梅ノ木台一号・二号隧道 【3】 (千葉県君津市正木) | 穴と橋とあれやらこれやら

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初めまして。ヤフーブログ出身、隧道や橋といった土木構造物などを訪ねた記録を、時系列無視で記事にしています。古い情報にご注意を。その他、雑多なネタを展開中。

 
【2】より続く。
今回はピンボケ写真多数です。ご容赦くだされ。
 
 
驚愕の直角隧道、一号隧道を抜けると、間髪入れず、
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梅ノ木台二号隧道。
 
こっちはポータルを持たない、完全素掘り隧道。洞内の照明が現役感を漂わせて、すこぶるイイ感じ。
 
元の腹づもりでは、ここ、二本の隧道の間に車を置かせてもらおうと思ってたのだが、この幅員を見て断念した次第(笑)。
 
【1】でも洞内の様子はお見せしたので、

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今回はピンボケ劣化版で雰囲気をお楽しみください(笑)。
 
 
 
これだけだと気まずいので(笑)、
写真使い回しまーす。
 
ここ特に、隧道方向とは(当たり前だが)無関係にビッシィ!と一本筋の走った地層のラインが素晴らしい。なんか、二次元と三次元が混ざった不可思議空間みたいな。
 
 
で・・・あの先。
 
路面を横切った白い線が見えるだろうか?あの場所こそが、第二隧道の特異点。
 
 
痛恨のピント外しだが、
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こんな感じになっております。
 
わかるだろうか?右側の壁面に、バウムクーヘンをくりぬいたような穴。洞内分岐である。
 
補足しておくと、洞内分岐自体は、ある程度の延長のある房総素掘り隧道においては、めちゃくちゃ珍しいってほどではない(参考)。でも、貫通してどこかへ抜けているものは・・・自分の経験値では見てない気がするなあ(房総では)。ましてや、車道隧道から分岐する人道隧道なんてのは。
 
 
 
そう、サイズ感がわかりにくいが、分岐する隧道は、
 
完全人道サイズ。慎重173cmのわたくしが、なんとか腰を屈めずに歩けるサイズ・・・くらいだったと思う。

 

 
 
延長は、10mないくらい。抜けて、振り返り。

最後はコンクリ階段が設(しつら)えてあり、

 
 
その先にひっそりと在ったのは
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だった。
 
なんで湖の写真を撮ってないのか自分を問い詰めたいところだが、ここは三島湖に面した断崖絶壁の下、祭壇のように開けた場所。自然地形なのか切り開いたのかは不明だが、湖上に向けてのみ開けており、陸上からはまさにこの隧道から訪れるしかないという、非常に「そそる」ロケーションである。
【1】でもちょっとだけニオわせたのだが、この二連隧道の存在理由。この奥の民家への命綱であると同時に、この祠への唯一のアプローチとしての使命も託されている。
 
奥には奥行きの浅い穴が見えている。アレは何なのか。ちょっとした仮説がある。それは、現在の祠を見ていて気づいた。
 
 
これ。ここんとこ。
 
祠の裏手、断崖に接した所。隠してはあるものの、そこに穴が穿たれていることははっきりとわかった。
 
浅い穴は、この祠が以前あの場所にあった、あるいはあの場所にも何かしらが祀ってあった、のいずれかではないかと。いや、根拠は何もないっす(爆)。

 

 
 
最奥から振り返り。
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隧道手前にも、くり抜かれた岩の中に何かがお祀りしてあったみたい。
 
いや、ホントこの頃のわたくし、今に比べると全然撮影枚数が少なくって、記憶が蘇らずイライラする(笑)。
ともあれ、この胸アツな展開。実は来る前から予習済みではあったんだけども、それでも感動した~。
 
 
 
本洞へと戻る。
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雰囲気重視ヴァージョン。
 
 
そして、
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フラッシュ・オン。
 
 
 
残るは、
 
二号隧道の東半分。
 
 
 
抜けて振り返り。
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梅ノ木台二号隧道・東側坑口。
 
探索開始地点から、距離にすればたかだか数百mにすぎないのに、この濃密さ。
まーさーにー、房総クオリティの面目躍如なり。
 
 
 
大満足で引き返す。
 
ほんと、見とれるばかりだ。左端に見えてるのが洞内分岐隧道。
 
ちなみに二号隧道のスペックは、延長86m、幅員3.0m、有効高2.5m。一号よりも延長が1m短いだけの非常によく似た数値だが、それぞれにキャラが立ちまくっていて最高に楽しかった。
 
