広島「龍勢 和みの辛口 竹原産八反錦」パワフルな酸渋が甘旨味を軽々と凌賀する | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

荒木町の人気居酒屋「純ちゃん」にお邪魔しました。

今夜も25種類のお酒をすべていただきましたが、今回はその中から、辛口を標榜しているお酒の報告をします。

 

3本目はこれです。

 

 

龍勢(りゅうせい)和みの辛口 竹原産八反錦」。

広島県竹原市の藤井酒造さんが醸しているお酒です。

 

このお酒については、蔵元後継者(6代目)の藤井義大さんがウエブサイトで語っているので、それをご紹介します。

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藤井酒造では、2022年より竹原市小梨地区の渡橋達也氏とタッグを組み、八反錦を栽培していただいています。

その八反錦を用いたお酒の第一弾「龍勢 和みの辛口 竹原産八反錦」を蔵出しします。

木桶仕込み、酵母無添加の生酛による、しっかりとした酸味が魅力的なお酒です。全量竹原産米での仕込みは、約100年ぶりです。

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ちなみにタッグを汲んでいる渡橋さんは大学卒業後、酒造会社に就職して(藤井酒造ではありません)7年働き、その後、故郷の竹原に戻って米作りを始めています。

酒米には詳しく、その流れから、今回、藤井さんの要請に応えて八反錦の栽培面積を拡大したようです。

 

さて、このお酒の日本酒度は確かプラス8です。

生酛ですから乳酸不添加、そして酵母も不添加になります。

 

 

上立ち香はしっかりとした乳酸の鋭角的な香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にとろみ層を乗せて、エネルギッシュな雰囲気で駆け込んできます。

受け止めて保持すると、自律的にテンポよく膨らみ、拡散して、適度な大きさの硬めの粒々を速射してきます。

粒から現出してくるのは甘味6割、旨味4割。

甘味は上白糖系の儚いタイプ、旨味は凹凸の激しく歪んだ印象で、甘味はすぐに昇華して、旨味のギクシャクした踊りが主役になります。

流れてくる含み香も明快な乳酸のチクチクとした香り。

後から酸味が大量に、渋味も負けじとたっぷりと現れて、両者はパワフルな大波となって、旨味を陵駕して、暴れ回るのです。

味わいは全体が辛さ一色となり、そのまま激しく駆け回り、飲み下した後の余韻も辛さでした。

 

 

それでは、辛口のお酒、4本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年99銘柄目)

銘柄名「龍勢(りゅうせい)和みの辛口 竹原産八反錦 2022BY」

酒蔵「藤井酒造(広島県竹原市)」

分類「純米酒」「生酛酒」「酵母無添加酒」

原料米「竹原産八反錦」

使用酵母「蔵棲み酵母」

精米歩合「60%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「+8」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「720ml=1760円」

評価「★★★★(7.3点)」