山形「楯野川 無我 ゴールドボトル」エレガントな甘旨味が可憐にエモーショナルな世界を描く | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

楯野川(たてのかわ)無我 ゴールドボトル 純米大吟醸生原酒」。

山形県酒田市の楯の川酒造さん醸しているお酒です。

 

楯の川酒造は事業多角化の一環として、ウイスキー造りに参入しました。

酒田市の北に位置する遊佐町に新しい蒸留所、「月光川(がっこうがわ)蒸留所」を建て、モルト造りを始めています。

空太郎も先日、蔵を見学させていただきましたが、すべてがまっさらの設備が並ぶ様は壮観でした。

黄金色に輝くとも思われる銅でできたポットスチルは感動物です。

昨年(2023)秋から蒸留が始まり、着々と樽貯蔵が進んでいます。

 

 

いま、ジャパニーズウイスキーは世界のウイスキー好きの間で注目されており、数年後が楽しみです。

楯の川酒造グループは日本酒を柱にしているものの、リキュール、ワイン、シードル、そしてウイスキーを手掛ける総合酒類メーカーに向けて着々と進んでいます。

 

さて、お酒ですが、楯の川酒造の季節限定品、冬場だけ出す「無濾過生原酒」です。

山田錦50%精米の純米大吟醸です。

 

 

上立ち香は生酒らしい酢酸イソアミルに生の脂身がミックスした香り。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡をかすかに包含したとろみ層を乗せて、ヘルシーな雰囲気でまっしぐらに転がり込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさの湿り気を帯びた透明な粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系の適度な奥行きを感じるタイプ、旨味はシンプル無垢で滑らかな印象で、両者は仲良く手を取り合いながら、初々しくもゴージャスな世界を描き始めます。

流れてくる含み香も好感の持てる生酒らしい初々しい香りでデコレート。

後から酸味と渋味は僅少現れて、薄氷の輪郭を付与します。

味わいはエレガントで適度な色香を放ち、最後は反転縮退して昇華して行きました。

 

 

山田錦の魅力を前面に打ち出した仕上がりでした。

それでは、楯の川酒造のお酒、もう一本いただくことにします。

 

お酒の情報(24年130銘柄目)

銘柄名「楯野川(たてのかわ)無我 

ゴールドボトル 純米大吟醸生原酒 2023BY」

酒蔵「楯の川酒造(山形県酒田市)」

分類「純米大吟醸酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」

原料米「山田錦」

使用酵母「不明」

精米歩合「50%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「720ml=2475円」

評価「★★★★★★(7.7点)」