富山「羽根屋 純米吟醸生原酒 富山産雄町」サシの入った肥えた甘旨味が艶っぽく舞う | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

自宅の晩酌に富山市の富美菊酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

4本目はこれです。

 

 

羽根屋(はねや)純米吟醸生原酒 富山産雄町」。

 

2012年から完全四季醸造に切り替えて、一年中フレッシュなお酒を出荷してブランド価値を高めてきた羽根屋のお話は、空太郎がSAKEStreetに記事を書きましたので、是非、お読み下さい。

ここでは、そこに書き切れなかったお話を紹介します。

 

羽根屋の酒質向上に心を砕いている蔵元杜氏の羽根敬喜さんは蒸した掛米用の米をなるべく手運びし、エアシューターは使わないようにしています。

しかし、総米600㌔&750㌔だと最後の留め仕込みの掛米の量が半端なく多いので、やむなくこの時だけはエアシューターを使っていました。

しかし、四季醸造に切り替えた時、夏場(5~9月)のエアシューター使用をためらったのだそうです。

 

 

羽根さんは、

「気温が高い時期にエアシューターの内部がどうなっているか不安でなりませんでした。

 他の酒蔵ではオゾンを使ってエアシューターの内部の除菌に取り組んでいる例もあって、見学にも行きましたが、どうにも納得ができないので、結局、夏場はエアシューター使用を止め、全量、手運びにしています。

 蔵人の負担には心を痛めています」

 と話していました。

 

エアシューターの話は多くの酒蔵で聞きます。雑菌の心配のないエアシューターというものの開発が待たれます。

 

さて、4本目は雄町を使った純米吟醸ですが、なんと地元の富山県産です。

農家の頑張りで栽培に成功したお酒です。

 

 

上立ち香はとろりとした甘い香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にうっすらととろみ層を乗せて、潤いを周囲に放ちながら、忍び入ってきます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス球様の粒々を連射してきます。

粒から滲出してくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味はザラメ糖系の湿潤なタイプ、旨味はサシの入った肥えた印象で、両者は足並みを揃えて、大人の雰囲気を漂わせながら、色っぽい舞いを披露します。

流れてくる含み香はジューシーなすっきりとした香りにコクが加わってデコレート。

後から酸味が適量、渋味が少量現れて、味わいのアクセント役を担います。

甘旨味は終盤まで円熟味を感じる雰囲気で踊りきるのでした。

 

甘さが特徴的でした。

それでは、羽根屋のお酒、5本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年80銘柄目)

銘柄名「羽根屋(はねや)純米吟醸生原酒 富山産雄町 2023BY」

酒蔵「富美菊酒造(富山市)」

分類「純米吟醸酒」「生酒」「原酒」

原料米「富山県産雄町」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=4000円」

評価「★★★★★★(7.7点)」