福井県道216号常神三方線を北上していくと現れる、このトンネル。
塩坂越(しゃくし)トンネル。難読ですな。
1992年3月と銘板に記されたこのトンネル向かって左に、明らかな旧道がある。
そちらへ進むとすぐに現れるのが、
この旧隧道。
塩坂越の集落をバイパスさせるための新トンネルなので、旧隧道はご覧のとおり、現役バリバリ!
お名前はもちろん、
塩坂越隧道。
そういえば、新トンネルに「新」ってついてないなあ…。「新」ってつかない場合、たいてい旧隧道は廃されるもんだと思ってたけど、そうでもないのか…。
無骨一辺倒のコンクリート・ポータル。昭和中期ごろっぽいな~、とよく見ると、
向かって右側に銘板発見!
おっと、ちょっと好きなタテ書き銘板(笑)。
竣功 昭和三十年十二月
施工 飛島土木株式会社
やっぱり昭和ミドルエイジだった(笑)。
ちなみに飛島土木は、現在の大手ゼネコン、飛島建設(株)の前身にあたる会社。同社HPでの会社沿革によれば、昭和15年(当時は株式会社飛島組)に東京に移転させるまで、本社所在地は福井市だったそう。福井発祥の会社だったとは知らなかった。しかも130年超もの歴史を誇っていたとは…。
株式会社飛島組は、昭和21年に戦後の企業再建・回復を目的として制定された「企業再建整備法」の適用を受けいったん解散、翌年に飛島土木株式会社として再出発。「土木偏重のイメージから脱するため」社名を現在の社名に変更したのが昭和40年だということなので、この隧道はちょうど「土木時代」(笑)のど真ん中に手がけた仕事、ってことになるな、時期的に。
まあ「土木時代」なんて括りには何の意味もないけど、こうして何かのきっかけで調べてみると、いろいろ興味深いな~。
あー脱線した。
のぞきこんだ洞内。
うむ、ちと狭い!
確かに常神半島の生命線を担う県道の隧道としては、いささか心許ないな…。洞内はビッシリとモルタルで履工されている。たぶん最初からこの姿なんだろうな。
隧道の上になんかありそうな気配を感じたので登ってみたら、
ポータル直上にこんなんありました。
左端のは「山神」と刻まれている。隧道開鑿前の峰越え道にあったものがまとめられたのかもしれない。
そこからの見下ろし。
向こうに見える水面は、三方五湖のひとつである水月湖。
では…
抜けて塩坂越側へ参りましょう!
洞内での離合は完全に不可能。軽同士ならあるいは…ってとこか。しかし、抜けてみて、
ちょっと驚いた。
おおっと!ガリバートンネル!?
ガリバートンネルとは…業界テクニカルターム(笑)だと思われるので、こちらの最強のガリバートンネル記事にてご確認を。
なんでだろう。当初はこの断面サイズで予定されてたのかな?これなら普通車どうしでも離合可能だっただろうに。
塩坂越側ポータル。
違う隧道に見えるわ!
この写真でもわかる通り、あの断面変化はこっから見えないほどに奥。延長190mのこの隧道だが、塩坂越側から20mちょいほども進んだところに存在する。だからこそでっかい反射板が設置されてるわけだが、これってけっこう危ないよなぁ…。これで県道の隧道だったとか、凄くないすか?
うーん、好き(笑)。
ボーっと眺めていたら、
ジモティーの軽トラが颯爽と抜けて行った。
以上、完結。