<(2020年から)4年後―はじめに①>

 

4年ぶりにブログを復活せざるを得ない。

夫の言葉の暴力に反応しないことで何とか過ごしたが、

もう駄目だと思い突発的に家を出た。

 

家を出たのは、3月24日(日)。

数日前から夫に本棚の整理をしろと言われていたが、

転職して2か月、仕事で疲れ果て、しかも数日前に兄が脳梗塞で救急搬送され、それ所ではなかった。

余裕がないと言っても許されず、無理やり話し合いの約束をさせられた。

 

夫の¨話し合い¨では、いつも私が根負けをする。

疲れ果ててどうでも良くなり、「わかった」と言わざるを得ない。

その日もそうして終わらせたのだが、夕食を作っていた時にある事を言われ、プチっと切れた。

 

もう、駄目だ。これ以上、夫のワールドにいられない。

私が訴えたことは、何一つ夫に届いていない。

ただ夫は自分のワールドに、私を当てはめたいだけだ。

私は夫のパーツでしかない。

 

職場近くのホテルを予約し、荷物をまとめて家を出た。

夫は在宅勤務で子どもは高校生と中学生、もう大丈夫だろうという思いがあった。

 

家を出た時は1週間と思いホテルで過ごした。

しかし、もう、夫のワールドに耐えられない。

また責められる、恐怖。もう、家へは戻れない。

 

実家で滞在させてもらうことになった。

実家の詳細は省くが、父は怒鳴る人で、反発して育った。

大人になってから、怒鳴るとは他人を支配する言葉の暴力だと理解した。

結局私は、父と同じように言葉の暴力を振るう人を選んでしまったのか…。

滞在して1か月は良かったが、父に怒鳴られ実家を出た。

 

また、ホテル暮らし。でも、長くは居られない。

マンスリーマンションを1か月半借り、その間に賃貸探し。

実家やマンスリーマンションは¨仮¨でいられる。

賃貸となったら、布団や机、家財道具の引っ越しが必要となる。

執行猶予は終わった。

 

荷物をまとめて運び出すときに夫に会わざるを得ず、

それを避けるために¨仮¨でいた。

だが、カウンセラーに「夫が恐怖だ」と言ったら恐怖心が少し和らいだ。

口に出すことの大切さを実感。

3月24日から3か月後、ワンルームを借り、やっと落ち着いた。

 

一人暮らしをしていると、突然不安に襲われることがある。

耐えながらも家族と生活した方が良かったのかと思う瞬間もある。

しかし…。正直、夫から責められることがなくなりホッとしている。

洗脳から解かれたかのよう。これまでが、何だったのだろう…。

 

次へ進むためには、向き合わざるを得ない。

現状を変えるには、パターンを変えるには、客観的になる事、意識的になる事、言語化するしかない。

 

会話は流れる。

言葉の暴力を言語化するには、録音して文字起こしするしかない。

録音した会話を聞くのはフラッシュバックを起こし苦しかったが、

文字にしたものを読んで、パターンが見えてきた。

自分の人生と行動には、自分が責任をとらねばならない

 

これを自分に言い聞かせるために、こうして書いている。

 

                      P280「伯母が何をしたか、何を言ったか、どう思ったかとは関係なく、

                                 自分の人生と行動には、自分が責任をとらねばならないという事を、

                                 彼はちゃんと理解できるようになった。」

 

著者はトラウマを負った人々の治療を専門にする心理療法士。

上記の伯母は解離性同一性障害で、甥を愛したかと思えば、

別の人格に変化して甥を虐待し、そのことを覚えていない。

 

                P286「被害者としてのアイデンティティを持ち続けることは、

                         そのトラウマから回復する障害となる。

                         自分の悲しみは永遠に外からやってくると思ってしまうからだ。」

 

「回復しようとする人は、自身が被害者であることの自覚に耐えねばならず、

                         そして、そこから自力で抜け出さねばならないのだ」

 

