奈良「風の森 ALPHA1 菩提酛 純米」いつもの風の森のシュワシュワな世界が繰り広げられる | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
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自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

風の森(かぜのもり)ALPHA1 菩提酛 純米 無濾過生原酒」。

奈良県御所市の油長酒造さんが醸しているお酒です。

 

菩提酛は古くは「菩提性」と呼ばれ、暖かい時季でも比較的安全にお酒ができる酒母の製法で、原点は奈良市にある正暦寺が造っていた「菩提泉」と言われています。

室町時代から始まっていたとされ、江戸時代以降は全国に普及した製法でしたが、明治末期に速醸酒母が考案されてからは廃れて、昭和初期には姿を消しました。

 

 

それを1980年代以降、復活させる試みが現れ、奈良県では1996年に県内の酒造会社15蔵で「菩提酛研究会」が結成されました。

復活に当たってストーリー性を重視して、菩提酛を共同で造る場所を正暦寺に決め、正暦寺は1998年に酒母製造免許を取得し、1999年1月に寺で初めての酒母造りが行われ、その年、県内の有志の酒蔵が酒を造り上げています。

以後、現在まで有志が菩提酛の酒を細々と造ってきましたが、近年、全国区の人気蔵が菩提酛を奈良県の酒の売りにしようと力を入れてきています。

その一軒が油長酒造というわけです。

 

秋津穂70%精米の純米、無濾過無加水生酒です。

 

 

上立ち香は冴え冴えとした薄甘い香りが鼻腔をくすぐります。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡を多めに包含したとろみ層を乗せて、まっしぐらに滑り込んできます。

受け止めて保持すると、気泡のシュワシュワとした破裂をBGMにして、軽やかに膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系のドライなタイプ、旨味はシンプル無垢な印象で、両者は足並みを揃えて、爽やかで柔らかなハーモニーを奏でるのです。

流れてくる含み香も生らしい初々しさに健康的な甘い香りがミックスしてデコレート。

後から酸味と渋味が少量現れて、鮮明なメリハリを付与します。

甘旨味は活力を失わず、伸び伸びとした舞いを披露し続けるのでした。

 

いつもの風の森ワールドでした。

それでは、奈良の菩提酛のお酒をもう1本いただくことにします。

 

お酒の情報(24年88銘柄目)

銘柄名「風の森(かぜのもり)ALPHA1 菩提酛 

純米 無濾過生原酒 2023BY」

酒蔵「油長酒造(奈良県御所市)」

分類「純米酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」

原料米「秋津穂」

使用酵母「正暦寺で造られた菩提酛」

精米歩合「70%」

アルコール度数「14度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「720ml=1500円」

評価「★★★★★★(7.8点)」