【プロフェッショナルを謳う人】
一年前にFacebookに載せていた記事で、一年ぶりに読み返してみると、自省の意味でもそれなりに重要中ことが書いてあるように感じましたので、この場所にも記録しておきます。
おじさんを一人論破し続けたら、相手を貧血にさせてしまった話。
まず、世の中には、取引先にはやたらと柔和なのに、自分の部下には無意味にキツく当たる人がいる。それが取引先の前でもである。
仕事の取引ではなくても、例えば、駅前にすごく美味しいケーキ屋さんがあり、来店客にもとても親切なのに、奥の厨房(?)に入った途端、スタッフに罵声を浴びせるオーナーがいた。偶然一度だけだと思ったら、二度三度と同じ場面を目にしたので、私はそのお店に二度と行かなくなった。
そういう表裏のある人を軽蔑してしまう。
また、無意味に歯の浮くような大袈裟な(心の入ってない)お世辞を連発する人もいる。こちらがクライアントである場合。そういう人には、私は即座に「そういう情報は今後1ミリも必要ないので、控えてください」と言ってしまう。無駄だし、心地よいどころか不快感でいっぱいになるからだ。
心で感じたことを、1.5倍くらいに膨らませて伝える「お世辞」は不快ではない。そこに心があるから。私も、特に自分の部下(上司ではなく)に対しては、「イイね」と思ったことは、気持ち1.8倍くらいで伝えるようにしている。そこに本当に感じた心があれば、伝え方は自分のちょうどいいよりも1.8倍くらい、大袈裟かな、と思うくらいはっきりと伝えるくらいで、相手には「ちょうどよく嬉しい」くらいに伝わる。
その流れでいうと、私は上記のケーキ屋のオーナーとは逆で、自分の部下に対しては、ミスに対する指摘と改善要求はしても、その人を責めることはしないように心がけている。「何でこんなことしたの?」という過去に対する言及は全く不毛だと思う。むしろ、「どうすれば次繰り返さないと思う?」とその人の未来に自分で仮説を立ててもらい、それを実行してもらう。うまく行かなければもう一度自分で工夫を仮説立て、という方がよほど効果を生むし、お互い健全に仕事を運べる。
部下が対外的にミスをしたときには、部下のせいにはせずに、全て自分のせいであると取引先に真っ直ぐに謝罪する。「私からの部下への指導不足が…」などと言って、遠回しに部下の至らなさに原因を帰結させるのは嫌いで、「私の指示と判断が不適切であったためこのようなことが起きました」と全て自分の責任であると明言する。
逆に言えば、上司が部下のために出来ることといえば、たかだかそれくらいである。のびのび挑戦して失敗しても責められない、というムードがチーム内に広がれば、チームは活気付き、結局、全体のパフォーマンスと成果が上がる。割とシンプルなことだけれど、それをしない人が多い。
先日も「私の部下が至りませんで、しっかり申し付けて指導しておきますので」と言われた。いやいや、お前だろ、何部下のせいにしてんの、と私は思う。
あと、こちら側がお金を払って発注している取引先でも、相手の担当者がまだその業務に未熟で不慣れでありそうな場合は、ミスがあってもなるべく手助けして、一緒に解決する。一見余計なお世話だけれど、そのように関わると、相手の担当者が成長してくれ、モチベーションもアップして、結果として自分が受け取るアウトプットの質が高まるので、これはお人好しではなく、ビジネス上の実利の話だと思う。
クライアントだからと言って、立場の強さにものを言わせてそういう担当者をむやみに怒鳴る人も嫌いである。
さて、本題。
取引先で、ベテランで「自分はプロフェッショナルである」という自負にまみれた人がいる。とくに50代以上のシニア。もしくは、ITや外資系のバリバリの若手・中堅。
こちらが素人だと思うのか「教えて差し上げましょう」的なマウントポジションでくる。
そして、とくに付加価値的要素をもたない、その辺のネットにいくらでも転がっているような「一般情報」を得意げに、上から目線で語ってくる。
今年に入って、かれこれ一年近く、そういう人と商談をかさねてきた。(もろもろ事情があって担当者交代は依頼できなかった)
私は、最初はソフトに、傷つけないように、相手の話の論点の揺らぎやロジックの乱れ、要点を得ない解説、無駄な情報の多さ、段取りの悪さなどを短い言葉で指摘して、笑顔で改善をうながす。
しかし、大抵「プロフェッショナル」を自負している人は、その程度では微塵も心揺らがず、変わらぬアプローチで接してくる。
何フェーズか言葉選びのギアをあげて指摘しても、多くの場合は改善されない。
その場合、申し訳ないけれど、その担当の方の上司に同席してもらい、こちらの「困りごと」を、率直に、責めるわけでもなく伝える。有能な上司の方はすぐに察知して、適切な改善対策をとってくれる。
ほとんどのケースでは、ここで改善されて、結局は双方にうまく関係が築け、その後の仕事もうまく運ぶ。
しかし、ごく稀に、その事態に逆上して、むしろマウントポジションを強化しようと、マシンガンのように半ば攻撃的に言葉を連発してくる人がいる。
さらには、勢い余って、こちらを馬鹿にしたような、傷つけるような、物言いをしてしまう人もいる。
そういう人に対して、私は、突然、態度を変えることにしている。
相手のマシンガン的な発言を全て記憶して、分類整理して項目に分け、「今お話しされた内容を分類すると大きく10個に整理できます。まずひとつ目は」と、端から順に、完膚なきまでに論破していく。
語気は荒げない。しかし、容赦はしない。淡々と、一つずつロジックのほつれを仕留めていく。
実はつい昨日、そういうことがあった。
こちらとしては、今年2月以来の改善申し立ての挙句の相手からの「説教的語り口(まだ、お若いから分からないでしょうけれど的な)」であった。
相手は50代後半であった。その人は、部下にはやたら厳しいし、ミスがあれば部下のせいにするし、歯の浮く心ないお世辞は多いし、おまけに説教がましくて話が遠回りでやたら長く、致命的にプライドが高くて、相手を馬鹿にしたような態度が鼻についてしまう。
つまり、フルスペックである。
私がスナイパーのように、トーンを変えずに一つずつ、10分程度にわたって、対面で相手の論理破綻を端から痛烈に指摘し続けていたら、途中で貧血を起こしてしまった。
でも、私は後悔はしていない。こちらのほぼ一年で累積したフラストレーションの3割も解消できていない。
つまり私は
●客には柔和で部下に無意味に厳しい人嫌い
●ミスを部下のせいにする人嫌い
●プライドと実力の乖離が大きい人嫌い
●説教がましくマウントしてくる人嫌い
●話が偉そうなのに要点を捉えてない人嫌い
そのくせプロフェッショナルとしての自負がある人が、嫌いなのである。
●部下のミスはかぶり、部下に対して寛容で
●謙虚であるのに実力がかいま見えて
●見えないところで細かな問題を先読み解決してくれ
●顧客に対して低姿勢だが、顧客はついつい頼りたくなり
●話が要点を捉えて端的でわかりやすい
人を、私は目指したい。
それがプロフェッショナルであると、思う。
それにしても、久々に炸裂させてしまった。
論戦スナイパー。我慢の限界だった。
貧血になったあのおっさん、体調戻ったかな。