ああ、重い。

自己憐憫に陥り、X JAPANを聴いて泣き続けた。

あの3年間(転職期)がトラウマだ。

私は逃げ続けている。

 

           P303「トラウマから抜け出すには、断片的な記憶を再加工し、

                      意識的な記憶に統合することが大切だ。

自分の人生で本当は何が起こったかを、できるだけはっきりと客観的に知る」

 

          P307「真の解決策は、安全な場所を見つけて発見し、思い出すことだ。

                     記憶から逃げることでは決して解決しないし、誰かを責めても解決しない」

 

夫を責めても解決しない。

客観的に知る。そのために、書いている。

 

P22「私たちは死を選ぶのでも、生きることを選ぶのでもなく、ただ生き延びている。

                     トラウマを負った人々から、ただ生き延びようとするだけでは価値がないと、

                     一度ならず聞かされてきた。

                     ふつうの人よりも自由な人生を独力で作り上げることによって

                     治療を成功させることが多いという皮肉な事実。

                     そうした人々は確固たる信念を持つ人間となり、情熱的に生きるようになる」

 

           P166「目標は、簡単に言えば、今をしっかり生きられるようになることだ」

 

            P308「私たちはトラウマの記憶に打ち勝ち、真に生きることを学べるのだろうか?」

 

子どものころから、自分は何故生きているのか、考え続けてきた。

今年で48才。振り返れば、何だかいろいろなものから逃げ続けている。

夫のモラハラを理由に、この先も逃げ続ける事を自分に許すのか、

逃げ道を残しておきたいが、ここから先は、自分の問題か。

 

P289「多重人格者の人生をコントロールしようとしてはいけない。

                                               自分の事は自分で決めなければならないのだから」

 

夫が多重人格かはわからない。

多かれ少なかれ、私も色んな顔を持つ。

 

          「身近な人が突然、怒りっぽく乱暴になったら、とりあえずそばを離れよう」

「私がいつも話してる人はどこかに行っちゃったみたいだわ。戻ってきたら話したいな」

 

夫がブルドーザー淳ちゃんの時はできるかぎり離れる。

子どもにも「触らぬ神に祟りなし」と言って、離れさせる。

私がイライラしている時は、「今イライラしてるから」と言って、自分から離れる。

   「基本定義 サディスト=他人に対して優越することを求める非常に競争心の強い人々」

 

       P15「彼らは他人とのやり取りの間でも、ずっと「どちらが勝つか」を考え続け、

           「勝とう」として相手を理屈でやりこめようとしたり、

            皮肉を言ったり、様々な手段を行使する」

 

       P16「単に「自分の意見を押し通す」などの域を超え、

           「相手を傷つける」こと自体を目的にした、非常に攻撃的なものとなる。

            当てこすりや皮肉のような、明白な攻撃と判別できない遠回しのものから、

露骨な避難のようなあからさまな攻撃まで、色々なレベルの攻撃が行われる」

 

夫は他罰的、私は自罰的。

夫の他罰傾向が、あの転職期に「傷つける」ことを目的とした

非常に攻撃的な経済制裁になった。

 

夫は猛進してきた研究者になれず、深く傷つき、

自分を破壊するか、他人を破壊するか、

自分に向ける内面はぽっかり空洞だから、

その痛みは外へ向けるしかない。

 

アスペルガー2次障害、と私が推論するのは、

「マンガでわかるアスペルガー症候群&カサンドラ愛情剥奪症候群」

カサンドラ妻の体験記 心の傷からの回復」(西城 サラヨ著)

で、著者の元夫がおこした2次障害の状態と似ていたからだ。

 

家庭の中で、目の前で、身近な人が起こす行動が異常でも、

それを異常と認識できるまでには時間がかかる。

日常生活の中で言葉は流れ、感情も流れ、うやむやに過ごしてしまう。

よっぽど痛い思いをしないと、問題として認識しずらい。

家庭にはブラックボックスのような暗闇がある。

何となく夫はおかしいと思っていたが、この本で夫の異常さに気がついた。

日常を綴る体験談には、無意識の現象を客観視させてくれる力がある。

 

