富山「羽根屋 特別純米」中太の甘旨味が引き締まり不足でややぼやける | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

自宅の晩酌に富山市の富美菊酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

最後の6本目はこれです。

 

 

羽根屋(はねや)特別純米 瓶燗火入」。

 

2012年から完全四季醸造に切り替えて、一年中フレッシュなお酒を出荷してブランド価値を高めてきた羽根屋のお話は、空太郎がSAKEStreetに記事を書きましたので、是非、お読み下さい。

ここでは、そこに書き切れなかったお話を紹介します。

 

蔵元杜氏の羽根敬喜さんが蔵に戻ってきたのが1995年、29歳の時でした。

以来、28年間ひたすら美味しい酒を造るために走り続けてきました。

「蔵人はきちんと休ませますが、私はひたすら働きづめです。以前、8年間一日も休まずに働いたこともあります」と羽根さんは話しています。

 

 

でも、気づいたら羽根さんも57歳になりました。

将来について伺うと、「うちは子供は娘が3人。大学1年と高校1年、中学1年です。本人たちも私もまだどうするのか、どうしてほしいのかは決めていません。自然体の中で決まっていくのではないかと思っています」と話していました。

ただ、会社としては利益も出て、事業の継続に不安はなくなっており、3人のうちのどなたかが蔵元を継いでほしいなあ、と願います。

 

さて、最後の1本だけは生酒ではなく、瓶燗火入れの特別純米酒です。

 

 

上立ち香はややぼんやりとした酒エキスの香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にうっすらととろみ層を乗せて、大人しい雰囲気で忍び入ってきます。

受け止めて舌の上で転がすと、促されるままに素直にゆっくりと膨らみ、拡散して、適度な大きさの硬めの粒々を連射してきます。

粒から現出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系のサシの入ったタイプ、旨味は複数のコクが織り上がった印象で、両者はぼんやり、ゆっくりとした態度で徘徊を始めます。

流れてくる含み香も酒エキスの地味な香り。

後から酸味は皆無、渋味がわずかに現れるもののメリハリを付与するには至らず。

味わいはピントのはっきりしない、ややぼやけた状態のまま、終幕を迎えるのでした。

 

生酒に比べて若干劣る火入れ酒でした。

 

お酒の情報(24年82銘柄目)

銘柄名「羽根屋(はねや)特別純米 瓶燗火入 2023BY」

酒蔵「富美菊酒造(富山市)」

分類「特別純米酒」「一回火入れ」

原料米「五百万石」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=3400円」

評価「★★★★(7.4点)」