キヤノンの Demi EE17 三号機です。

 

 

前回は電池の液漏れで腐食して固着して緩まなくなってしまった電池室の蓋を破壊するレベルの荒療治で何とか緩める事が、取り外すことが出来ました。

 

 

しかしあれ程強烈に固着していたので、他の部分も腐蝕してしまっている可能性があります。

最悪の場合は露出計にまで被害が及んでいるかもしれません。。。

という事で分解しながら各部をチェックしていきます。

 

  

 

まずボディナですが... 液漏れの影響なのかどうかは判らないのですが黒い塗装が剥げるというか溶けてるような部分があります。

あと電池室を止めてるネジが以上に固かったですね。緩めるのにとても苦労しました。

これは再使用を断念します。

 

 

電池室は意外な事に被害があまりななったですね。

一応再使用は可能そうです。

 

 

ASA ダイアルです。

電池室直近に在るため被害がかなりありまして緑青が付着しています。

接触不良や抵抗値が変わっていたりすると怖いので再使用しません。

 

 

なんと!ファインダー底蓋の金属がほぼ全面腐食しています。

ここまで酷いのは今迄見たことがありません。

ファインダー内は綺麗なので後程クリーニングをしてみて底蓋のみの交換するか全ての再使用を中止するか判断します。

 

  

 

露出計本体です。

予想通り液漏れが電池室側から電線を伝ってこちらにまで及んでいました。

赤矢印の透明チューブの部分でcds素子の端子(電線)にハンダ付けされているのですが緑青に汚染されて電線が崩れ去っていました。

cds素子の端子側も相当汚染されており分解してcds素子を取り出さなければならない程奥まで浸食されていてこんなに短くなってしまいました。

再使用するかどうかの判断に現時点では迷っております。

 

  

 

前板です。

こちらも電池室付近からシャッターユニット取付部の外周に沿って多少腐食していました。

 

  

 

あとヘリコイドリングを固定しているバーの周辺部に緑青が少し視認できたので取り外して清掃しました。

この辺の腐食を見るに電池から漏れ出した液体が付着して腐食したというよりは電池から漏れ出した液体が気化したガスが腐食させたんじゃないかと思えてなりません。

 

 

外周部もCRC 3-36 で清掃したらここまで綺麗になってくれました。

そして驚いたことにシャッターユニットは全く被害を受けていないようです。

動作は極めて軽快に且つスムースに作動します。

シャッター羽根と絞り羽根にも錆は全く無く更に油分も全くありませんでした。

これなら問題なく再使用できます。

 

 

さらに驚いたというか驚異的だったのはレンズのコンディションが非常に良かったことです。

画像は清掃どころかエアブローすらしていない状態の前玉です。

ですのでカビやホコリの様な物は散見できるのですが、薄クモリが殆どありません。

 

 

後玉です。

こちらもエアブローすらしていませんが、同じく薄クモリが殆どありません。

これはひょっとすると『掘り出し物』になるかもしれません!

もちろん再使用します。

 

以上の結果をまとめますと中身の各部は...

 

ボディ           再使用不可能 ✖

電池室           再使用可能  △

ASAダイアル         再使用不可能 ✖

ファインダー        再使用不可? △

露出計           再使用不可? △

前板            再使用可能  〇

シャッターユニット     再使用可能  〇

前玉            再使用可能  〇

後玉            再使用可能  〇

 

と以上のような結果になりました。

これを一言で表現すると『前板ユニット以外は全て使用不可能』ということですね。

 

これじゃぁ修理のベースとなるメイン機体というよりも完全な『部品取り機』ですね。

しかし、外装はこちらの機体を使うのでシリアル番号もこちらの番号となるので以降もこちらをメイン機体として扱っていきます。

 

前回の四号機はシャッターユニットにトラブルを抱えていたためかなりの手間と時間が掛かってしまったかなり珍しいケースでしたが、こちらの参号機は私にとって初めてのケースと言えるトラブルです。

露出計のcds素子の端子の腐食はたまにありますが、これほどの広範囲に渡って腐蝕に浸食されたDemi EE17はありませんでした。

要修理のカメラと云えども同じ機種のカメラであっても個体毎にその症状が違うので悩ましい所です。

 

今回はキリが良いのでここまでとします。

次回は再使用不可能な部品たちの供給を部品取り機たちから受けて組上げて行きます。

 

 

キヤノンの Demi EE 17 四台です。

 