           P17「相手が受ける苦痛に対して喜びこそすれ、

                後悔するような感情がほとんど見られない。

                せいぜい「ざまあみろ」「思い知ったか」などと考えている。

                彼らは「意地悪な人」なのだ。

                この「意地悪な人」という現象こそ、

日常生活で周囲の人間を苦しめるもっともありふれたかたちであろう。」

 

「ざまあみろ」

何度、聞いたことか。

私にはその感覚があまりない。

意地悪されて、こちらがどんなに嫌だったか、

話せばわかってくれると思い、訴え続けたが、無意味だった。

 

   P64「投影=自分がそうでなく、相手がその傾向を持つと考えて

             葛藤を回避する心理的操作。

自らの攻撃的行動をやむをえない正当防衛と位置づけ、罪悪感を感じずにすます。

        自らの攻撃性を正当化し、「攻撃された」と被害者化する」

 

夫「Hirokoは働くと言ったのに働かず嘘をついた。嘘をついて謝らなかった」

(息子のアレルギーで心身ともに働ける状態でないと何度も言ったのだが…)

 

夫「Hirokoが謝らなかったからサディスティックに責めた時はある。

   Hirokoが謝っていたらああはならなかった。」

 

休日、買い物から重たい荷物を運んで帰ってきても、

夫と子どもはテレビを見続けているので、手伝ってほしいと言った。

  「お母さんは機嫌が悪くて、みんなが手伝わないともっと機嫌が悪くなって

    夕飯作ってくれないんだって。」

と、悪意を込めて、意地悪に子ども達に言うので、

  「お母さんが大変だから、疲れているからみんなで手伝おうで良いのでは?

    言い方がとても意地悪だ」

  「そうだよね。オレもからかいたくなっちゃうんだよね。」

 

私 「(アスペルガーを)自覚してほしいのだ。」

夫 「あんなエセ科学(私がカウンセリングに通う心理学)は信じない。

   Hirokoは変な宗教にはまってオレから飽きられようとしている。」

私 「あの3年間(転職期)をお互いさまにはできない。モラルハラスメントがあった。」

夫 「Hirokoもオレにモラルハラスメントをした。じゃあ自分がしたことは何なのだ。」 

私 「モラルハラスメント、精神的いじめがあった。サディスティックに追い詰めた。」

夫 「Hirokoもオレに対して悪かったと思ってないんだろ?

確かにモラルハラスメントはあったよ。それは事実だよ。」

私 「それで悪かったとは思わないでしょ?それが苦しい…。」

 

スマホでX JAPANを聞きながら夕食を作り、夫がうるさいと言う。

私 「いつも子ども達が勉強している時は消すけど、みんな好きな事をやってるじゃん」

夫 「オレはその音楽を聴きたくない。こういうのを環境ハラスメントというのだ。

    そのスマホは電話をするものであって音楽を聴く為ではない。

    オレがスマホを買ってやったんだから、そのスマホで音楽を聞くな。」

私 「私はテレビをあまり見たくないから、みんなが見る時は2階へ行く。

    でも、テレビを見たい気持ちはわかるよ。淳ちゃんも聞きたくないなら2階へ行けば?」

夫 「オレは音楽を聴く気持ちがわからない。」

私 「本当に、淳ちゃんはアスペルガー傾向があるよね。気持ちが分からない。」

夫 「Hirokoに共感する価値がないから共感しないのだ。愛や尊敬や共感するに値しない。」

私 「共感というのは、したいと思って共感するのではなく、してしまうもの、

    普通は逃れられないんだよ」

 

      P72「他人を傷つけるような言動をおこなっても、

           後悔したり罪悪感を感じたりという抑鬱的な感情を体験することはまずない。」

 

