群馬「流輝 純米 DRY」オーソドックスな甘旨味が乾いたさらりとした世界を描く | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

荒木町の人気居酒屋「純ちゃん」にお邪魔しました。

今夜も25種類のお酒をすべていただきましたが、今回はその中から、辛口を標榜しているお酒の報告をします。

 

2本目はこれです。

 

 

流輝(るか)純米 DRY 一回火入れ」。

群馬県藤岡市の松屋酒造さんが醸しているお酒です。

 

「當選(とうせん)」というおめでたい銘柄を主力にしていた松屋酒造が「流輝」をデビューさせたのは2009BYです。

2006年に蔵元後継者の松原広幸さんがアパレル会社を辞めて帰蔵し、初めて責任仕込みに命名したのがこの銘柄です。

流輝については、自分の子供だと思って命名したそうで、その後、生まれてくる子供の名前にそのまま使おうとしたら、奥様に却下されたというエピソードもあります。

 

 

流輝は当初からフレッシュ・ジューシーな酒を基本路線として、日本酒度もマイナス1~2あたりを狙ってきましたが、よくあるように「辛口はないの?というお客様に対応するための商品も欲しい」という酒販店の要請に断り切れずに辛口タイプを加えています。

ただ、流輝のイメージから外れないように、日本酒度はプラス5としています。

でも、そうなると辛口が欲しい人から見ると中途半端とも言われそうな気がしますが、いかがでしょうか?

 

五百万石60%精米の純米、一回火入れ酒です。

 

 

上立ち香はスタンダードな酒エキスの香りが微かに。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振ってをサラサラな感触をアピールしながら、淡々とまっしぐらに転がり込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままにしなやかに膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系の存在感のあるタイプ、旨味もシンプルながらも、複数のコクが織り上がった印象で、両者は足並みを揃えて、くっきり爽やかな舞いを披露します。

流れてくる含み香もシックな酒エキスの香りで薄化粧を付与。

後から酸味と渋味はごく少量現れるものの、味わいを適度に引き締めて、全体はオーソドックスでさらりと乾いた世界へと導くのです。飲み下した後の余韻はモノトーンでした。

 

辛口ではなく旨口の仕上がりでした。それでは、辛口のお酒、3本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年98銘柄目)

銘柄名「流輝(るか)純米 DRY 一回火入れ 2023BY」

酒蔵「松屋酒造(群馬県藤岡市)」

分類「純米酒」

原料米「五百万石」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「+5」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=2790円」

評価「★★★★★(7.5点)」