棚橋隧道 (廃) (三重県度会郡大紀町崎~南伊勢町棚橋竈) | 穴と橋とあれやらこれやら

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初めまして。ヤフーブログ出身、隧道や橋といった土木構造物などを訪ねた記録を、時系列無視で記事にしています。古い情報にご注意を。その他、雑多なネタを展開中。


2009年11月15日、志摩半島の西半分を中心に徘徊した、第三次三重県遠征にて。
 
 
本日ご紹介するのは、この廃道の次に訪ねた、一応当日のメインターゲットだった物件でございます。
 
 
 
三重県道68号紀勢インター線・錦望トンネルを北に抜けて約400m、国道260号旧道へと進入。
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「この先幅員の狭小区間があり、十二メートル以上の車両は通行出来ません。」
 
この先に目当てのブツがあるのだが、上等な予告看板が心温まる。・・・まぁ、この程度でひるむような同業者はいないと思うが。
 
・・・もしかして、蒼い弾丸号を初めて見る方もいらっしゃる?(笑)
 
 
 
予告看板から想像できる通りに、
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なかなかに荒れた雰囲気の道。
 
旧国道、あまり使われていないようだ。
 
 
 
 
旧道進入から8分、
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目標のブツに到着した!
 
この距離からでもうかがえる、異形の雰囲気。縦に長いし、側壁もヘン?
 
 
これこそが三重県の誇る全国区の変態隧道、棚橋隧道である。
 
ちなみに白飛びしてしまった手前の標識は、「トンネル内は点灯せよ」。
 
余談ながら、この隧道の現道部分に存在するのは「棚橋トンネル」でなく「紀勢南東トンネル」。現道の「棚橋トンネル」は、その先にある。
さらに余談ながら紀勢南島トンネルは、同名のトンネルがこの近辺にもう一本存在する。大紀南島林道にあるのがそれ。なんかいろいろ、ややこしい(笑)。
 
 
さて、西側ポータルに正対。
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うむ、十分にヘンタイだ。
 
実は、有名なのはどっちかっつうと東側ポータルなんだけども、この西側だってなかなかだ。
 
背の高さが異様だけども、ツッコんでおきたいのは「頭上注意」の警告看板。この場合注意すべきは、高さより幅員やろ!と。
 
個人的に気になるのは、隧道手前の側壁。こんな造りの側壁とか見たことない!
 
 
ちょっと入ってみませう。
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この時点ではさほど違和感は感じない。
 
 
 
 
 
振り返り。
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今じゃこの鉄板の構図であんまフラッシュ焚かないけど、コレはコレで好し、と(笑)。
 
 
それでは、有名な東側へと参りましょう。洞内の様子をもっと見せろ?それはまた後で(笑)。
 
 
 
はい、伝わるかな~?
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ドーンと!この異形!
 
これぞ「鍵穴隧道」の名を恣(ほしいまま)にする棚橋隧道、そのシンボリックな坑口であーる!
 
 
ちょっと陽光の射し具合でわかりにくいかもなので、
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コッチのほうが伝わるかな?
 
馬蹄形に近い断面の足元が、なぜか1mほども垂直に立ちあがっており、文字どおり鍵穴を思わせる変態系な(笑)断面に。個人的には鍵穴っていうよりもムンクの「叫び」を思い出す。
 
 
 
コンクリ巻き立て部を過ぎると、
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金太郎飴や~(謎)。
 
鍵穴って感じではなくなるけど、それでもヘンな断面!いや~変態やな~!
 
 
 
振り返ってのコレが、
 
もっとも「鍵穴」してるかな?
 
 
 
 
 
世界よ、見たか!
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これがタナハシだ!(大謎)
 
 
隧道趣味界において、もしかしたら三重県でもっとも有名かも知れないこの棚橋隧道、たしか路盤掘り下げの結果、このような姿になったとどこかで見た気がする。・・・まあそれしか考えられんよね・・・(笑)。
 
 
「平成16年度全国道路施設現況調査」(国土交通省)データによれば、
 
大正3年建造,延長123m,幅員3.0m,有効高3.9m
 
なんと大正の隧道ということで、そこまで古そうには見えないけどね。これだけ改変されているっぽいにも関わらず、土木学会選近代土木遺産Cランクに列せられている。
 
 

 
こうして大満足のファーストコンタクトを果たしたわたくし。その後2011年4月23日にも再訪を果たした。
 
 
その時の様子。
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洞内を往く、おろろん教授のエクストレイル。
 
 
 
おー、コッチのほうがわかりやすい!
 
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陽のあたり方ひとつで、全然印象が違うもんやなぁ・・・。
 
以上、参考写真、終わり。
 
 
 
 
堪能した。
 
 
 
そうそう、余談ではございますが。
 
 
そのまま旧道を東へ降りて行ったらば・・・
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コレモンでした。
 
 
 
 
一応、当時はまだ国道指定が外れてなかったと記憶するんだけども、
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なんつう国道なのよ(笑)。
 
 
 
 
良い思い出だ~、
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今となっては。
 
 
 
その後は再訪の機会がないまま、たまに「どうなってるかな~」とか思い出してはいたのだったが。
 
伊勢カブさんに教えていただいたところによると、この旧・棚橋隧道、今や封鎖されているという。いつ頃に通行できなくなったのかはわからないが、この名物隧道が完全に一線を退いてしまったのはさびしい限り。
 
 
撮っといてよかった、
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記念写真。
 
 
2017年8月時点で、隧道までの旧道は通行可能(隧道へは到達可能)ということなので、幸いまだその姿を拝むことはできるようだ。
 
 
願わくは、このままで。「ほど良い眠り」を隧道に。
 
 

 
 
このファーストコンタクトの後1時間強で全くノーマークな衝撃の発見を果たし、結果的にそっちがこの日のハイライトになったっけ(笑)。
それが、すでに記事にしている国見山石灰鉱業専用線。あと記事にしてるのは、午後の奥河内川の不条理な橋
 
 
 
以上、完結。