       P81「どうすれば相手をより効果的に深く傷つけられるか、

            どの様な皮肉が相手にグサッとくるか、

            他人を傷つけるテクニックに関しては非常に巧妙だ」

 

           「言葉を用いた暴力が一旦始まると、限度なく、

            相手を再起不能なまでにぶちのめしたり、

            二度と反抗する気持ちが起こらないほどの恐怖感を与える方法をとる」

 

ブルドーザー淳ちゃん(モラハラ・原理原則系)は、まさしくそうだ。

 

  P72「彼らは他者を困らせたり傷つけたりできたこと自体を、自らの優越性の証と考える」

 

転職期の3年間、プライドを保つため、優越性を感じるため、

逆に言えば、常勤になれない劣等感から逃れるため、

論破という、言葉の暴力で私をぶちのめし、狂っていた。

でも、夫にとっては正しい事をしただけ、というこのギャップ。

このギャップが苦しいのだ。

夫が私のこの苦しみを理解することは、一生ない。

諦めるしか、ないのか…。

 

      P61「攻撃的な人が好きな言葉は「ノー」です」

 

私「これ食べる?」

夫「いらない」

 

私「ピアノのコンサートに行くけど、淳ちゃんも行く?」

夫「行かない」

私「職場で飲みに行かないか誘ってもらって、「行かない」と言うの?」

夫「行かないと言われても別に何とも思わない。結果は同じだからそう言う」

私 「ちょっと…」とか、「用事があって…」とか、ぼやかして言わないの?

    せめて、「行かない」とバッサリ切るのでなく、

    「どうしようかな」ぐらいに言ってもらいたい。もう誘いたくなくなる」

夫「一般的にではなく、Hirokoが嫌だという事だけだね」

私「えっ?」

統計を取らなければならないのか…!

 

娘がみんなでウノをしようと言うと、

夫「やらない」

私「せっかく誘ってくれているんだから、1回ぐらいやろうよ」

夫「オレはやりたくない」

 

心を挫かれる。もう、話したくない。

条件反射のように「いらない」「行かない」「やらない」を言う。

 

                P65「攻撃や罵倒にさらされる状況に身を置いた場合、

通常人は防御に努めるか、同じように攻撃的な言葉で応酬する」

 

泣いて、怒って、本当に疲れた…。

あの転職期の経済制裁はなんだったのか?

私に対するストレスのはけ口だけなのか?

 

      P154「本当の意味が知りたい。

アスペルガーの特性と関連があるなら、どの様な関連があるのか知りたい。」

 

苦しみの原因を合理的に理解したい。

しょうがない理由があったと分かれば、怒りの気持ちはやわらぐ。

 

                  P35「妻に対して攻撃に転じた時の夫の言葉は、

                       あまりにも論理的であるが故に鋭いナイフのようで、

                       反論できないままに妻の心に突き刺さっていく。

それが日常的な些細な事であることに圧倒されるものがある」

 

「(私を)飼ってやってる」「怠けている」「わざわざ」「いちいち」「ヒーヒーハーハー」

気持ちを逆なでし、悪意のある言葉を会話に入れる。

 

                P125「本当の事を言っているだけで、

                      悪意がないため、謝る必要を感じない。

                      他者がどの様に感じるか想像することが苦手なので、

 自分の言動が人にどのように受け止められるか気を付けるより、

                      発した言葉の内容が正しいかを優先する傾向がある」

 

「主語は?」

何度、言われたことか。

何気なく、日常会話を始めると、「主語は?」

想像で補って、自然でスムーズな会話をする発想なし。

話す気力をなくす。

 

 

P92「負けることが嫌いで、負けそうになると自分の有利になるように

                      屁理屈で自分ルールに変えようとする」

 

負けるのが好きな人は誰もいない。

しかし、私の負けたくないと、夫の負けたくないは、明らかに違う。

もちろん、夫はカルト宗教の教祖ではなく、意図していない。

だが、カルトにはまり依存して抜けられない状況に、何だか近いものを感じる。

 