 

前回はケーキ台に載っている四号機を治してきましたが、今回は上の方でひっくり返っている参号機を治していきます。

 

 

電池が挿入された状態で放置されていたため液漏れが発生しその液体で蓋のネジ部が腐食して固着してしまい蓋が外れなくなってしまっています。

もはやコインスパナなんかで緩むようなレベルではありません。

 

 

底蓋の電池室の周囲の黒い部分にブツブツが発生しています。

これは塗装の下の地金が液漏れのせいで腐食している証です。

Demi EE17 は電池室の蓋が外れないと底蓋を外せません。

そうなるとが修理をする事ができません。

 

 

蓋の周囲にCRC3-36を垂らして浸透させて緩まないかと思ったのですが一週間経っても全く変化が無いので強制的にこじ開ける事にします。

卓上ボール盤で電池室の蓋にΦ1.5mmの穴を2個開けます。

 

 

こんな感じになります。

何か見たことあるような形状ですね。

そうですこの穴にカニ目スパナを掛けて蓋を緩めるのです。

 

  

 

しかし左のカニ目スパナだと力を掛けると赤色矢印のアーム部がしなってひん曲がってしまい使い物になりません。

ですので右の頑丈なカニ目スパナの黄色矢印の先端部を右の画像の丸タイプに付け替えて力をかけてみたのですが、この先端部には『焼き』が入っているので必要以上に力を掛けると欠けてしまいます。

 

 

であればと更に強力なカニ目スパナを使うために再び穴を今度はもう少し幅を広くして開けます。

 

  

 

これなら力を掛けられるし最悪の場合はハンマーでショックを与える事もできます。

が…。

先端部の形状が円錐(テーパー)上になっているために穴に差し込んで力を掛けると滑って抜けてしまいます⤵⤵⤵

しかもよく見るとすでに少し曲がっています。

 

 

 

グヌヌヌ...。

こうなったら最悪は底蓋と一緒に破壊してしまう覚悟で挑みます。

そのためにモナカに傷を付けてしまわないように革を剥がしてモナカを外し更にはフィルム室の蓋も取り外しておきます。

 

 

電池室の蓋にさらに大きな穴を開けて最終的には二つに割ってしまおうと考えていたのですが、その前にこの段階で違う方法で緩まないかトライしてみる事にしました。

 

 

これはいわゆるコインドライバーというものです。

フィルムカメラの電池室の蓋は硬貨を使って緩めますがそれと同じような物です。

ただこれだとあんまり力を掛けることが出来ないんです。

通常ではね。。。

 

 

しかしこのここまで幅広に穴が開いていればひょっとしたらしっかりと力をかけられるかもしれません。

 

  

 

コインドライバーを画像のようにバイスでしっかりと咥え込みます。

 

 

 

そしてコインドライバーを幅広の穴に差し込んでカメラ本体を緩める方向に回転させます。

 

 

やりました!

遂に蓋が外れました!

 

 

しかし電池がスゴイ色になっていますね。

蓋と底蓋は部品取り機から拝借します。

 

 

電池室は再利用できそうですけど ASA ダイアルは再利用しないで交換した方が良さそうです。

これはちょっと意外でした。

 

 

電線が腐食で溶けてしまって断線しています。

この状態だと電線が上部の露出計の近くまで腐食している可能性があります。

 

もうここまでやると修理とか分解とかのレベルじゃなくて破壊しているような感じになります。

ヤシカのHalf 14なんかは電池室の蓋が外れなくても底蓋を外すことが出来るのですがキャノンのDemi EE17は電池室の蓋が外れないと底蓋を外す事ができないので修理の手が入らなくなってしまいます。

ですからDemi EE17を入手する際は電池室の液漏れには充分に注意してください。

電池室の蓋の周りに青緑の緑青が出ているような個体は避けるべきです。

 

フランス帰りのヤシカ Half 14 です。

 

 

前玉レンズが外れずにシャッタユニットを修復不能なレベルで破損させてしまいました。

 

 

そのためシャッターユニットを丸ごと交換するハメになってしまいここまで分解する事になってしまいました。

これから組上げて行きます。

 

 

シャッターユニットをひっくり返してまず一枚目のリングを位置関係に気を付けながら載せます。

 

 

次にシャッタチャージに関連するリングを載せます。

表裏両面にグリスを薄く塗布しておきます。

 

 

シャッターユニットをリングナットで前板に取り付けます。

 

