ラーメン漫画を書評するシリーズ、これまで「ラーメン発見伝」「ラーメン才遊記」「一杯の魂」を紹介してきましたが、やはり「虹色ラーメン」を取り上げないわけにはいかないと思い、ここからまとめてみます。

 2001年から2004年にかけて「週刊少年チャンピオン」で連載され、単行本は18巻発行されています。作者は馬場民雄さんで、「協力」として、11巻までは「新横浜ラーメン博物館」、12巻以降は「ラーメン総合研究所・武内伸」の名がクレジットされています。武内さんに生前聞いた話では、連載開始当初から武内さんが担当してきたとの事で、ラー博退職と共にクレジットが変わったとの事です。


 18巻の連載なので、以下の通りに分類しました。この分類は作者とは関係なく、今作りました(笑)。

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第1期:イントロダクション(1~4巻)
 「東雲高校ラーメン部」発足。ライバルとの闘いがスタート。
第2期:ラーメン甲子園(5~8巻)
 全国のご当地ラーメンとの対戦を通じ、ラーメンとは何かを確認する。
第3期:麺王杯・前編(9~12巻)
 敵となった神宮寺グループからの刺客が、榊太陽を狙う。
第4期:裏切りと信頼と(13~15巻)
 謎の転入生皇朔夜と、後輩の久保隼人が太陽を追い詰める。一方で共通の敵との闘いでの和解へ。
第5期:最終決戦(16~18巻)
 最強のラーメン職人、神宮寺雷蔵との最終決戦。
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 2001年4月に「チャンピオン」での週刊連載が始まった「虹色ラーメン」は、東雲高校に入学した榊太陽のモノローグから始まる。「ごく普通の高校生」と言いつつ、その日までラーメンを食べた記憶がないという変わった一面を持ち、その時食べた「ラーメン与田」の一杯に「虹」を見る。「虹の見えるラーメン」は榊太陽の、この本の主題として繋がっていく。

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 一緒に「ラーメン与田」に入った長谷川(秀才)、赤城(番長)、原田(ヒロイン)、岡(スポーツウーマン)の5人で「ラーメン部」を作り、「ラーメン与田」でのラーメン修業を始める事になる。西城学園の乾竜美との対抗戦で勝利し、ラーメン部の活動に懐疑的な生徒会による妨害を、ラーメン部全員が作った「三色ラーメン」で打ち破る。また、与田店主が思い出を語る回想シーンでは、「火垂るの墓」を思い起こさせるような、戦後を生きる兄妹が登場する。

 

 

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 沖縄合宿では、「琉球新麺通堂」の金城店主と「博多一風堂」の河原代表が実名で登場(本編で実名で登場する人物はこの二人のみ)する。この時期はちょうど「通堂」がラー博に出店したころでもあり、その話題からこのストーリーが紡がれたものと想像できる。また、2001年頃はBSE問題が発生して牛骨ラーメンに逆風が吹いた時期でもあり、牛骨ラーメン店の苦境を描いた回もありました。

 

 

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 4巻では、今後につながる鍵が2つ出てくる。一つは「神宮寺雷蔵」。日本一のスゴ腕ラーメン職人であり、多くのラーメン店を傘下に収めている「日本ラーメン界の支配者」として、太陽たちとすれ違うようになる。もう一つは、テレビ番組への出演。5人の職人が腕を競う「キッチンウォーズ」に出演し、「神宮寺レシピ」のラーメンに伍する闘いを見せた事で、今後の「ラーメン甲子園」「麺王杯」へと繋がっていく事になる。

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 コミックスの1巻は、初版では帯が巻かれていて、「支那そばや」の佐野実店主がコメントを寄せている。これも武内さんからの依頼だと思われるが、「ガチンコラーメン道」が話題だった頃だけあって、ラーメンフリーク以外にも影響力を示したとは思うのですが、連載終了時のこぼれ話によると、「アンケートは好評だったが単行本はあまり…」だったそうで。