雪上の足跡

雪上の足跡

降っても融けても消える、はかないメモリー

休日朝9時、メールが来る。

姑「おはよう。今日はどんな予定なの?」

私「雨らしいので、家にいると思います」

姑「じゃあ、私が行って孫と散歩しようかしら?

  こっちは晴れてるのよ」

私「こっちもです。いま散歩にでるところです」

 

午後から雷を伴う雨という予報。

先週一緒に買い物に行ったし、

雨の帰り道、田舎道で転んだりしても困るし、

やんわり来ないように牽制。


家事をして子と外へ出る。

下駄の音で夏を感じるのは私だけ。

市のイベントで無料野外ズンバ教室があり

爆音のビーチで1時間ほど遊んで帰ると

姑から連絡が来てた。

 

姑「ちょっとお宅へ行くわね。

 あなたに用事があるの。家にいる?」

 

来ると宣言している人を止められようか。

丁度昼ご飯を作ろうとしていたところだったので、

私「お昼ウチで食べますか?」

姑「待たないで食べてて。私は何も作らなかったの。

 ボルシチは持っていけないでしょ」

私「作らなくていいんですよ。うちで食べるなら

 一緒に食べたいので待ちますけど」

姑「いまバスを待ってるところ。

  待たないで食べてて。」

 

ペリメニかうどんなら簡単だし待とうかと思ったら、

子がインスタントラーメン食べたいと

自発的に湯を沸かしたり用意しているので、

食べた。義母にもラーメン出そう…。

 

気温27度、体感31度。部屋も暑いので、

S&Gを聴きながら、パズルしたりして。

義母は台所で孫と話している。

 

用事とは、二つあるグラサンが壊れたので

修理してほしいとのことだった。

姑「気づいたらネジが外れてて、

 鞄の中や床を探したんだけど、ないの。

 古い眼鏡のネジとか代用できないかしら。

 ミニドライバーもかき集めて持ってきたわ。

 これドイツのいい眼鏡なの。気に入ってるのよ」

 

1つのグラサンは前も修理を頼まれたが、

どうにもできない壊れ方をしてた。

2つ目のグラサンはネジが外れただけ。

古い眼鏡のネジは1.5倍長く。

径はなんとか合うようだが、足が長くでる。

姑「誰もこんなとこ見ないから、コレで十分。

  ここ、接着剤付けた方がいいかしら?」

私「糊は付けない方がいいと思いますよ」

姑「あなたは本当に何でもできるのね!

  頼んで正解だわ」

 

長年こういう男仕事は全て舅がやっていたので

自分でもできるかも、やってみよう

という発想にはならない。

近所の修理屋には行かないのね。

 

孫には携帯を与えて、アニメやゲームに夢中で

返事してもらえないもんだから、

私を相手に喋る喋る。

パズルをしながら、相槌を打つ。

 

滞在時間の半分は子に携帯を見せており。

「うちに来ればテレビ見れるわよ」と

孫には直球で勧誘するが、

そう言えば言うほど、保護者の私の足が遠のく

ことを理解していないのだろう。

 

帰り際、

姑「この襟足の部分が伸びてきたでしょ。

  自分で切ろうかしら。でも変になるしね。

  息子のバリカンはないかしら、ある?

  まぁ、そこまで短髪にはしたくないのよ。

  でも、この辺伸びてきたわ~」

と言いながら、チラチラ私を見る。

 

肩をすくめてスルーする。

私に散髪してほしいんだろうけど、

シルバーパス(割引してもらえる)あるんだから、

床屋で切ってもらえばいいじゃん。

ある日、親知らずが崩壊し、

口の中にかけらが転げ落ちる。

抜歯と言えばこの人!の

ラリサ先生が病院にいない。

夏休みなのか転職してしまったのか。

わざわざ高い料金を払って下手な人に当たると

悲しいので、国家医療保険を利用して

悪名高い無料医療を受けることにする。

 

