長野「ソガペールエフィス サケエロティック」全体的に穏やかで円やかな世界がゆったりと描かれる | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

本当に久し振りに長野県小布施町のワインメーカー、小布施ワイナリーが醸している日本酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

4本目はこれです。

 

 

ソガペールエフィス サケエロティック ヌメロシス 生酒」。

 

小布施ワイナリーの蔵元の曽我彰彦さんは果てしなく能書をたれるのがお好きの方で、裏貼りに書かれている文字数は年々増えて、それに比例して字が小さくなり、健常者でも虫メガネがないと読めない事態に陥っています。

 

写真でも読めないと思いますので、個別に分析しながらご紹介します。

 

共通能書は総合前文、蔵の酒の特徴、造りへのこだわりの次に注意書きがあります。

 

 

注1)   ワイナリーtasting roomではsakeを一切店頭販売しておりません。

注2)   インターネットでは高額で取引されています。正規特約店でお求め下さい。

 

ソガペールを好きになり、造っている現場(中を見せてもらえないことは承知の上で)に行ってみたいという気持ちをつのらせ、長野・小布施方面に出かける機会があった際、小布施ワイナリーに寄ったことがあります。

その頃は、販売所の一角に日本酒の「ソガペールエフィス」を置いてありました。

ところが、ソガペールエフィスの魅力を知った人が増えて、需給がタイトになったため、販売所に置くことは止めました。

 

 

その後も、口コミで評判が集まり、ネット時代になり、定価をはるかに超える値段でネット販売されるようになっています。

こうなるとコネのない人はどうすればよいのでしょうか。

まずは、正規特約店に足を運び、コツコツといろいろな日本酒を購入して顔を売り、それから「実は」と店主に頼み込むという地道な作戦をお勧めします。

空太郎も人的繋がりで、ソガペールエフィスは買っています。

 

さて、4本目のこのお酒には次のような説明文がありました。

 

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菌のスペック=協会6号酵母と豊かな自然界の菌

小布施北部田園地帯米 ドメーヌ イケダ(池田大光)

 

辛い恋慕や狂おしい恋愛を経た大人の男女のみ解りうる退廃的な香味のsakeゆえ、Sake Erotiqueとしました。

 

4月になると「趣味のsake」を全て売り切り、ワイナリー内はsake製造の痕跡すら無いワイン農家に戻ります。

池田美山錦特有のタイトでスレンダーな味わいは生酛と絶妙なマリアージュを遂げ、私達に優しく寄り添います。

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そういうわけで、4本目は協会6号の単体発酵ですが、蔵元は蔵付酵母も入り込んでいると認識しているようです。

美山錦、59%精米の純米生酒です。

 

 

上立ち香はスレンダーな酒エキスの先鋭的な香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触を強くアピールしながら、軽快なテンポで滑り込んできます。

受け止めて保持すると、自立的に淡々とした態度で膨らみ、拡散して、適度な大きさの大振りな粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系のさらりとしたタイプ、旨味はシンプル無垢で滑らかなタッチで、両者は足並みを揃えて、無駄のない流麗なハーモニーを奏でます。

流れてくる含み香は良質な酢酸イソアミルのバナナ系の香りでデコレート。

後から酸味と渋味が少量現れて、両者は優しくソフトタッチの輪郭を施すのです。

甘旨味の舞いは終盤まで滞ることなく続き、最後に飲み下した後の余韻は、爽快な印象でした。

 

それでは、小布施ワイナリーの今季の日本酒、最後の5本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年154銘柄目)

銘柄名「ソガペールエフィス サケエロティック ヌメロシス 生酒 2023BY」

酒蔵「小布施ワイナリー(長野県小布施町)」

分類「純米酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」

原料米「美山錦」

使用酵母「協会6号酵母」

精米歩合「59%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「750ml=1600円」

評価「★★★★★★(7.7点)」