千葉県一宮町の稲花酒造さんが醸しているお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。
2本目はこれです。
「稲花(いなはな)MUTSUZAWA 純米吟醸」。
さて、稲花酒造のプレミアム酒蔵見学にお邪魔したわけですが、この日の案内は秋場貴子社長でした。
空太郎は息子の秋場康佑さんには酒イベントでお会いをして、名刺交換もしていましたが、秋場社長にお目にかかるのは初めてでした。
どんな案内になるのだろうと、ちょっぴり構えて始まったのですが、秋場社長は話好きで、蔵の歴史はもちろん、ご自身がなぜ、蔵元を継いだかについて微に入り細を穿つように説明してくれたのでした。
貴子さんは10代目の蔵元、秋場昇氏の長女として1955年に誕生。
妹と二人姉妹でしたが、父から「これからは女子といえども、自分の学びたいことを学び、仕事を選んで社会に貢献すべきだ」と常々言われていたので、貴子さんは高校時代、京都の大学への進学を目指して勉強をしていました。
ところが、高校3年生の時に父が病で倒れ、病床に見舞いに行くと、父から「東京農大で学び、蔵を継げ」と命令されました。
猛烈に反発したそうですが、「農大以外の大学へ行くのなら、学費はおろか受験料も払わない」と追い込まれて泣く泣く1974年、農大へ進学したのだそうです。
農大に進むと、同学年120人のうち、女子は5人でした。
大学1年の半ばで父上が亡くなったこともあり、農大の教授たちは「卒業したら稲花の蔵元になる」との目で貴子さんを見て、熱心に指導してくれました。
小泉武夫氏の研究室に入って、かばん持ちなどもやったそうです。
貴子さんは酒は好きではなかったようですが、アルコールには滅法耐性があり、農大の新歓コンパでは、新入生の第一関門である「ビール大瓶9本を飲む」を簡単にクリア。
その後、勧められるがままに日本酒一升瓶と焼酎(720ml)1本を一人で空けて、なお倒れなかったため、翌日には「ザルの秋場」との評判が農大キャンパス内に轟いたそうです。
1978年農大卒業後、明治屋の営業部に入社し、酒の流通を学び、4年経過後、1982年春に稲花酒造に帰ってきました。
そして、先代(貴子さんの父の妹=叔母が11代目を継いだ)が亡くなり、1990年代半ばに12代目蔵元に就任。現在まで30年間、社長をしています。
さて、2本目にいただくのは、一宮町の隣の睦沢町産の五百万石、60%精米の純米吟醸、生酒です。
上立ち香は酢酸イソアミルの好ましい香りが仄かに。
口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触をアピールしながら、軽やかに滑り込んできます。
受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。
粒から滲み出てくるのは甘味6割、旨味4割。
甘味は上白糖系の乾いたタイプ、旨味はシンプル朴訥な印象で、両者は一緒に地味めな舞いを披露します。
流れてくる含み香は酢酸イソアミルに酢酸エチルの香りがミックスして複雑にデコレート。
後から酸味は僅少、渋味は適量現れて、渋味が全体をきつく締めようとします。
甘旨味は終盤になると渋味に負けて、全体を崩し、そのまま足取りが重くなり、最後に飲み下した後の余韻もいささかどんよりでした。
それでは、稲花酒造のお酒、最後の3本目をいただくことにします。
お酒の情報(26年245銘柄目)
銘柄名「稲花(いなはな)MUTSUZAWA 純米吟醸 2025BY」
酒蔵「稲花酒造(千葉県一宮町)」
分類「純米吟醸酒」「生酒」
原料米「五百万石」
酵母「協会1401号」
精米歩合「60%」
アルコール度数「16度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「○」
標準小売価格(税込み)「720ml=2310円」
評価「★★★★★(7.5点)」









