予約して、口腔外科医の部屋に入ると、

医者がPCの前に座っており。

医「今日はどうしたんですか?」

私「右上の親知らずが崩壊したんです」

医「じゃあ、レントゲン、43‐45号室へ行って。

  行けば分かるから」

口の中を見もせず、送られた。

上の階に行くと、6人ぐらい待っており。

10分ほどで呼ばれ、レントゲンを撮る。

レ「紙の指示書は?」

私「え?もらいませんでしたよ。

  外科医の指示で来たんですけど」

パソコンをカチャカチャして見つかったらしい。

レ「主治医のPCに表示されますから、

  そのまま戻ってください」

 

外科医の部屋に戻ると、麻酔アレルギーの有無を

確認し、椅子に座るよう言われる。

その人は大変な巨漢で、治療は立ってやる。

だから患者椅子は倒さず、かなり上までウィーンと上がる。

医「左向いて」

患部をグイグイ押されると思ったら、

医「呼ぶまで廊下で待ってて」

 

ん?口の中にじわっと麻酔の味がする。

「チクっとしますよ」とか言わない。

いつの間に麻酔したんだか。

麻酔針ちゃんと消毒してあるのか?

「口をゆすいでください」とかない。

 

廊下にいる間、掲示物を見て、

その外科医が勤続20年以上25年以下と知る。

一応、プロの筈なのだ。

 

呼ばれて部屋に戻って見ると、

口をゆすぐ場所に物が置いてあって、

ゆすげないようになってるし、

唾液バキュームとかジェット水流とかも

装備は遠くにあって使ってなさそう。

医者はPCのYouTubeでサッカーを見ていた。

隠そうともしない。

 

サッカー動画を付けたまま、近づいてくる。

よだれかけとかしない。何もない。

私「息子に見せたいので、歯をもらえますか」

医「そりゃ、私には必要ないですからねぇ」

そして、ぐっぐっと力を入れて抜歯。

「手を出して」と言われ、手に直接

抜いたばかりの血だらけの歯を置かれる。

(消毒器具の袋とかが存在していない…)

 

そして、何かが口の中で落ちた。

ん?親知らずが二つに割れたのかな?

その男(外科医)ティッシュを私の手に置き、

落ちた物をその上に乗せた。

医「はい、終了です。XXXXXXXXXX」

何か注意事項を言っていたが、手の中の物に

気を取られて聞いてなかった。

すっかり欠けた筈の歯の歯冠部分がある。

なんだこれ?

私「これは、隣の歯ですか?」

医「被せ物が取れたから、セメントで

  つけてもらって。僕は専門外だから。

  受付で聞いて予約取って」

 

親知らずは歯冠部分がほぼないにもかかわらず、

上手に抜歯できている。

 

帰り道、子供が掛かっている歯科医院に

電話して、予約を取る。

被せ物を付けるぐらいはそんなに高くないだろう。

 

口の中に綿らしきものが残っているので

噛んで止血。抜いたところに薬は入れてない。

鎮痛剤などの指示もアフターケアもない。

何か言ってたけど、聞いてなかったのは私。

家で綿を出したら、綿ではなくガーゼ。

今時の丸めてある綿じゃなくて、ガーゼ……

 

とことん必要最低限しか話さず、

患者とコミュニケーション取る気ゼロ。

それに設備も紙ナフキンとか諸々なにもない。

恐ろしい無料診療。ところで、ここでは有料診療も

受けることができ、そこには十分な設備があるのだろう。

しかし、麻酔が覚めても痛まず、腫れず。

口の中は血だらけで違和感はあるけど、

寝る時抜歯した側を下にしても痛くない。

翌朝はもう何事もなかったかのよう。

 

アイツ(口腔外科医)легкие руки(軽い手)の

持ち主なのだろうか。”軽い手”は熟練した手腕という意味で

賛辞である。もっとカリスマだと

золотые руки(黄金の手)という。

予後が良い以上、文句はない。

一か月の生活費の1/3~1/2を節約。

 

取れた被せは、涎掛けや設備が充実して

歯科助手と二人掛かりであれこれ

コミュニケーションを取りながら民間歯科で

1500Rub(約2700円)。

 

 

 

 

 

 

 

朝7時半にポータルでエコー予約ボタンを押すと、

2週間後の木曜日に12枠表示された。

先着16人の4人は既に場所を押さえたという事

なのだろうか。

泌尿器科もエコーの翌日に予約。

 

