林道樫山小匠線 【11】 (和歌山県西牟婁郡那智勝浦町小匠~古座川町樫山) | 穴と橋とあれやらこれやら

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初めまして。ヤフーブログ出身、隧道や橋といった土木構造物などを訪ねた記録を、時系列無視で記事にしています。古い情報にご注意を。その他、雑多なネタを展開中。

 
【10】より続く。
 
 
 
時刻は11時28分、進軍開始から2時間47分(寄り道含む)。
 
 
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出合橋を背に、一路樫山へ。
 
山手川出合から樫山、いよいよ最終パートへと歩き出す。
 
 
幸か不幸か(個人的には不幸だったが)、バッテリー残量の問題で序盤に比べると撮影枚数が少なくなっている。よって記事もはかどるだろう…いや、幸か不幸か(笑)。
 
 
 
 
 
この最終パート、それまでと大きく異なることが三つあった。一つは前回書いたように、ところどころアスファルト舗装の痕跡が見られたこと、
 
二番目には、
 
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コンクリート護岸が俄然目立つようになった。
 
山手川出合までの道中でもコンクリ護岸が皆無だったのかどうかは心許ない。けど、石積みの護岸はよくみかけたものの、コンクリはほとんど印象がなかった。
 
当然ながらそれは車道としての道の成り立ちが、樫山側がもっとも新しいから、なのだろう。
 
 
 
そして三つめ。
 
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「人の痕跡」が散見されるようになってきた。
 
上の写真は、進軍再開7分後に見つけた炭焼き窯の痕跡らしきもの。すでに壊れていていつのものとも知れなかったが、こういう人の営みの痕跡というのも、ここまでの道程では林道高野線(仮)でそれっぽい平場を見つけた、あの一回だけだった。
 
 
 
あと、例えば、
 
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古座川町による「路肩注意」のデリニエーターとか。
 
まあ完全スルーを決め込んでいた那智勝浦町に比べたら、デリニ一本分だけマシなのか(笑)。というのも、面白いことにこのデリニエーター、見落としてなければたったこの一本しか発見できなかった。
 
 
ここまでどんだけ路肩がヤバイとこあったと思ってんのよ?(笑)
 
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ほ~ら~(笑)。
 
まあとにかく、前半戦に比べると、少し「人の気配」というものを感じさせる道になってきた、という印象。
 
 
 
 
それとは関係ないけど、こんなとこもあった。
 
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タタミ一畳ほどのデカさで岩が崩落して路面を占拠。
 
わたくしが訪れたこの日には、このような場所はここ一ヶ所だけだった。それを思えば、実質廃道とはいえ、非常に状態はいいほうだと思えた。
白倉なんて、全行程がこんなんやったしなぁ…(涙目)。なので、比較すれば疲労度は全然マシ。体力面では余裕はあった。
 
まあ、いくらサムライがいるとはいえ(笑)、この区間を見れば完全に車道としては終わってるけど。
 
 
 
 
思ってたよ、モチのロンで。
 
 
…え?
 
 
いやはや…まあその辺も、もう間もなく(笑)。
 
 
 
 
 
 
道の様子には変化が見られたが、変わらないのは
 
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小匠川の清らかな流れ。
 
高低の度合いこそ変化するものの、本当にこの道には一貫して小匠川が寄り添っており、その表情とせせらぎで、通るものを大いに楽しませてくれる。
 
 
 
ずっと似た景色のようでありつつも、
 
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実は少しづつ全部違う…そんな味わい深い道が続く。
 
撮影枚数をセーブせざるを得なくなったことで、しっかりと記憶に残すべく、道とじっくり向き合う。
 
 
 
 
そして…
 
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あの場所で。それは起こった。
 
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この写真を撮って数秒後のことだった。
 
正面の右カーブにさしかかった時…5mほど先で何かが動くのが見えた。ハッと目を凝らせばそれは…
 
一瞬「ヤバイ!」と思った。
 
こんなところで出会う犬なぞ、野に帰った凶暴な犬の可能性が大。が、次の瞬間…人も見えた!
 
 
なんと現れたのは、2匹の犬を連れた猟師さんだった。
 
「ハンター」じゃなく「猟師」という言葉が似合う感じの、ワイルドな風貌のそのオジイ(笑)は、わたくしに気づいた第一声が
 
「ほうほう、こらぁ珍しい。こんなとこで人に会うとは~。」
 
いやそらそうでしょうよ!もうびっくりしたわ!
 
 
訓練されているっぽい犬はおとなしく、吠えてはこなかった。肩に担がれた猟銃を指して「猟ですか?」と尋ねると「おう、そうよ~」と。この時もまた突然のことで舞い上がって、ロクなこと聞けなかったわたくし。情けない…。
 
このオジイはまず「どっから来た?」と訪ねてきた。「小匠からか?」と言われたはずだが二回聞いても「こだくみ」と聞こえず、「あの、小匠から」と言いなおすと、「ああ、そうな!」と。
 
やっぱり小匠って言うてたんかい!(笑)
 
 
「どこまで行く?」との質問に「樫山まで行きます。」と答えると、「んー、あと30分ぐらいかな~」と。
 
えー、実際は40分だった(笑)。健脚か!(爆)
 
「で、樫山からはどこ行くの?」と来たので、「また歩いて小匠まで戻ります!」と答えると、「ほっほう!そらご苦労なことやな~!」と笑ってたっけ。
 
 
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後ろ姿のみ、パシャっと一枚。
 
個人的に、廃道で軽トラの通行を見たのも人に遭遇したのも初めて。ついでに、猟師さんを至近で見るのも初めてだった。いや~驚いた!
 
 
 
うわ~、なんかスゲーな~!と予期せぬ出会い第二弾にフワフワしながらカーブを抜けたら…
 
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!?
 
またも軽トラキターー!!
 
写真ではわかりにくいが、荷台にはまたしても犬が。そう、先ほどの猟師オジイが乗ってきたのに違いない!またしてもサムライ登場か~。
するとこの先は間違いなく「物理的には通れる」状態、ってことか。
 
荷台にも犬が二匹いた。主から離れた犬たちは、エライ勢いで吠えてくる。繋がれてることを信じつつ(祈りつつ)、足早に軽トラの脇を抜けた。
 
 
しかし上の写真、よくないすか?オーバーハングした岩の向こうにうずくまるように停まった軽トラ。確かに樫山からは、ここがなんとか転回できる最奥ポイントってことになるのだろう。 
 
 
 
進軍再開して2分、
 
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また何か見えてきた。
 
 
 
 
現れたのは、橋。
 
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コレは振り返って撮影。
 
スタート地点にあった人道橋以来初めて、小匠川本流を渡る橋となる。これもまた、樫山小匠線から分岐する支線のひとつで、かつてこの先には「白洞」なる集落があったようだ。…いまもダブルトラックが見える気がするが。住人だった方が時折戻られているのかな?
 
【9】で登場した隧道を「白洞隧道」とするのは、やっぱり無理があるように思う。そもそも廃村・白洞は古座川町だが、あの隧道は那智勝浦町やったしな…。
 
山手川と同じく、この白洞への道も、心残りではあったが割愛した。
 
 
 
この橋のすぐ樫山側、
 
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小匠川がちょっとした渓谷の趣。
 
…この辺こそ、水かさが増えた時、真にヤバそうやな~(汗)。
 
 
 
 
時刻は11時54分。
 
 
樫山への遥かなる道は、
 
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徐々に極まっていく。
 
 
 
 
【12】に続く。