雪上の足跡

雪上の足跡

降っても融けても消える、はかないメモリー

音楽学校で、ピアノの先生が一か月以上前から、

12月18日はзачётと言ってきた。

зачётというのは、点数をつける試験というより

合格か不合格かを判断する試験らしい。

 

16日の合唱の授業では、

зачетの代わりに親相手にコンサートするという。

リハーサルのあいだ廊下で20分近く待たされ、

先生が出たり入ったり、なぜか校長が入ったり出たり、

伴奏の先生が入ったり。

教室に通され、3曲5分弱、歌を披露。

終わってすぐ解散。

 

子「ママ、ディマがね、なんて言ったと思う?

  先生が部屋から出てった後、

  『これからговно(糞)が来るぞ』って。

  ヒッヒッヒッ」

私「あんたねぇ・・・。

  背が高いから列の端に立ってたと思ったけど、

  さては、あなたとディマがふざけるから、

  両端に分けて立たされたのね?」

子「そうだよ」

 

音楽学校には入口手前に赤い腰掛が4脚。

ここが親の待機所。

 

当日、15分前に先生の部屋へ行くように言われ。

そこで2回課題曲4曲をリハーサルし、

他の子供も3,4人来て、それぞれの課題曲を練習。

後で、

子「女の子がとても男の子っぽい曲を練習してて、

  僕もそれを弾きたかったなぁ」

私「教科書から見つけることができるんじゃない?」

 

それから先生に導かれ、会場に一人ずつ入る。

会場には二人の先生が審査員でいて、

1曲目は先生と連弾、ソロで3曲を披露し、退出。

先生の部屋でしばらく待った後、

全員が会場に呼ばれ、審査員から成績を発表されたそうだ。

 

出てきた他の子供が「ほとんど皆5だったよ」

なんて大声で話しているのが聞こえてきた。

(зачётでも成績付けるのか…)

 

出てきた子ははにかみながら、

まずは建物から出て、道々「5だった」と話した。

1年生には成績を付けないと言っていた気がするが、

甘めの採点でやってるのだろうか。

子「5とか、4マイナスもいたよ」

私「ふうん…。5プラスは居たの?」

子「5はプラスもマイナスもなかった」

私「そう」

次のзачетは4月だそう。

 

Зачетの指定時間がいつもより早かったからか

学校で警察犬と女性のハンドラーに遭遇。

大きくて整ったシェパードが悠々と建物内を歩く。

なんでも、毎日のように近所の教育機関を巡回

しているそうで。

 

そして、直後の理論の授業。

私「試験とかзачетとかあった?」

子「なかったよ」

私「そう(1年生に成績は無いって言ってたし)」

子「僕、сольфеджио(理論)も5だって」

私「え、何に対して?」

子「わからない」

私「……宿題?」

子「たぶん」

練習帳に5と書いてあった。

 

理論はズバズバ思ったことを言う若い先生。

先生「これ(宿題)、お母さんに手伝ってもらったんでしょ?」

子「自分でやったよ」

先生「じゃあ、いまここでこの問題をやりなさい」

というやり取りがあったらしく。

見事証明し、5マイナスをもらってきたこともあった。

ちょうど他の男子とふざけたりして授業態度が悪く、

ピアノの先生から「理論クラスで苦情が出てる」

と言われた時期で、印象が悪かったんだろう…。

 

やれやれ。あとは12月26日まで消化授業。

 

 

 

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毎年春から夏、住宅の土台部分を塗る。

冬の繰り返される凍結と融解、湿気を防ぎ、

カビ予防、泥汚れを防ぐ特殊塗料。

このペンキの臭いが強烈なんだが、

12月に入ってペンキが塗られた。

暖房で暑いので窓を開けたいのに開けられない。

何でこんな時期にまた塗るのか?

 

学校の送迎時に、住宅の敷地内で

作業車に乗って高所の枝を切る作業をしている。

「珍しいな。枯れて危ないのがあったのかな」

しかし、あっちもこっちも切っている。

いつもは切り落とした枝や幹が数日は置きっぱなのに

夜中に撤去したらしい、朝にはなくなっており。

気づけば、いつもは適当に放置してある落ち葉も

(木々の根を雪や寒さから守る機能もあるし)

全部キレイに掃き掃除されている。

 

そして、道端に新しい土が補充されていたり。

(数年に一回夏に新しい土と芝生が更新される

 ことはあるが、冬に?)