時間より少し早めに着いたが、

先客も待ち人もいなかったので

スムーズに検査してもらえ、

結果は電子カルテでチェックできる。

 

翌日、1時間ほど早く泌尿器科に着いたが、

ここでは時間まで待たされて、診察。

外科医の意見を聞いてみた方がいいとのことで、

小児総合病院(いわゆる大学病院的な)へ行って、

また戻って来いと。

私「経過観察でもいいんじゃないでしょうか」

泌「そうですね。でも、いつ頃から水が

  溜まりだしたのか不明ですし。

  念の為、他の先生にも聞いてみましょう」

セカンドオピニオン。

 

以前は、紹介状なる紙を何枚か渡されたが、

電子カルテになって紙は不要に。

その代わり、医師の画面に表示される紹介状を

スマホで撮る作業が増えた。。。

紹介状番号とか小児総合病院の名称など

知っておかなければならないので。

医「ネットで申請すると折り返しTELがあるので、

  時間を決めて診察を受けてください」

 

家に帰って、電子カルテを見てみたが、

申請する場所などない。

総合病院のHPを開いて、

紹介状による診察予約ページを開くと、

赤字で「6月◎日以降に紹介状発行された人は

診察申請の必要はありません。7日以内に

病院から連絡が行きます」とある。

 

半信半疑で4日待ってみたけど連絡なく。

5日目にHPで診察予約フォームに入力。

それから7日経っても連絡なく。

 

HPにある診察予約用に電話しても

コール音すらなく

「この電話は応答していません。

後程おかけ直しください」

 

総合病院のコールセンターに電話すると、

私「紹介状による診察を予約したいのですが」

コ「7日以内に自動的に連絡しますので」

私「それがなかったんです。HPのフォームで

  申請しても折り返し連絡なかったんですが」

コ「その場合は、診察予約用番号にかけてください」

 

その日一日中電話してもコール音は鳴らず、

翌日電話しても同じなので、またコールセンターに。

コ「7日以内にこちらから連絡しますので」

  その場合は、診察予約用番号にかけてください」

私「だから、その番号が応答してないんです」

コ「番号は8時から20時まで対応していますので、

  掛かるまでかけてください。それともなければ、

  直接病院の窓口で予約することもできます」

私「いや、遠いから行くのは厳しいんです。

  10時、11時、13時、15時、16時半に電話しても

  一切コール音がならないんですよ」

コ「診察予約用番号は8時から20時まで有効です」

私「聞いてます?」

コ「他にご質問がなければ失礼します。ガチャ」

 

(ꐦ°᷄д°᷅) ヤロー!!

どういうこっちゃねん!

 

かなりフラストレーションが溜まったが、

ふと、エコー予約を思い出し、

朝8時に電話してみようと思い至った。

 

翌朝8時00分、診察予約用番号に電話を掛けると、

コール音が鳴り、曰く

「ただいま全てのオペレータが対応中です。

 ただ今の待ち人数14人、30分以上かかる予定

 予約の申請や変更はHPからも可能です」

 

ここでHPに移ったら馬鹿を見る。

ひたすらに待つこと23分。

オ「はい。モロゾフ病院」

私「紹介状による診察を予約したいんですが」

オ「何科ですか」

私「泌尿器科」

オ「3週間後の18時はどうですか」

私「大丈夫です」

オ「子供の氏名、誕生日をどうぞ。

  ああ、紹介状がありますね。

  (電子カルテでも見ているのだろう)

  電話番号はXXですか?」

私「(それは夫のだ)違います。YYです」

オ「7号館の3階です。1階で登録してください。

  パスポート、年金証など持参。

  30分前には来てください」

私「はい」

 

ヽ(○´w`○)ノ 

 

今回は全然急いでないからいいけど、

診察が3週間後って、根気がいることよ。

 

子「Всё из-за пандоры!」

 (みんなパンドールィのせいだ!)

