茨城「稲里の搾りたて 楽 生大吟醸」太めの甘味とサシたっぷりの旨味が図々しく巡回を続ける | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

茨城県笠間市の磯蔵酒造さんが醸しているお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

 

1本目はこれです。

 

 

稲里(いなさと)の搾りたて 楽 生大吟醸」。

 

機会に恵まれて、磯蔵酒造の蔵元である磯貴太さんの酒造りへの思いについてじっくりと伺うことができましたので、ここでその一部をご紹介したいと思います。

 

磯蔵酒造はいろいろなこだわりを持っていますが、その1つが、使う米のほとんどを笠間市内で自力と契約栽培農家が作る米に限定していることです。

その理由について磯さんは次の様に話しています。

 

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大きな理由の1つは蔵までの運送コストが安いことです。

兵庫から山田錦を運ぶことを考えればずっとエコですし、SDGSにも叶っています。

二つ目は、いま、13軒の農家と契約栽培を結んでいますが、関わっている人数は30人。

彼らは重要な営業マンです。

周囲に、「どうせ酒を飲むのなら、俺が作った米でできた酒を飲んでくれ」と営業活動をしてくださるからです。

そして、最後の3つ目は米の質について収穫時期など細かな注文を直接言えることです。

JA経由ではとても言えません。

これが地元の米を使う最大の理由です。

結局、それがうちの酒の質向上に繋がっていますから。

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さて、1本目にいただくのは五百万石50%精米のアル添大吟醸、生酒です。

 

 

上立ち香からして太い飴を思わせるぬめっとした甘い香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に厚めにとろみ層を乗せて、おっとりとしたムードで忍び入ってきます。

 

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさの粘っこい粒々を連射してきます。

粒から現出してくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味は水飴系の濃厚なタイプ、旨味は多彩で無限のコクが重層化した印象で、両者は足並みを揃えて超肥満の舞いを披露します。

 

流れてくる含み香は生酒特有の太いエキスの香りで生ヒネはなし。

後から酸味と渋味は少量現れるものの、甘旨味のド迫力に負かされて遠目から眺めるのみ。

味わいは終盤まで濃厚でべたべたとした感触が続くのでした。

 

 

いわゆるガツン系のアル添酒でした。

それでは磯蔵酒造さんのお酒、2本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年156銘柄目)

銘柄名「稲里(いなさと)の搾りたて 楽 生大吟醸 2023BY」

酒蔵「磯蔵酒造(茨城県笠間市)」

分類「アル添大吟醸酒」

原料米「五百万石」

酵母「不明」

精米歩合「50%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込み)「720ml=1700円」

評価「★★★★★(7.5点)」