 

不審に思ったのは私だけではない。

住民のチャットで:

「なぜこの数週間、こんなに大規模な整備工事が

 行われているんですか?木を伐採し、

 アスファルトを洗浄し、芝生に土をいれてる。

 しかも24時間体制で大規模に作業しています」

 

「17日にはサビャーニン市長、そして20日以降に

 「一番上の人」の出席で開会式があるらしい」

 

ここ2年ぐらい、家から200m先で建替え工事が

行われていて、真夜中でもトンテンカン、ゴーンゴン。

住宅地なのによく許可が出てるなと思っていた。

 

実は、以前職場の隣の歴史的建物が復元された時も

退勤時間に暗い歩道に照明当てて補修工事してるのを

いぶかしく思っていたら、

翌日市長が修復のお祝いに視察に来て。

その為に夜遅くまでかかって縁石もアスファルトも

新しくしてしてたんか。

 

お偉いさんが映る映像の背景になる部分は

全部キレイにする。

ソ連時代からの慣習らしい。

 

1970年代、ロシアの地方都市で、

夫の知人家族の息子がモスクワの大学に上京して、

外国人の彼女を作り、実家に連れてくることになった。

知らせを受け取ったお母さんはすぐ市長に手紙を書いた。

「外国人が家に来るのに、住宅の周りが

 ボロボロで恥ずかしい」と。

すぐ、行政主導(税金)で道のアスファルトや

建物の入り口、花壇が補修整備されたそうだ。

 

17日に向け、きれいな外観が現れ、

ゾロゾロいた工事人扶が減り。

しかし、細々とした工事は続いており、

結局、17日に市長が訪問したニュースはなく。

検索してみると、既に7月ぐらいに

工事中の現場を訪問してたらしい。

ガセ情報だったか。

ロシア科学アカデミーの遺伝子学研究所が

11月に各民族の居住地地図を発表した。

 

いわゆる白人のロシア人が多い地域。

濃い色が多い(93%以上)、

薄い色が少ない(91%未満)。

まぁ、いずれにせよ9割以上ロシア人なんだけど…

中心地は色が薄い。

六本木に外国人が多いのと同じなのか?

 

中国人はどこにいるのか。

中心地。人口1000人あたり6人以上。

学生や、仕事でも短期滞在者は含まず、

あくまで定住で住んでいる住民としての数。

 

ユダヤ人。

日本人でピンとくる人はいるだろうか。

1000人当たり100人以上が中心地。

北部で60人以上99人以下。

 

ジョージア人。

1000人当たり50人以上が中心地に、

南西地域に40人から49人。

 

アゼルバイジャン人。

濃い所が1000人当たり90人以上。

薄い所は40人未満。

 

イスラム教のタジキスタン人。

濃い色が1000人当たり90人以上

中心地には少なく、外側に多い。

 

同じくイスラム教徒のウズベク人。

1000人当たり50人以上が濃い色。

モスクワ南部に多い。

 

タジキスタンやウズベキスタンといった

出稼ぎ移民は住宅費が高いモスクワ市ではなく、

周辺のモスクワ州に住民登録している人が多いので、

街中の実感とはまた少し違う数字になる。

 

モスクワ市の各移民は平均して何人子供がいるか。

ウズベク人:4⁻5人

アゼルバイジャン人:4人

アルメニア:4人

ジョージア人:3⁻4人

ベラルーシ人:2⁻3人

ユダヤ人:2⁻3人

タタール人:2⁻3人

ウクライナ人:2人

ロシア人:1⁻2人

 

こういった統計調査を踏まえて、学者は、

ここ数十年の移民政策の失敗の結果、

中心部で移民が増加し、南部・南東部に

特定の移民グループが集中していると指摘。

 

確かに、実感として、移民が多い地域は

ゴミが多くて汚いし、肌で怖いと感じる。

 

私の住む地域は移民が少ないほう。

子のクラスに外見がアジアっぽい子が

子も含めて5人ほどおり、二日目には

全員クラスの一番後ろの席に座らされていた。

私「どういうこと?」

夫「当の子供たちが安心するように

 わざと後ろで近い席にまとめたんだろう」

私「そういうもんなの?」

 

 

 

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冬になると、窓の外にヒマワリの種を置く。

ヨーロッパシジュウカラの群れが来る。

以前はスズメの群れも来てたが、

今年はいまのところシジュウカラと鳩。

猫は、鳩が来るとお尻をムズムズさせて

飛び掛かかろうとする。

 

私「今日、誰が窓辺に来たと思う?

  アカゲラ(Большой пёстрый дятел)だよ。

  シジュウカラは殆ど音がしないのに、

  けたたましくコンコンコンってやるから、

  びっくりしてさぁ」

窓の外に豚の脂身を括りつけておいたら、

キツツキよろしく、コンコンコンコン。

キツツキ目キツツキ科アカゲラ属。

私「черно-белая птица(白黒の鳥で)

  затылок и попа красные 

       (後頭部とお尻が赤いの)」

子「ママ、попа(お尻)じゃなくて

  живот(お腹)でしょ」

 

子が本棚に行き、鳥図鑑を取り出して、

アカゲラ(Большой пёстрый дятел)を引く。

携帯ですぐ見せてあげられるけど、

子が自力で写真に辿り付くのを待つ。

 

私「ほら~。живот (お腹)じゃなくて

        попа (お尻)だよ」

子「え~。живот (お腹)じゃないの?」

分からないから、夫に聞くと、

夫「животじゃない?」

私「え~」

 

日本語でも正式にはお尻と言わない、下尾筒…。

(かびとう)と読むそうだ。

 

 

ロシア語ではнижние кроющие хвоста.

