近年、飲み放題設定のある銘酒居酒屋で飲める日本酒のレベルが急ピッチで上昇しています。
どのぐらい飲み放題ができるお酒の質が上がっているかを、いろいろな店を巡り、散発的にご報告していきます。
第55弾は恵比寿の「箸庵(はしあん)」さんです。
「箸庵」には2時間飲み放題のコースが税込み7000円と8000円がありますが、どちらもこのままではまともな日本酒は飲めないので、プラス1000円上乗せします。
するとグレードの上がった日本酒9種類が対象に加わると同時に、時間も2.5時間になります。
そこで、鴨しゃぶ鍋コースに上乗せして、8000円でお願いしました。
「日高見(ひたかみ)超辛口純米」。
宮城県石巻市の平孝酒造さんが醸しているお酒です。
痩身な硬い旨味に酸味と渋味が絡まり合って、水墨画の世界を描いていました。7.5点でした。
2本目にいただいたのはこれです。
「麒麟山(きりんざん)伝統辛口」。
新潟県阿賀町の麒麟山酒造さんが醸しているお酒です。
平凡で硬い旨味が淡々とひたすらボーっと徘徊し、キレが感じられませんでした。7.4点でした。
3本目にいただいたのはこれです。
「亀齢(きれい)辛口純米 八拾」。
広島県東広島市の亀齢酒造さんが醸しているお酒です。
中濃の甘旨味が酸味を従えて、生き生きとした踊りを見せ、最後は好ましい余韻を残して昇華して行きました。7.6点でした。
4本目にいただいたのはこれです。
「紀土(きっど)純米」。
和歌山県海南市の平和酒造さんが醸しているお酒です。
スリムでドライ系の甘旨味が淡々とながらも非常にバランスの良い世界を描きました。
スタンダードな銘酒の印象でした。7.6点。
5本目にいただいたのはこれです。
「澤屋まつもと(さわやまつもと)純米」。
京都市伏見区の松本酒造さんが醸しているお酒です。
いつもの澤屋まつもとよりも、数段地味で、大人しく、メリハリが今ひとつでした。7.5点。
6本目にいただいたのはこれです。
「松の司 楽(まつのつかさ らく)純米吟醸」。
滋賀県竜王町の松瀬酒造さんが醸しているお酒です。
円やかで朗らかな甘旨味が優しく踊り、渋味が微かに隠し味役を担う、典型的な優等生の純米吟醸でした。7.5点。
7本目にいただいたのはこれです。
「天賦(てんぶ)純米吟醸」。
鹿児島県日置市の西酒造さんが醸しているお酒です。
良質な甘旨味が伸びやかに舞い、好ましい酸味でさらに彩りを増し、終盤まで魅惑の世界が続きました。
今夜で一番美味しいお酒でした。7.8点。
最後の8本目にいただいたのはこれです。
「久保田(くぼた)純米大吟醸」。
新潟県長岡市の朝日酒造さんが醸しているお酒です。
良く磨き込んだ純度の高い甘旨味がエレガントに舞い、酸渋が現れず、最後まで甘旨味の独壇場でした。
典型的な純米大吟醸酒でした。7.6点。
日本酒のラインナップは辛口系や廉価な純米酒が主体で、お店としてコストを意識しながらの品揃えであることを感じさせました。
料理は鴨のしゃぶしゃぶが逸品で、数も問題はありませんでした。
値段、日本酒の品揃えを勘案して、4.4点(★★★★)を配点しました。
総合評価が4.8点以上の秀逸飲み放題居酒屋は以下の通りです。
常笑(中野)、サケラボトーキョー(十条)、八福寿家(恵比寿)、鳥酎はなれ(飯田橋)、ナイン(船橋)、GASHUE(仲御徒町)、居酒屋純ちゃん(荒木町)、つくしのこ(池尻大橋)、日がさ雨がさ(四谷三丁目)、MrHappy(神保町)、オールザットジャズ(荒木町)、まき野(高田馬場)