チェーン・メール 著:石崎洋司

ずっとあなたとつながっていたい
石崎洋司:著
講談社 ISBN:4-06-212149-2
2003年12月発行 定価 998円(税込)

ちょっとジャンルがわからない。犯人やトリックを推理するような作品ではなかったので推理小説には当てはまらないと思うし…。ということで、新たにサスペンスというジャンルを追加してみた。
「虚構の世界で一緒に遊びませんか」…ネット上の掲示板で、与えられた役になりきってリレー式の小説を書かないかと、携帯メールで誘われた女子中学生たち。ストーカー、女子中学生、女子中学生のボーイフレンド、女刑事とそれぞれの役になりきって書き進められる、小説という虚構の世界と、現実の女子中学生たちの生活が交差していく…。
なんか、あらすじを読むと、ホラーっぽいものかと思っていたのだが、そういった描写は全くなかった。親、教師、他の同年代の生徒たち…そういった人たちとの交わりを苦手とする、孤独な少女たちの物語。現実と虚構の間をあやふやにする、ネット上の恐怖を通しながら…人間関係の難しさを、女子中学生の視点で描いている。
ネットや掲示板を題材にした作品で過去に小川勝己の「まどろむベイビーキッス」という作品を読んだことがあるのだが、あれの少女版といった印象か。似たような作品を読んでいたので、どんでん返しもなんとなく想像がついてしまったが…ジャンルは違えど、昨日読んだ「親指さがし」よりキャラクターは丁寧に描かれていて、小説を読んだという気分にはなれる。
講談社の“YA!entertainment”という、やや子供向けのシリーズ(青い鳥文庫より、もうちょっと高学年向けの読み物)らしいので、ライトノベルに近い物なんでしょうね。
個人的採点:60点
親指さがし 著:山田悠介

山田悠介:著
幻冬舎 ISBN:4-344-00395-0
2003年9月 定価1,155円(税込)

わりと人気のあるホラー作家らしいが、はじめて読んでみた。
バラバラ殺人の被害者のなくなった親指を捜すという“親指さがし”なる儀式を、面白半分に試した小学生5人。そのうちの一人の女の子が行方不明となった…。それから7年、彼女の行方不明の原因と“親指さがし”との関連を断ち切ろうと、事件の真相を探り始めるのだが…。
ストーリー展開などはベタだが、ホラーっぽい雰囲気はよく出ている。ただし、小説として読むと呆気なさすぎる。まさにノンストップだ。まだまだキャラクター描写などが雑で、物語に厚みを感じられない。
まるで、ジャパニーズホラー映画の脚本を読んでいるような雰囲気か。もう少しキャラクターや情景の描写が上手く描けていれば、本当に怖い小説になるかもしれない。とにかく中身がスカスカだ。鈴木光司とかには、全然敵わないね。まだまだデビュー3作目だそうで、こんなもんじゃないか。
個人的採点:50点
読書中:親指さがし
山田悠介の「親指さがし」というホラーを読み始める。1時間かからずに、半分くらい読めちゃうような小説なので、明日には読み終わるだろう。
今日の105円GET
中村うさぎ「イノセント」新潮社 2004年2月発行 定価1,365円(税込)
今日の105円GET
中村うさぎ「イノセント」新潮社 2004年2月発行 定価1,365円(税込)
殺しも鯖もMで始まる 著:浅暮三文

浅暮三文:著
講談社 ISBN:4-06-182288-8
2002年12月発行 定価777円(税込)

講談社ノベルズの20周年で発刊された、密室本の一編。メフィスト賞受賞作家による密室をテーマにした書下ろし小説のシリーズだ。
掘られた形跡がまったくない、地中の空洞で、“サバ”という奇妙なダイイングメッセージを残して餓死した奇術師。容疑者である奇術師の弟子たちが、山荘に集まったとき第二の事件が起きた!刑事と、居合わせたハーフの葬儀屋が探偵役となり…事件を解明していく。
探偵役のキャラクターが、一癖も二癖もあって可笑しい。ハーフの葬儀屋っていうだけで、特異なキャラなのだが…やたらと意味不明な比喩を織り交ぜて会話をするのだ。
ダイイングメッセージも、地底密室の正体もけっこうバカバカしいのだが…こんなもん思いつかないよってところは一本やられたかな(笑)探偵役と一緒になって事件の謎をといてやろうなんて気持ちで読まないほうが、単純に楽しめる。
個人的採点:60点
今日の105円GET
赤城毅「贋作遊戯」光文社 2004年3月発行 定価860円(税込)
前に同じ著者の「紳士遊戯」という作品を100円で買ったがまだ読んでいない。近いうちに一気に読んでみようと思う。
巫女の館の密室 著:愛川晶

愛川晶:著
原書房 ISBN:4-562-03421-1
2001年8月発行 定価1,890円(税込)

