本当に久し振りに長野県小布施町のワインメーカー、小布施ワイナリーが醸している日本酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。
最後の5本目はこれです。
小布施ワイナリーの蔵元の曽我彰彦さんは果てしなく能書をたれるのがお好きの方で、裏貼りに書かれている文字数は年々増えて、それに比例して字が小さくなり、健常者でも虫メガネがないと読めない事態に陥っています。
写真でも読めないと思いますので、個別に分析しながらご紹介します。
共通能書は総合前文、蔵の酒の特徴、造りへのこだわり、注意書きの後の最後のコメントがこれです。
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製造年月 2024年3月
*小布施の生酒品質保障期間2024年5月31日(未開封、冷蔵庫4度以下貯蔵において)。
6月1日以降は超マニアックな香り、味わいのSAKEになる可能性があります。
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生酒の良さを楽しみたいなら5月末までに吞みなさい。
開封して(しなくても)6月を過ぎれば味は変わりますよ。
放置プレイが好きな人は勝手にどうぞ。
酒は嗜好品だから、最終的には飲み手の責任のもと、勝手にやってください、といったところだと思います。
さて、最後の5本目のお酒には次のような説明文がありました。
(危険!)吟醸香マニアの方、完全不向きsake
我々の思想を知る方向けの僅かな製造量のsakeです。
小布施ビギナーの方には刺激的で危うすぎます。
農薬不使用米 収量制限米 当方のトップレンジSAKE
培養酵母無添加 天然酵母による自然発酵
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酒造りの歴史を紐解くと激動の江戸明治大正時代における先達の足跡が現れ、同時にsakeの不易と流行が見えてきます。
このsakeの香味はモノマニアックなエロチズム ジャポネの逆襲 大人のための秘密のsake。エポワス、酒盗、コンテとともにお召し上がり下さい。
理由無くして90%精米にしていません。
21年間肥料を与えず17年間農薬不使用である田の収穫量は一般美山錦量の20%弱。
現代酒米へのアンチテーゼ。
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そういうわけで、5本目は美山錦90%精米の黒い米で、人工乳酸も酵母も不添加の、いわゆる完全なナチュール日本酒となります。
口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、ツルツルの感触をアピールしながら、まっしぐらに忍び入ってきます。
受け止めて保持すると、促されるままにお上品な態度で膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の澄み切った粒々を速射してきます。
甘味はとろりとしているものの純度は99.99%の高貴なタイプ、旨味はシンプルで肌理が細かく、両者は足並を揃えて、絶妙なシルキータッチの世界を描くのです。
後から酸味と渋味がほんのわずかに現れて、隠し味役を担います。
終盤まで主役はノーブルな甘味で、飲み下した後の余韻もチャーミングで魅惑的な甘さでした。
今回いただいた小布施ワイナリーの5つのお酒で、図抜けた仕上がりでした。
1シーズンに仕込む本数が少ないので、再現性を期待してはいけませんが、どんな酒が今回はできただろうかとワクワクするのがソガペールエフィスのお酒の楽しみ方だと思います。
銘柄名「ソガペールエフィス ルサケナチュレル90 生酒 2023BY」
酒蔵「小布施ワイナリー(長野県小布施町)」
分類「純米酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」
原料米「美山錦」
使用酵母「酵母不添加」
精米歩合「90%」
アルコール度数「14度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「375ml=1400円」
評価「★★★★★★(7.9点!!)」