石川「益荒男 山廃純米 無濾過生原酒」太めの甘旨味が四股を踏み、酸渋がカラフルな世界に色づける | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
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自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

益荒男(ますらお)山廃純米 無濾過生原酒」。

石川県加賀市の鹿野酒造さんが醸しているお酒です。

 

鹿野酒造は農口尚彦さんが杜氏をしていた期間、非常に脚光を浴びましたが、その後は農口さんの弟子だった木谷太津男さんが杜氏になり、地道にお酒造りを続けています。

寒い冬の時期だけの造りにこだわり、さらに、早い段階から地元の酒米で造るべく手を打っています。

この辺りでは寒冷すぎて栽培が難しいと言われる山田錦についても、地元の篤農家と組んで栽培に成功しています。

 

 

ちなみに同じ石川県ではありますが、県内に位置する加賀市なので、能登半島地震による被害は一切ありませんでした。

 

いただくお酒は65%精米の山廃純米、無濾過生原酒です。

 

 

上立ち香は砂糖入りの甘いヨーグルトの香りがします。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、さらさらな感触をアピールしながら、まっしぐらに駆け込んできます。

受け止めて保持すると、自律的に粛々と膨らみ、拡散して、適度な大きさの複雑な形をした粒々を次々と射掛けてきます。

粒から現出してくるのは甘味6割、旨味4割。

甘味はややとろっとした中濃タイプ、旨味は凹凸が目立って、さらに表面に無数の棘を生やした印象で、両者は一緒に重厚な四股を踏むのです。

流れてくる含み香は濃醇な酒エキスの香りでデコレート。

後から酸味と渋味が相当量現れて、重々しい甘旨味の徘徊にカラフルな味付けをするのです。

味わいはさらに賑やかになり、終盤になると辛さも加わって、そのままの喧噪を保ちながら終盤を迎えるのでした。

 

能登杜氏の山廃らしい仕上がりでした。

 

お酒の情報(24年95銘柄目)

銘柄名「益荒男(ますらお)山廃純米 無濾過生原酒 2022BY」

酒蔵「鹿野酒造(石川県加賀市)」

分類「純米酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」「山廃酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「65%」

アルコール度数「18度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「720ml=1540円」

評価「★★★★(7.4点)」