息子のアレルギーが重く、¨アレルギーの奴隷¨と感じていた期間、

カサンドラ状態で自我を殺し、自分を無にしてロボット化し、自分を失った¨空白の期間¨。

しかし、この状態が進むと、無力感から人格崩壊に至る。

 

P211「自分が別の誰かの人生を生きているのだと気づくまでに、

                          長い年月を要した人がいる。

                          静かな絶望感が訪れることが頻繁にある。」

 

夫の転職後、実家近くへ引っ越し心の底から

「自分の人生に帰ってきた」と思った。

その事を友達に言ったら「空の巣症候群じゃないの?」と言われた。

カルト宗教と主婦では対象が違い過ぎるが、要は自分の人生を生きていない。

 

            P212「もしアイデンティティの希薄化に伴う絶望感と無気力が

                  あまりに深く浸透しすぎると、その人を捕らえたままでいても、

                  役に立たない人間になる。」

 

「人格を崩壊する過程は、例えば教団の会計係やセンター長などとして

                  機能する程度には自意識を残しながら、手加減して進める。

                  一方で自意識が強すぎると、その人独自の思考が残ることを意味し、

                  教団を去っていく可能性がある。

                  リーダーはこの人格崩壊の期間を情け容赦なく利用して、

                  その人が燃え尽きるまで自分の都合のいいように搾取しつくす。」

 

私はカサンドラ状態の時、無力感、絶望感の中にいた。

夫は鉄の壁。

泣き叫んでも絶対に動じない。絶対に届かない。絶対にわからない。

夫は正しい事をしているだけ。意図はなかったと思いたいが、燃え尽きた。

 

「人間の最も素晴らしい知恵である「自己の内側からの導き」を無視し、

                 自分自身の心の声からも遠ざかってしまう。」

 

自我を殺し続けると、人格崩壊…。

 

                          「社会復帰とは、境界の自覚化と尊重に他ならない」

「カルト団体の実態が何かに気づき、理解することこそが、

                           大きな苦痛を受けた状態から回復する」

 

あの転職期の経済制裁は何だったのか?

 

            「夫がアスペルガーと思ったとき妻が読む本」(滝口のぞみ著)

      P154「本当の意味が知りたい。

アスペルガーの特性と関連があるなら、どの様な関連があるのか知りたい。」

     「カルト被害とは、境界の侵犯そのものである。」

 

夫は自我境界が¨曖昧¨なのではないかと思っている。

(私は自我境界が¨薄い¨ことに45歳の時気がついた。)

 

付き合っている時や海外生活、夫と2人で閉じていた。

私の母はドライな人なので、世に言う一卵性親子という感覚は微塵もない。

でも、夫や義母、義妹を見ると、一卵性親子がいるのもわかるし、

夫と閉じていた時は、そんな感覚だったかもしれない。

それはそれで、心地よかった。

 

ちょっと話は変わるが、

牛にも母性の強い牛と、弱い牛がいて、子牛の世話が違うそうだ。

私の母や私はスーパードライ。だが義母はスーパー母性。夫も父性が強い。

とはいえ、最初から父性の強さまで感じなかった。

アトピーで痒かったのだろうが、生後から5歳まで息子は夜泣きが酷く、

夫「うるさくて寝れない。明日仕事にならない。」

何度、夜中におんぶして公園へ行ったことか。

 

しかし、2011年東日本大震災の後、息子のアトピーが全身大悪化。

痒いのだろうが泣き叫ぶ発作が何度もあり、幼稚園へ1ヵ月行けず、

アレルギーっ子の親は夜寝れないので、日中も朦朧とする。

夜中にアトピーで掻きむしり、喘息で咳き込む息子の対応をしてくれるようになった。

 

当時のカウンセラーに言われた言葉が忘れられない。

「父親になったんですね」

 

夫は子ども達のために尽くしている感じがする。

しかし、自分と息子の境界がわからないのではないかと思う時もある。

 

医者にもやめてもらうよう言ってもらったが、

息子のアトピーの傷口の膿を潰して出してしまう。

私「不衛生だし、治りが悪くなるし、痛そうだからやめてくれ」

どんなに言っても、やめてくれない。

夫が自分の皮膚の膿を潰して出すなら、何も言わない。

子どもだよ!他人だよ!