ところで分岐隧道の延長は、含まれないのかね(笑)。
 
 
そして、二往復めの直角コーナー。
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いや、これやっぱりじゅうぶん狭いでしょうよ。
 
 
これら二本の隧道は、資料によるといずれも昭和20年製となっているが、本当かなあ。終戦の年に?疑わしい。もっと古いんじゃないかなあ。ちなみに三島湖を生んだ三島ダムは昭和18年に着工、戦争による中断を経て昭和30年に竣工したそうだが、さて。
 
例によってめんどくさいので調べてないが(ヲイ
 
 
 

 
 
 
さて、この隧道を急きょ記事にしたのは、18日(月)に見た、朝日新聞のネット記事がきっかけ。そこで、気になる話題とともにこの隧道が採り上げられていた。
 
記事はコレ。↓
 
この手の記事ってすぐリンク切れするので、ちょっと長いが全文を以下に転載させていただく。
 
 
怖いけど人気 岩肌むき出し、素掘りトンネル長寿化計画
 
千葉県君津市は補強などを特に施さずに掘ったままの状態の素掘りトンネルを22本も抱えている。これだけの素掘りトンネルがある自治体は珍しいという。岩肌がむき出しで入るとちょっと怖いが、それが人気にもなっている。一方で生活道路なので安全対策は欠かせない。市は3月に長寿命化修繕計画を立てて補強、補修を始めた。
 
ダム湖の三島湖。その湖畔に全長85メートルの梅ノ木台1号隧道(ずいどう)がある。幅は軽自動車がやっと通れるほど。入り口付近は補強されているが中に入ると壁はでこぼこ。掘り進んだ後がそのまま残されていて洞窟のようだ。出口が見えないので恐る恐る進んでいくとトンネルの中に直角のカーブがあった「三島ダムL字素掘トンネル」とも呼ばれるこのトンネルは今年度中に吹き付け工事を行うという。
 
外に出るとすぐに梅ノ木台2号隧道がある。ここは入り口も素掘りのまま。全長は1号隧道とほぼ同じで直線だが、中に分岐がある。人が通れるほどのトンネルの方から外へ出るとそこは崖。三島湖が見え、岩に挟まるように設けられた祠(ほこら)があった。
 
同市は面積が県内2位と広く山間部も多いため小さな集落が散在している。そのため簡易な素掘りが増えた。国道や県道、高速道下のトンネルを除くと市が抱えるのは32本でその約3分の2が素掘り。いずれも1940年代以前に掘られたとされ、老朽化も進んでいる。
 
しかし、トンネルの先には数軒しかない所もある。市の担当者は「大規模な工事は難しいが、簡単に封鎖はできない。早期の補修で長く利用していきたい」と話す。そこで素掘りを含めた32本を5年間かけて補修する長寿命化修繕計画を立てた。
 
計画では、まず2本は天井をなくして非トンネル化し、5本は吹き付け工事で補強する。危険度が高い3本はすでに封鎖した。計画の中間年の2019年度には大規模な点検を実施、今後の方針を検討するという。事業費は、素掘り以外のトンネルの補修費も合わせると6億1234万円と試算している。(堤恭太記者)
(12月17日 朝日新聞デジタルより)
 
 
 
 
長いけど、読みました?(笑)
 
なんと一号隧道(二号もか?)、今年度中にモルタル吹き付けされてしまうのだという。それはまあ、安全を考えれば仕方ないのだろう。趣味者的には残念だけど、致し方ない。問題は最後のほうだ。
 
この素掘りトンネル長寿命化の名のもとに、すでに二本が開削、三本が封鎖されたというじゃないの。ドコのことだ!?
 
開削された内の一本は、ほぼ間違いなく山太郎隧道だろう。再訪してみたら開削されていた、という残念な報告コメントをパパゲーノさんからいただいて、消滅は確定済み。
 
 
うーん、隧道王国・房総においてもトップクラスの素掘り天国・君津市。今さら、その稀有なるアイデンティティを捨て去るというのか!?
 
 
まあ、趣味者目線の戯言だけども(笑)。でも、かなり気になるニュースだ。どのような変化、改修が行われていくのか、パパゲーノさんの報告を待とう(勝手に・笑)。
 
 
以上、完結。