2012年6月2日、某勉強会のために訪れた大阪府柏原市。
…みたいな書き出しで、だいぶ昔に記事にした上市北架道橋と築留二番樋。今宵から何回かに分けてご紹介するのは、その勉強会…いや、正確にはそれを含んだ「見学会」のこと。
その名は、「亀の瀬地すべり見学会」。
見学会の集合場所は、
JR関西本線・河内堅上駅。ここの駅前で出欠確認し、現場へ移動…という形。
改めて説明しよう。柏原市内の大和川、奈良県との府県境に近い一帯を亀の瀬といい、ここを通る「龍田道」は奈良と大阪を結ぶ重要な街道だったにもかかわらず、万葉集にも歌われるほどの昔から地すべり多発の地として恐れられてきた。
詳しい参照先は後ほどリンクを貼るのでそちらをご覧いただきたく。以下、今記事に関連することだけ抜粋して書く。
ひときわ大きな被害を出した昭和6年~8年の大規模地すべりで、関西鉄道(現・JR関西本線)の亀ノ瀬隧道が圧潰し、これまで右岸を走っていたルートをついに放棄、左岸に新たなルートを敷設する昭和10年の末ごろまでのまる3年以上、不通となった。
ここで亀の瀬のちょっと広域な地理院地図を。
中央の十字グリッド位置が、見学会の行われるエリア。そのあたりで、関西本線が左岸に移動している部分が先述の大規模地すべりで付け替えられた区間である。
以後80年が経過した平成20年、完全に圧潰崩落したと思われていた亀ノ瀬隧道が「発見」された。地すべり対策のための水抜きトンネル掘削工事の最中に、文字通り「掘り当てた」のだということで、「幻の隧道発見」ということで当時まあまあの(あくまでまあまあの)ニュースとなり、その頃すでにこの趣味に足を突っ込んでいたわたくしも、大いに興奮したものだった。
「掘り当て」られた亀ノ瀬隧道は、最低限の補修を受けた上で、地すべりの生き証人(いや、死んでるか・笑)として、これを目玉とした「亀の瀬地すべり見学会」が催されるようになり、その参加が叶ったのがこの日だったというわけで。
今年2020年7月、ここ亀の瀬は、「龍田古道と亀の瀬」として日本遺産に認定された。柏原市と奈良県三郷町合同による申請タイトルは、「もう、すべらせない!!~龍田古道の心臓部「亀の瀬」を越えてゆけ~」というユニークなもの。記事タイトルもここから流用させていただいた。
文化庁による評価コメントは、「古代から続く龍田古道と地すべりをテーマとした興味深い物語で、タイトルも斬新。龍田古道の地理的特徴および地すべりに伴う信仰などが分かりやすくまとまっている」というもの。このあたりのことは、柏原市公式HPのコチラを参照のこと。
予告篇で「今だからこそ記事にする」と書いたのは、遅ればせながらこの日本遺産登録を知ったためで、柏原市も力を入れてPRしていくようなので、この見学会もさらに盛んに行われていくのでは?と思ったから。ここは多くの方に見ていただきたい。
とりあえず、見学会について詳しくはこの公式ページを参照のこと。見たところ、当時と現在と内容はほぼ同じかとは思われるが、まったく同じかどうかはわからない。でもいずれにせよ、予告篇のあの場所には必ず行けるはずだ。
当日は、おろろんさん、はみ男さん、ピカさん、よととさん(五十音順)、そしてわたくしの5名で参戦。以下連載にて見学会の模様を記事にしていく。
河内堅上駅から移動後、まずは「大和川河川事務所亀の瀬出張所」にて聴講。
これはまだ開始前の写真だが、こういう感じで数十分間見学前の基礎知識的なことを学ぶ。
続いて隣接した「亀の瀬地すべり資料室」展示ブースで
様々な資料を見学。あれ?聴講もここでやったっけ?忘れた。
…の後は、いよいよお待ちかねの
施設見学!
これは地すべり対策として何本も掘られている水抜き用のトンネルで、鉄扉の前で話しているのは、柏原市の担当者の方。
これは、見学会開始前に撮っておいたものだが、
亀の瀬だけに、亀をあしらったポータルデザインが面白い。当初から見学会を意識してデザインされたんだろうか?
銘板もあって、
(見にくいな…)亀ノ瀨排水隧道第一号。昭和四十四年三月完成。
で、これは入ってすぐのとこにあった銘板。
平成半ばで拡幅補強工事が行われたということなので、ポータルデザインもこの時に化粧直ししたのかな。
では、洞内見学へ。
全然内容を覚えてなくて申し訳ないが、
唯一撮ってたのはこれだけ。
けっこうインパクトある写真だが、こういう素掘り隧道もいくつか思い当たるな…。
このような、
岩盤が見えるように巻立がない部分も。
たまたまこの写真だと誰もいないようだが、
こんな引き離されたっけ?いや~記憶がない。
1号排水トンネルをどのくらい入ったところだったか。
これは頭上を見上げて撮ってる。
巨大な竪坑だが、これを集水工っていうのだっけか。いやもう、マジ記憶が(笑)。
フラッシュ・オンだと、こう。
こんなもん、そうそう見ることはできない。まさに社会見学、貴重な体験だ。
そのさらに奥で…
おおお…
【2】に続く。