 

息子が都立中高の受験をした時、

私立の滑り止めも考えてくれと言ったが、

「私立は(授業料が)高い。」――なし。

一緒に頑張る仲間を作る意味で、塾へ行くことを考えてくれと言ったが、

「自分が教える」――なし。

 

平日帰宅後、土日、まさしく、親子カプセルの中で教え続けた。

それがまた、夫は嬉しそうだった。

卓球の愛ちゃんやイチロー選手、氷山の一角だが親子カプセルで成し遂げた人もいる。

自分と子どもの境界感覚が曖昧だからこそ、できることがあるのかもしれない。

子どもとのベッタリ感、私には絶対できない。

 

夫は自信満々に大丈夫と言っていたが、

息子は試験に落ちた。

私「受かるのではなかったの?」

夫「Hirokoは何もしないでタダ乗りしようとしただけじゃないか」

???

タダ乗り?

私はカルト宗教にはまらず、夫にはまった。研究の夢を語り、流されない夫に魅かれた。

夫と離れられなかった。

学生時代から7年付き合い、行き着く所まで行くしかないと思い結婚した。

 

付き合っている時の言葉

夫「Hirokoから別れると言う事はあっても、自分から言うことはない」

夫「Hirokoの事はオレにしかわからない」

 

恋というトンネルの中で、依存していった。

 

カサンドラ状態の時、ふらっと入ったブックオフで本に呼ばれた。

 

         「マインドコントロール」(岡田尊司著)

         P102「強くゆるぎない存在に自分を同一化する事で、

               ちっぽけで弱い自分も生きる確かな意味があると感じたい。

そうした願望が、カルト宗教やファシズムなどにすがる人々を生み続けた」

 

         P212「カルトの長が新しいメンバーを得る時も、

               暴力団員が若者を闇の世界に引きずり込む場合も、

               その力の源泉は、自分の事をわかってくれた、

               認めてくれたという思いであることが多い。

               自分を認めてくれたものに対して、忠誠心を生み出す。」

 

付き合っていた時、職場で嫌な先輩がいて愚痴ると、

私の代わりに悪口を言ってくれ、救われた。

攻撃的な事を言われると頭が真っ白になり、言葉が出てこない。

悔しい思いが残る。

しかし夫は「お告げじゃー」と茶化して

「こう言われたら、こう言い返せば」と教えてくれた。

それらを言うことはなかったが、

懐刀として言い返す言葉を持ち、何とか自分を保った。

 

夫は¨敵¨認知した人には、感情を入れずにこき下ろす。

辛辣に悪意を込めて貶める。

結婚前にはすがり、悔しさをやり過ごし、楽しみもした。

でも今、私を¨敵¨認知し、私をこき下ろし、子ども達に言ってしまう。

子ども達に私の悪口を言うのはダイオキシンの猛毒だから、

子どもに言わないでくれ、誰か大人に言ってくれと言っても、やめてくれない。

 

私は子どもの頃、母から父の悪口を聞き続け、母を支えた。

だからか、精神的な問題を抱え、心理系の本を読み漁った。

だが、信田さよ子さんの本で親への見方が変わった。

確かに父は横暴だった。パワハラの原型だ。

でも、それを母親が子どもに垂れ流すのはダイオキシンの猛毒である。

母にとってどんなに酷い夫であっても、子どもにとっては父親だ。

母もズルかった。精一杯だったのだろうけど、子どもに言い続けてはならなかった。

 

