岩手「龍泉八重桜 純米 しぼりたて生酒」とろっとした甘旨味が茫洋たる世界を描く | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

岩手県を旅してきました。食事をいただく時には必ず岩手の地酒を楽しみました。

帰りの盛岡駅でも駅ビルに入っている居酒屋「うんめのす」さんで、新幹線の発車待ちを利用して、いろいろいただきました。

2杯目にいただいたのはこれです。

 

 

龍泉八重桜(りゅうせんやえざくら)純米 しぼりたて生酒」。

岩手県岩泉町の泉金酒造さんが醸しているお酒です。

 

泉金酒造の杜氏は2020BYから南部杜氏の伊藤賢一さんが担っています。

伊藤さんは2000年代に八戸酒造の杜氏となり、「陸奥八仙」のブランド価値を引き揚げるのに大変貢献した人でした。

 

しかし、駒井兄弟による蔵の拡大路線の方針の中で、八戸酒造を去るのでした。

その後、静岡の富士正酒造などで杜氏をしていましたが、自らの故郷への望郷もあったのでしょう、泉金酒造入りを果たしています。

 

 

泉金酒造のお酒は岩手県の中にあっては、突出する個性もなく、もう少し何かが必要だなと空太郎は感じていたので、伊藤さんが杜氏になったことで、蔵の酒質に変化が起きることを期待しています。

 

さて、いただくのは酒米不明の70%精米のしぼりたて生酒です。

 

 

上立ち香はフレッシュな麹バナの甘い香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にとろみ層をしっかりと乗せて、勢いよく滑り込んできます。

受け止めて保持すると、自立的にぐんぐんと膨らみ、拡散して、適度な大きさの粘っこい粒々を連射してきます。

粒から現出してくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味はザラメ糖系の幅のあるタイプ、旨味はシンプル無垢でやや鈍重の印象で、両者はのろのろとしたスピードで周囲の徘徊を始めます。

流れてくる含み香も生酒特有の脂身を感じるタイプでデコレート。

後から酸味が適量、渋味が少量現れて、味わいを引き締めようとします。

やや太めの甘旨味はそれに反応を見せず、そのまま鈍いテンポを維持したまま、ゆっくりと踊り、最後に飲み下した後の余韻はやや太めで長いものでした。

 

それでは岩手の地酒の旅、最後の3杯目(通算で7杯目)をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年117銘柄目)

銘柄名「龍泉八重桜(りゅうせんやえざくら)純米 しぼりたて生酒 2023BY」

酒蔵「泉金酒造(岩手県岩泉町)」

分類「純米酒」「生酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「70%」

アルコール度数「18度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「○」

標準小売価格(税込)「720ml=1600円」

評価「★★★★★(7.5点)」