富山「羽根屋 翼 純米大吟醸50 生酒」瑞々しい甘味が主役を最後まで張り続ける | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

自宅の晩酌に富山市の富美菊酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

5本目はこれです。

 

 

羽根屋(はねや)翼(つばさ)純米大吟醸50 生酒」。

 

2012年から完全四季醸造に切り替えて、一年中フレッシュなお酒を出荷してブランド価値を高めてきた羽根屋のお話は、空太郎がSAKEStreetに記事を書きましたので、是非、お読み下さい。

ここでは、そこに書き切れなかったお話を紹介します。

 

四季醸造に切り替えるとともに、酒質向上の手を打ち続けている富美菊酒造ですが、麹室を2つに増やしたことが大きな進化になります。

4年前に新しい室ができ、これで2つの麹室を備えたことで、出麹のタイミングを状況に応じて変えることができるようになりました。

 

 

また、仕込みは15本のタンクを使って、繁忙期には半仕舞い(2日に1本の仕込み)で対応ができるようになっています。

冬場はほぼフル回転の週に3本仕込み、夏場は2本で、年間90数本の仕込み体制になっています。

これで生産石数は1300石。

能力的には2000石まで造れる体制になり、地酒蔵としては成功を納めています。

 

さて、5本目は精米歩合が50%の純米大吟醸、生酒です。

 

 

上立ち香はくっきりとした純度の高い甘い香りが漂ってきます。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にうっすらととろみ層を乗せて、優雅な雰囲気を漂わせながら、まっしぐらに滑り込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス球様の粒々を速射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味はザラメ糖系の高貴なタイプ、旨味はシンプル無垢で、両者は共にハーモニーを奏でながら、早春の爽やかな朝を描くのです。

流れてくる含み香は多彩なフルーティな香りが入り混じってデコレート。

後から酸味と渋味が僅少、現れて、薄氷の輪郭を付与します。

甘旨味は終盤まで妖しげな甘さを前面に押し出しながら舞い、最後は反転縮退して昇華して行きました。

 

それでは、羽根屋のお酒、最後の6本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年81銘柄目)

銘柄名「羽根屋(はねや)翼(つばさ)純米大吟醸50 生酒 2023BY」

酒蔵「富美菊酒造(富山市)」

分類「純米大吟醸酒」「生酒」

原料米「五百万石」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=4180円」

評価「★★★★★★(7.6点)」