茨城「稲里 星 純米吟醸」華やかなライシーの香りと穏やかな甘旨味がころあい良く競演する | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

酔い人「空太郎」の日本酒探検

意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

茨城県笠間市の磯蔵酒造さんが醸しているお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

 

最後の4本目はこれです。

 

 

稲里(いなさと) 星 純米吟醸」。

 

機会に恵まれて、磯蔵酒造の蔵元である磯貴太さんの酒造りへの思いについてじっくりと伺うことができましたので、ここでその一部をご紹介したいと思います。

 

最後にお酒のネーミングについて、磯蔵元は次の様に話していました。

*************

僕は日本酒の味の参考にならない表示は嫌いです。

日本酒度や酸度はまったく意味がないし、特定名称もしかり。そこで2001年にラベルを一新することにしたのですが、特定名称については蔵人たちが「ラベルに一切表示がなくなれば絶対に売れない。

蔵がつぶれてもいいんですか」と迫られて諦めました。

ただし、特定名称の表示は端っこにして、ラベルの中央には漢字1文字を崩してどーんと置くことにしたんです。

 

 

もちろん、その漢字にはそれぞれ意味があって、

「山=お米の旨味を山のようにどっしりと」

「月=満月のようにまあるく優しい旨味と三日月のようなシャープな後味の切れが両立」

「風=風のようにすーっときて、ふーっといなくなる味わい」

といった具合にしました。

当初、取引先の酒販店は「こんなの売れねえ」と手厳しかったですが、20年経って定着したようで、最近は文句も言われなくなりました。

**************

よかったです。ところで、4本目のこれは、「星=うちの商品の中では星のようにキラっと光るキラキラした今風な要素のある味わい」だそうです。

 

ひたち錦55%精米の純米吟醸酒です。

 

 

上立ち香は艶のある米由来のライシーな香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、スベスベの感触をアピールしながら、まっしぐらに転がり込んできます。

 

受け止めて保持すると、促されるままに流れるように膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系のさらりとしたタイプ、旨味はシンプル無垢で和やかなムードで、両者は足並を揃えて、ひっかかりのないスムーズな踊りを披露します。

 

流れてくる含み香はライシーな香りながらも、可憐な華やかな雰囲気を纏ってデコレート。

後から酸味は僅少、渋味は適量現れて、味わいにくっきりと輪郭を施します。

甘旨味は、終盤まで魅惑的なきらめきを放ちながら、最後に飲み下した後の余韻も爽やかなものでした。

 

 

磯蔵元の説明文の通りのお酒たちでした。

 

お酒の情報(24年159銘柄目)

銘柄名「稲里(いなさと)星 純米吟醸 2023BY」

酒蔵「磯蔵酒造(茨城県笠間市)」

分類「純米吟醸酒」

原料米「ひたち錦」

酵母「不明」

精米歩合「55%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込み)「1800ml=3300円」

評価「★★★★★(7.5点)」