佐賀「東鶴 THE ORIGIN」高貴な甘旨味が歯切れ良く踊る | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

東鶴(あづまつる)THE ORIGIN」。

佐賀県多久市の東鶴酒造さんが醸しているお酒です。

 

このオリジンは昨年(2023年)春に新たに登場したお酒になります。

蔵元杜氏の野中保斉さんはその狙いについて次の様に話しています。

 

 

それまで定番として販売していた純米酒の影が薄くなってきたので、もう一度原点回帰をした酒を造ろうと決めました。

そこで、あまり大きく宣伝はしていませんが、生酛酒母に挑戦することにしました。

生酛を丁寧に造ろうとしてあれこれやってみたところ、当初は失敗続きで。何回か試みてようやく納得のいく酒母ができたのですが、そうしたら、完成までに40日間もかかってしまいました。

いい酒ができたと思います。

今後はこの酒をうちの蔵の看板商品にしようと思います。

 

山田錦60%精米の純米酒、一回火入れです。

 

 

上立ち香は非常にバランスの取れたフルーティーな香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡を包含したとろみ層を薄らと乗せて、軽やかに滑り込んできます。

受け止めて保持すると、気泡の微かな破裂をBGMにして膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味は上白糖系のさらりとしたタイプ、旨味はシンプル無垢で、両者は足並を揃えて、流麗な舞いを披露します。

流れてくる含み香もバランスの良い甘い香りでデコレート。

後から酸味が適量、渋味が少量現れて明快なメリハリを付与します。

甘旨味は気持ちよさげに生き生きと踊り、最後は反転縮退して昇華して行きました。

 

 

看板商品にする蔵元の意欲を感じる美酒でした。

 

お酒の情報(24年86銘柄目)

銘柄名「東鶴(あづまつる)THE ORIGIN 2022BY」

酒蔵「東鶴酒造(佐賀県多久市)」

分類「純米酒」

原料米「山田錦」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=3575円」

評価「★★★★★★(7.8点)」