奥会津の秘境にある友人の別荘を訪れた、美少女探偵・根津愛が、その別荘の離れで起きた10年前の密室殺人事件の謎に挑む…。愛は現場を見ただけで、トリックを見破ったようだが、その直後…愛自身が失踪、新たな惨劇が起きてしまった。
全487ページ…過去の事件の謎が提示されたり、伏線として犯人の手記らしきものが挿入されたりするのだが前半部分はなかなか物語が進まずやや退屈気味な展開が続く。インカ帝国の史実についてなど専門的な描写も多かったので…ちょっと入り込みづらかった。
300ページを過ぎたあたり、愛の失踪、新たな惨劇が起きるようになると俄然、面白くなる。トリックの解明、犯人の動機など…意外性は感じられ、よかったと思う。
全て読み終わると…前半部の何気ない会話などにも…展開を暗示させる伏線がはられていたんだなぁと思い直す。ただ、もう少し前半から、テンションを高めるインパクトのある事件が欲しかった。最初の事件が、あまりミステリアスに感じなかった(個人的に)
自分はハードカバーで読んだが、2004年8月に文庫化されているようだ。
個人的採点:60点
読書中:巫女の館の密室 その2
今現在も「巫女の館の密室」読書中…けっこう分厚かった(^^ゞ 事件よりもインカ帝国云々~と考古学の専門用語がたくさん出てくるので、そっちが妙に頭に入りにくい(笑)頑張って、最後まで読むぞ。
今日の105円GET
谷甲州「ヴァレリア・ファイル」上下巻 中央公論社 1999年5月発行 各定価1,260円(税込)
今日も100円コーナーの本が1冊50円だったので、思わず買ってしまった。他社で文庫で出ていた本を2冊のノベルズにまとめ、改訂したということだが…イラストを「攻殻機動隊」の士郎正宗が担当している。5年も前の本だが…士郎正宗のイラストがカッコよくて思わず買っちゃいましたよ。でも、これまた分厚くて読み応えありそう。読むのはいつになるか…。
↓ホラ、かっこいいでしょ、表紙が!中の口絵も全てオールカラー。


今日の105円GET
谷甲州「ヴァレリア・ファイル」上下巻 中央公論社 1999年5月発行 各定価1,260円(税込)
今日も100円コーナーの本が1冊50円だったので、思わず買ってしまった。他社で文庫で出ていた本を2冊のノベルズにまとめ、改訂したということだが…イラストを「攻殻機動隊」の士郎正宗が担当している。5年も前の本だが…士郎正宗のイラストがカッコよくて思わず買っちゃいましたよ。でも、これまた分厚くて読み応えありそう。読むのはいつになるか…。
↓ホラ、かっこいいでしょ、表紙が!中の口絵も全てオールカラー。


日本オタク大賞2004 編:日本オタク大賞実行委員会

日本オタク大賞実行委員会:編
扶桑社 ISBN:4-594-04418-2
2004年3月発行 定価1,600円(税込)

SF小説が続いて、頭が疲れたので(笑)、お馬鹿な読み物が読みたいと、これを選んだのが間違いだった。かなりディープな内容で、意外と疲れる。でも面白いので、読み始めたら止まらず、一気に読破(笑)
元々はCS放送のTV番組の企画としてスタートしたものだそうで、前回の2回目よりこうした書籍化もされているそうだ(未読なので早速、100円コーナーで探すぞ!)岡田斗司夫、唐沢俊一などオタク界のカリスマ(?)評論家さんたちが…いくつかのシーズンに別けて、2003年のオタク事情を振り返り、最後に大賞を選ぶというもの。
自分もアニメや映画は大好きで、オタクの部類に入るんじゃないかと思っているのだが…注釈を読まないと、ほとんど話題についていけない(笑)業界の暴露・悪口から始まって…DVD/HDレコーダーの使い勝手の素晴らしさまで、熱く語られています。
ガンダムSEED現象などというコーナーまで別枠で設けてあるだけあり、オタク大賞は「機動戦士ガンダムSEED」に決定してた。SEEDの福田己津央監督の受賞インタビューもちゃんと掲載されているので、ガンダムファンはチェックしておいた方がいいんじゃないのか?(笑)
個人的採点:70点
あなたは虚人と星に舞う 著:上遠野浩平

上遠野浩平:著
徳間書店 ISBN:4-19-905119-8
2002年9月発行 定価620円(税込)

結局、続けて「あなたは虚人と星に舞う」まで読んでしまった。似たような話で、ちょっと飽きてきていたのだが…さすが連続で3つ読むと、「わたしは虚夢を月に聴く」の時以上に、すんなりと世界観に入り込めた。
一人で敵と戦う少女の為に存在し続ける、仮想世界の話…。
前2作よりも前の話になるようで…これが始まりと考えるべきなのだろう(多分)
3つの違う物語を全部読んで、ようやく、このシリーズの面白さが分かってきた感じ。1作目を読んだ時が、一番意味わからなかった(笑)やっぱり3冊一度に読んで正解だったみたい…。
個人的採点:65点
今日の105円GET
北森鴻「共犯マジック」徳間書店 2001年7月発行 定価1,680円(税込)
既に文庫化されているようだ…
近藤史恵「シェルター」祥伝社 2003年9月発行 定価1,470円(税込)
シリーズものらしいが、他のを読んでない(^^ゞ
わたしは虚夢を月に聴く 著:上遠野浩平

上遠野浩平:著
徳間書店 ISBN:4-19-905067-1
2001年8月発行 定価620円(税込)

「ぼくらは虚空に夜を視る」に続いて読んだ、上遠野浩平のSFもの。
自分が住んでいる世界に疑問を持った少女の話…前作同様、マトリックスな世界観。でも微妙に…設定が違うので、時代背景などが違うのだろうか?
4章のうち、真ん中の2章は…主人公の少女とは全く別の視点で描いた…完璧にSF調の物語(単独の短編のようにも感じる)で…さりげなく、前後の章に関わってくる。
この作者のマニアはどう思っているか知らないが…1作目よりは分かりやすい内容。文章に慣れたというのもあるのだろうが…世界観に違和感なく入り込めたのも大きな原因かもしれない。1作目ほど…意識がいったりきたりしない(突然、宇宙での戦闘シーンになったり、平凡な日常に戻ったりしない)のも良かった。
続けて「あなたは虚人と星に舞う」を読んだ方がいいのかな…ちょっと飽きてきた(笑)
個人的採点:65点