話は少し変わるが、カウンセラーに言われてハッとしたことがある。

ケンカした時など、夫婦の問題を子どもが聞いてきた時、

¨お父さんは¨¨お母さんは¨と言うと、子どもとして巻き込まれてしまう。

夫婦の問題は、親子や家族の問題と切り離さなくてはならない。

主語を意識して使った方が良いと。

それ以来、子どもに話す時、¨淳ちゃん¨¨お父さん¨を使い分けるようにした。

 

            P245「暴力を振るわれても離れられない女性は、

                  囁いてくれた愛の言葉に縋りつき、他にはいないと思ってしまう。

               こうした事を心に秘めている限り、支配力は衰えない。

                  しかし不思議なことに、口にして語り、

                  自分を縛る気持ちの正体がわかってくると、

                  支配する力は次第に制御できるものになっていく。」

 

                 「依存する気持ちの根底には、愛情やつながりを求める気持ちと、

自分の存在や価値を認めてもらいたいという思いがかかわっている」

 

                 「カルト宗教にしろ、パートナーとの依存的関係にしろ、

                  そこから脱出して自立を成し遂げるには、本来あるべきつながりや、

                  自己価値を健全な形で取り戻す必要がある」

 

狭い世界で生きているうちに、他の世界に適応する自信も勇気も失っていた。

夫の仕事の関係で海外に5年住んだが、

会話に自信なく、家にいることが多かった。

重いアレルギーの子を抱え、でも何とか頑張った。

夫の経済制裁、うつ、主婦歴合計15年。

 

「元気を取り戻す過程で重要なのは、経済的に自立できる自信を持つこと。」

精神科で

 

・このままでいてはいけない。環境を変えないといけない。

・不安発作として、体が信号を発している。一過性の適応障害

・相手がどうであろうと変えることはできない。

・本人は困ってないのだから期待しても無理

・それよりも自分らしく、自分の人生を生きるのだ。

 

話すことが大切だと思った。

夫に囚われていた。

無意識だけど、自分から囚われ怯えていた。

抜け出すためには、誰かと話し、色んな人と出会う。

狭い世界で自ら囚われていた。

気持ちを、意識を、他人に向ける、出会う。

本でも音楽でもなく、人と会い刺激を受ける。

夫「過去をほじくり返す話はしたくない。これから前向きに、

   心身ともに健康に生活していくために具体的にできる話をしたい。」

 

私「私が家を出て4人で話した時、今まで2人で閉じてきたから、

   オープンにしようと話したよね。淳ちゃんは私の事を誰かに話した?」

 

夫「話してどうにかなるとは思えない。話そうとも思わないし、

   果たして話して何かが変わるとは到底思えない。本なら読んでいる」

 

私「私の悪口でいいから誰か大人に話してほしい。

   私は友達やカウンセラーに話して、私がこうだと思ったことに対して、

   カウンセラーが専門知識で修正してくれたり、

   独りよがりの考えに気づく事が何度もあった。

   人と会って話して、修正を加えて、というのがとても大事だ。」

 

夫 「これまで、やれる事はやったし、頑張ってきた。もう疲れた。

    この状況が続くのであれば、もう終わらせたい。

    これ以上できる事があれば教えて欲しい。」

 

私 「前から言っているけど、私と淳ちゃんの事を誰か大人に話してほしい。」

 

夫 「それは必要ない。絶対。」

 

その時から、夫による100%完全無視が始まった。

100%とは、おはようと言っても、何も返ってこない。

目は空洞で、100%私の存在を消し去った。

 

夜中に寝ながら100%完全無視の夫の顔が浮かび、

ガバッと起き、居ても立ってもいられず雨の中外を歩き回った。

次の日の夜中、夫に喉を掻っ切られて殺され、

「お前が悪い」と責められる夢を見てうなされ、ガバッと起きた。

 

100%完全無視の夫の顔が瞼に張り付いて、このままだと発狂する、

助けを求めなければ駄目だと思い、電話相談をし、精神科クリニックへ駆け込んだ。