長野「信州亀齢 純米吟醸 ひとごこち 無濾過生原酒」甘味と旨味のバランスが良く、フィナーレも最高 | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

荒木町の人気居酒屋「純ちゃん」にお邪魔しました。

今夜も極上のつまみと共に25種類のお酒を堪能しましたが、その中から3つご紹介します。

3本目はこれです。

 

 

信州亀齢(しんしゅうきれい)純米吟醸 ひとごこち 無濾過生原酒」。

長野県上田市の岡崎酒造さんが醸しているお酒です。

 

2本目の高木酒造と同様、今年(2024)2月に発売された「dancyu(ダンチュウ)」3月号の日本酒特集において、「王道の道を駆け上がる3蔵」の1つに紹介された岡崎酒造。

これでますます「信州亀齢」は買いにくくなるだろうなあ、とひとりごちる空太郎です。

本の発売以後、上田に行く用事があって、ついでに岡崎酒造に寄ると、上手い具合に蔵元杜氏の岡崎美都里さんがいらっしゃいました。

 

 

「ダンチュウ見ましたよ」と話題を振ると、彼女はむっとした顔をしながら、

「聞いてくださいよ。あの記事の取材は旦那だけにして、私にはインタビューはなかったんです。なのに、記事では私が言ったかのような書き方をした部分が複数あって、私は不機嫌です」。

確かに例えば

“2019年に改装した杉張りの麹室が「夫婦で会話する唯一の場所」と笑う美都里さん。”

とありますが、「私は言っていません」でした。

 

 

旦那の謙一さんにだけインタビューして、謙一さんが「美都里がこう言っている」というのをそのままもらって、さも本人から聞いたように書くというのは、ライターが苦し紛れにやったのでしょうが、これは禁じ手です。

猛省していただきたく思います。

 

さて、いただくのは蔵の看板商品であるひとごこちを使った55%精米の純米吟醸、無濾過生原酒です。

 

 

上立ち香は芳醇でフルーティーな甘い香りがしっかりと。

口に含むと中程度の大きさの均整の取れた旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡を包含したとろみ層を薄らと乗せて、軽快なテンポで滑り込んできます。

受け止めて保持すると、気泡の微かな破裂を背景にリズミカルに膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系の湿潤なタイプ、旨味はシルキータッチでツルツルな肌触りの印象で、両者は足並みを揃えて、絶妙なバランスで踊ります。

流れてくる含み香も色香たっぷりの甘い香りでデコレート。

後から酸味と渋味が少量現れて明快なアクセントを施します。

甘旨味は終盤まで乱れなく、流麗なワルツを踊りきるのでした。

 

王道を目指す風格を感じました。

 

お酒の情報(24年85銘柄目)

銘柄名「信州亀齢(しんしゅうきれい)純米吟醸 ひとごこち 

無濾過生原酒 2023BY」

酒蔵「岡崎酒造(長野県上田市)」

分類「純米吟醸酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」

原料米「ひとごこち」

使用酵母「不明」

精米歩合「55%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=3410円」

評価「★★★★★★(7.8点)」