крыть (覆う)の能動分詞кроющий.

”下方の尾を覆う部分”という言い方。

鳥にживот(腹)はない、

брюхо (昆虫の腹と同じ)。

 

外国人から「下尾筒(かびとう)が赤い」と言われても

なんのこっちゃだが、

ниже кроющие хвоста - красное も

なんのこっちゃなんだろう。

夫の反応を見て、

「живот - красный (腹が赤い)」が正解なんだと思う。

 

 

 

Чук и Гек(チュクとゲク)

Аркадий Гайдар(アルカディ・ガイダル)

ロシア語難易度:★★★★★★★☆☆☆

面白さ:    ★★★★★★★★☆☆

お薦め度:   ★★★★★★★★★☆

 

ソ連の児童文学。

短編が4作入っている。

Wikipediaから引っ張ってきた写真だが、

ソ連時代の証明写真で男性が

微笑んでいるのは珍しい気がする。

作者は14歳で志願して10月革命に参加し、

19歳ぐらいから執筆活動するようになる。

第二次世界大戦従軍、37歳で戦死。

こんな経歴ながら、軍の話ばかりではない。

 

Чук и Гек(チュクとゲク)

地質学者の父親はシベリアの森深くタイガで

長期の調査をしている。

二人の年子の男の子と妻はモスクワにいる。

「年末年始休みが取れず、モスクワへは行けない。

 こっちにこないか?」と電報を受け取った妻は

遠征の支度をする。

 

母の留守中、二通目の電報が届くが、

兄弟喧嘩が勃発し、読む前に失くしてしまう。

「嘘ついたら、ママはもっと怒るよ」

「嘘はつかないよ。もし聞かれたら正直に言おう。

 だけど、(電報の存在を知らない)ママは

 聞かないから、嘘をつくことにならないよ」

 

汽車で4泊5日2000㎞を行く。

辺鄙の駅に着いたのに、ヤギがいるだけで

父親が手配してる筈の迎えのソリがない。

母親は不審がりながら、100㎞先の地質学キャンプ地への

ソリを手配し、暗い豪雪の森を進んで行く。

時は12月末、極寒。途中、無人の山小屋で一泊し、

いよいよキャンプ地へ着くと、誰もいない。

 

取りあえず、管理人の小屋に入る。

御者「夜には管理人が狩りから戻るだろう。

 私も悪人じゃないから、こうなった以上、

 お代はいいから、駅まで乗せていくよ」

母親「駅まで行ったって、当てはないのよ」

 

管理人「全員さらに100㎞森奥の実地調査に出かけた。

 2週間延期してくれって電報を打ったのに、

 出かけてくるなんて、呆れたもんだ!」

母親「電報なんて受け取ってないわ!」

管理人「俺が頼まれて駅まで出かけて文面を

  送ったんだから、確かに送ったんだよ」

母親「...子供達?」

 

管理人「俺は3日間狩りに行く。薪は裏、

 水は湧き水、パン、粉、塩はあそこ」

親子3人が極寒の暗い森に取り残される。

 

都会暮らしの母親は、ロシア式暖炉を焚いたこともない。

ウサギをさばいたこともないし、

凍りそうな泉から水を汲んで

雪の上をソリに乗せて運ぶのも一苦労。

 

ロシアで辺鄙な場所や森にも行ったことあるが、

自分が母親の立場だったらと感情移入してしまい

恐ろしい気持ちで朗読にも力が入る。

 

書かれたのは1938年だが、

ラジオから聞こえる新年の合図、

クレムリンの鐘の音は今も同じ。

  Тир-лиль-лили-дон!

  Тир-лиль-лили-дон!

大晦日、大統領の演説の後、クレムリンの塔の映像

と共にこの鐘の音が鳴り、国歌が流れる。

 

チュク、ゲクというのは

一見ロシア人ぽくない名前であるが、

それぞれ典型的な名前のニックネーム。

Чук — это Вовчук, то есть Владимир.

(チュク=ヴォフチュク=ヴラジーミル)

Гек — это Сергей, которого часто называли 

Сергейками, а иной раз и Гейками.

(ゲク=ゲイカ=セルゲイカ=セルゲイ)

 

ロシア人名には愛称や略称があるが、

本名がわかりにくい愛称をわざと考える人もいて、

児童作家のチュコフスキーは娘マリア(Мария)を

ムーラ(Мура)、チェーホフは甥のアントン(Антон)を

タトーシャ(Тотоша)と呼んだりしたそうだ。

 

 

 
 

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