まかに出すことが出来たところで日没となってしまい微細な精度の調整は明日になってしまいました。

 

 

一夜明けて日光の元で微細な精度の調整してみたのですが、ダメでした。

1/500秒 F5.6といったピンポイントでは調整できますが、そこからシャッタースピードを順次遅くさせていくとF値がズレていきます。

セコニックの露出計と同じ数値を示しません。

 

 

おそらくcds素子に問題があるのではないかと思われますが…。

現在の私のアプローチ方法では埒が明かなくなってしまいましたので、いったん仕切り直しをするため今回の記事はここまでとさせていただきます。