 

シャッターユニットに前板が付いたら赤色矢印のAE制御レバーを取付けます。

これは露出計のAE機構と連携するためのとても重要なパーツです。

 

        

 
絞りリングがマニュアルにセットされている時は左の動画のレバーがロックされているために右の動画のAE制御レバーは連動しているので動きません。

   
 

しかし絞りリングを AUTO にセットすると左の動画のようにロックが解除されてレバーが自由に動けるようになるので

右の動画のAE制御レバーは連動して動きます。

AE制御レバーの動きは露出計のAE機構に制御されます。

取り敢えず現時点では正常に動作していますね。

 

 

後玉を装着します。

いつ見ても規格外級のデカさです。

この大きさでハーフサイズカメラの後玉なんですからね。

フィルムの画角からはみ出しているんじゃないですかね。

 

  

 

露出計を取付けました。

この時点でもAE機構は正常に動作しています。

 

 

前板がボディに装着されました。

 

 

シャッターダイアルがチャージされても止まらずに回転できてしまう状態になってしまいました。

要するにロックがかかりません。

このような時は赤矢印の二つのネジを緩めてそのネジが付いている黒いバーの長さを微調整するとロックが掛かるようになる場合があります。

今回はその方法で治りました。

 

 

鏡胴が付きました。

 

 

前玉を装着します。

ただし、あまり締め付け過ぎないようにしておきます。

とにかくトラブルが発生し易くて分解&修理に手間が掛かって厄介なカメラなのですが、

写り映りがとても良いのでツイツイ何度も手にかけてしまいます。

やはりこの大きなレンズが写り映りの良さの原因なのでしょうか。

 

 

露出計の針をひん曲げてしまわないように軍艦を載せてカバーをしておきます。

底蓋は持ち主が破損してしまった電池室の電極の修理方法について持ち主からの許可待ち状態なため組上げられません。

 

 

今回の問題となった『電池を挿入せずに絞りリングを AUTO に設定してシャッターボタンを押してもファインダー内の露出計の針が動かない』という症状は完治しました。

 

 

露出計本体もキチンと動作しています。

露出計の精度も目視確認で概ね O.K. という感じです。

 

 

次にオーナー様が破損させてしまったという電池室の電極です。

ヤシカ Half 14 はこの様に電極の真ん中の部分が破損してしまう事がちょくちょくあります。

 

 

そんな時はキャノンのDemi EE17 の電池室の電極を流用します。

 

 

組上げればこんな感じに仕上がるのですが未だにオーナー様からの修理許可の連絡がもらえないので返事待ちで作業が止まっています。

 

という事でヤシカ Half 14 の緊急修理は完了という扱いにさせて頂き今回はここまでとさせていただきます。

 

 

 

キヤノンのDemi EE17 の続きに戻りました。

 

 

ヤシカのHALF 14 が帰国してきたので急遽そちらの修理作業に取り掛かったために

作業を保留にしてしまっていたDemi EE17 の作業を再開します。

 

 

前板をボディに取り付けて前玉を仮付けします。

フォーカスリングはオリジナルの無限遠よりも先へ回転する任意の位置で仮止めしておきます。

 

 

いつものようにデジカメをセットして無限遠のピントが一番合う位置を探します。

 

 

結果はこの様になりました。

 

 

露出計とファンダーの取付ネジは緩み防止のため接着剤をネジの頭に塗布します。

 

 

鏡胴が取り付きました。

 

 

前玉を取付け絞りリングと銘板を取付けます。

ここで絞りリングとAE時とマニュアル時の動作確認をしました。

キチンと正常に動作してくれました。

 

 

裏蓋の蝶番の錆が気になります。

 

 

裏蓋を取り外して蝶番の部分をメラミンスポンジで擦って錆を除去しました。

少々錆の痕が残ってしまいましたが、まぁ良い感じになりました。

 

 

露出計の精度をチェックします。

とても明るい場所

半分くらい明るい場所

ちょっと暗い場所

などでセコニックの単独露出計と比較した結果、全てにおいてオーバーしていました。

 

 

露出計の可変抵抗の抵抗値を上げて適正な値を表示するようにします。

 

 

モナカを取付けます。

 

 

革を貼ってレバー類を取付けて完成です。

 

今回は2回もシャッターユニットを前板から取り外す事になってしまい意外と手間と時間が掛かってしまいました。

近日中にこの四号機のテスト撮影を行います。

 