私「なに、パンドールって?」

子「覚えてないの⁉」

私「え…?」

 

ある朝、目覚ましが鳴って、

二人とも目を覚ましたけど寝てる状態の時。

子「ママ、眉毛を切りたい」

私「は?」

子「眉毛じゃない、まつ毛」

私「なんで?」

子「長すぎるから」

私「・・・まつ毛は目を保護するものだから、

  切ったりしないんです」

子「ママはまつ毛短いよね」

私「・・・・・・・あなたよりはね」

子「僕の方がまつ毛長い」

純然たる事実ですから、いいですけど・・・

 

見たら、風邪で目がウルウルしており。

目ヤニがまつ毛にこびりついて苦戦し

その発言になったらしい。

熱はないが、咳もしているし、園を休み。

 

数日間家にいるとつまらないので、

外に散歩しに出たいという。

子「遊びに行きたい!エゴールが待ってるから!」

私「病気の時は外に出ないの。

 エゴールと遊んだら、今度は彼に病気が移っちゃう

 かもしれないでしょ。治ってから。

 (大体、病気のイワンと外でばったり会って

 一緒に遊んで移されたんじゃ、愚か者)」

子「Всё из-за пандоры!!(パンドールのせいだ)」

 

はて、パンドールとは何ぞや?

 

何で覚えてないの!と興奮した子が

本棚へ行き、ギリシア神話の本を手に取った。

あぁ、パンドラ Пандораパンドーラ。

彼女が箱を開けたばかりに病気やら嫉妬やら

禍が人間界にもたらされた。

 

わざわざ子供用神話を入手したが、

端折り過ぎでヘラクレスのヒドラの血とか

面白いエピソードが入っていないので、

結局かいつまんで大人版を読むことになり。

下読み(夫に発音をみてもらう)の時間もなく

知らない固有名詞をいちいち辞書引く間もなく

ひたすらに怪しい発音でたどたどしく読んだ。

 

時々自分でもなんの呪文を唱えているのか

わからなくなりながら音読していたの、

ちゃんと内容を分かって記憶してるのね。

 

子「ママ、Еврисфейは弱虫だよね、ケラケラケラ」

別の時、遊んでいた子が脈絡もなくこんなこと言い。

はて、Еврисфей エヴリスフェイ。

何だっけ、誰だっけ?

私「Еврисфейって誰だっけ?」

子「ヘラクレスはバーン、

  Еврисфейはヒーッて隠れる」

私「ああ、王の・・・」

日本語思い出せず。

エウリュステウス。

 

子の思い出しギリシア神話について行けない。

 

 

私「狂犬病の予防接種お願いします」

医「狂犬病だけ?他のワクチンは?」

私「のみでいいと思ってます」

医「ノビバックがあるけど、

  海外へは連れ出せないわよ」

私「・・・連れ出せる可能性は残したいので...」

医「じゃあ、チェコ製のこっちね」

私「ノビバックはロシア製ですか?」

医「違うわよ、オランダ製。並行輸入で

 入ってきてるの。だけど、EUが輸出禁止してるから

 22年3月以前ロシアに輸入された製剤は消費期限が切れて

 今ロシアにはノビバックは存在しないという建前なの。

 だから、動物パスポートにノビバックを打ったとあると

 偽製剤という認識で、受け入れ国側で却下するのよ。

 ちゃんとワクチン打ってるのにおかしな話よね」

私「(そういえば、去年もそう言ってた)

  値段はどのくらい違いますか」

医「チェコ製は狂犬病とワクチン込みで

  3200Rub (約5700円)、ノビバックは

  狂犬病のみで2700Rub(約4800円)。

  ワクチンもつけると4200Rub(約7500円)」

私「じゃあ、チェコ製で」

 

何故か聞かれなかったけど、

虫下し飲ませたことを自己申告。

 

キャリーのふたを開けても猫が出てこない。

緊張で硬直している。

獣医師が触診すると、シャーシャ―言っているが、

噛みつく様子はない。

要領よく首後ろと後ろ脚に注射して終了。

夫が連れて行くと、パニックで爪を立てて

逃げ出そうとしたり暴れるそうだが、

私との時は静かだ。

一週間以上背中を濡らすなと言われ。

背中に垂らすノミ除けは3日後からいいらしい。