岩手県を旅してきました。
食事をいただく時には必ず岩手の地酒を楽しみました。
帰りの盛岡駅でも駅ビルに入っている居酒屋「うんめのす」さんで、新幹線の発車待ちを利用して、いろいろいただきました。
この旅行通算7杯目にいただいたのはこれです。
岩手県雫石町の菊の司酒造さんが醸しているお酒です。
菊の司酒造は経営不振から、2021年3月末に盛岡のパチスロ会社、公楽の子会社になりました。
公楽は社長令嬢の山田貴和子さんに蔵の舵取りを任せます。
老朽化した蔵を改修して酒造りを続行するつもりでしたが、蔵の修理に膨大な手間とコストがかかることがわかり、雫石町に新たな蔵を建設することを決め、2022BYから新天地で酒造りを始めています。
このほど、空太郎も旅行の途中に蔵に立ち寄りました。
広大な敷地に立派な建物があり、併設しておしゃれな直売所もありました。
この時は取材ではないので、中には入れませんでしたが、最近、内部を見学した方の情報によれば、完全自動化にはせず、麹室もあるし、麹米は自然放冷して引き込んでいるようです。
仕込みタンクは5500㍑級が12本並んでおり、おそらく総米は1.5㌧と地酒の品質を維持するには問題のないサイズだと思います。
蔵に入るにはエアシャワーを浴びなければならないし、いわゆる食品工場としての衛生管理は完璧だと思われます。
杜氏は高校卒業後に菊の司酒造に入社し、2018BYから杜氏になった西舘誠之さんがそのまま残っており、菊の司酒造を復活させる条件は整っていると感じました。
今後に期待です。
さて、いただくのは、岩手県産結の香、60%精米の純米生酒、超辛口です。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触を四散させながら、まっしぐらに転がり込んできます。
受け止めて保持すると、自立的にテンポよく膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。
甘味は上白糖系のからりとしたタイプ、旨味は上質で滑らかな印象で、両者は足並みを揃えて、元気良く跳びはねるようにして踊ります。
流れてくる含み香も生酒にしては痩身でキリリとした酒エキスの香り。
後から酸味が少量、渋味が多めに現れて、明確なメリハリを施します。
甘旨味はさらに引き締まりながら、派手さに走らず、そのままハードボイルドの世界を描き切るのでした。
菊の司酒造の将来性を感じさせる逸品でした。
岩手の地酒の旅にふさわしいフィナーレとなりました。
銘柄名「七福神(しちふくじん)超辛口 純米生酒 2023BY」
酒蔵「菊の司酒造(岩手県雫石町)」
分類「純米酒」「生酒」
原料米「岩手県産結の香」
使用酵母「不明」
精米歩合「60%」
アルコール度数「17度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「○」
標準小売価格(税込)「1800ml=3080円」
評価「★★★★★★(7.7点)」