先程フィルムを注文したのですが、コダックのフィルムが値上がりしていました。

円安が続いていますので仕方がないのですが、財布的にはつらいですね。

 

 

 

 

昨年末フランスへと旅立ったヤシカ Half 14 が動作不良との事で帰ってきました。

 

 

修理のいらいというか、現地に到着して購入者さんが動作テストをしたらファインダー内の露出計の指針が全く動かなかったとの事。

そこで当方より『まず電池を挿入せずに、絞りリングを AUTO の位置にして、シャッターボタンを半押し以上の状態にしてみて針が動くかどうか確認してみてくれ』との打診をしてみたのですが返事はやはり『動かない』との事。

であればもう現物を診て見ない事には判らないので修理のために返品していただきました。

 

 

現物が手元に戻ってきたので早速軍艦を外して露出計のAE機構の動きを確認しようと絞りリングを AUTO にセットして

シャッターボタンを押してみると…。

動画のように全く動きませんでした。

ちなみに電池を挿入して動作確認をしてみたら露出計本体はちゃんと動作していたました。

そうすると『露出計の針が動かない』のではなく、AEの制御機構が動いていないという事になります。

因みに絞りリングがマニュアル設定の領域にある時は露出計の針はロックが掛かって動きません。

 

 

本来ならこちらの動画のように動きます。

電池が挿入されていませんから露出計的にはアンダーとなりファインダー内の露出計の指針がアンダーを表示するために機械的に上昇して振り切れます。

となるとシャッターユニット内の何処かでトラブルがある事になります。

発送するために梱包する前に最終動作確認の検査をした時は全く問題がなかったんですが。。。

やはり長距離の輸送時に何らかの衝撃をうけて動作がおかしくなってしまったのでしょうか…。

 

 

ということでシャッターユニットにアクセスしようとして前玉を外そうとしたら固まって動きません。

ゴムオープナーで必死に緩めようとしたのですが、前玉が回転せずになんと鏡胴がゴムオープナーと共回りしてしまいました!

その結果鏡胴の回転を止める為兼位置決めになる赤色矢印のピンをひん曲げてしまいもぎ取れてしまいました⤵⤵⤵

最悪です。

このピンは本来なら右側画像の赤色矢印のようになっていなければなりません。

こうなるとシャッターユニットを丸ごと交換しなければなりません。

とんでもない大仕事になってしまいました!!!

本当に最悪です。

 

 

本来の問題であったファインダー内の露出計の針が動かない件なんですが、

画像左の水色矢印のレバーが絞りリングが マニュアルの位置にあると黄色矢印のレバーにロックされて動くことが出来ません。

しかし絞りリングを AUTO の位置にセットされると黄色矢印のレバーが赤色矢印の方向に下がります。

そしてこの状態でシャッターボタンを押すと右の画像のように水色矢印のレバーが右に移動して AUTO 状態になるようです。

恐らく輸送中の振動等でこの部分の連携・連結が解除されていしまい露出計の針が動かなかったのだと思います。

たったこれだけの事だったのに。。。⤵⤵⤵

 

 

シャッターユニット交換のためにここまで分解するハメになってしまいました(大泣)

 

 

ヤシカ Half 14 のシャッター機構は正しく開閉させるための運動エネルギーが足りないようでちょっとでも油分が付着しているとそれが抵抗となってシャッター羽根が正しく開閉されなくなってしまいます。

かなりデリケートな部分です。

黄色矢印の部分が絞り羽根の開閉を、赤色矢印の部分がシャッター羽根の開閉を制御している場所です。

ここにベンジンを剥がし込みます。

 

 

そして更にデリケートというか厄介なのが赤色矢印部分にある二つのホイールの軸部です。

摩耗が原因なのかどうかほんのちょっとでも汚れているとこの軸部の抵抗でシャッター羽根がキチンと開かなくなってしまいます。

恐らく軸とホイールの穴の摩耗が原因ではないかと思っています。

ここの調整が非常に難しいのです。

何度も書いていますが、分解&洗浄等を施す事で正しく開閉するようにはなるのですが、このような良い状態をいつまで維持できるかが判りません。

運が良ければ数年、悪ければ数ヶ月でシャッター羽根が正常に開かなくなる可能性が濃厚なのです。

 

取り敢えず原因の究明と破損させた部分のリカバリーはめどが立ったので次回からは組上げて行きます。