新潟「月不見の池 純米吟醸 生原酒 中取り」清潔な甘旨味と品のいい酸味が競演する | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
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新潟に用事ででかけました。

知人と一杯やることになり、選んだお店が「越後一会 十郎」でした。

ここは新潟の地酒がきっちりそろっていることを自慢にしているお店で、以前来たことがあったので、再訪したわけです。

しかし、メニューをみると、スペック表示がなく、銘柄名だけが羅列されており、いささかためらいながら、お酒を頼んでいきました。

5本目はこれです。

 

 

月不見の池(つきみずのいけ)純米吟醸 生原酒 中取り」。

新潟県糸魚川市の猪又酒造さんが醸しているお酒です。

 

猪又酒造の蔵元は五代目の猪又知良さんです。

そして、杜氏は猪股元始さん、さらには頭も猪股公一さんなのです。

一瞬、親戚かなと思ったりもしましたが、そういう関係ではないそうです。

しかし、漢字は違うとはいえ、蔵に同じ読みの苗字の人がいるとやっぱり、それぞれが、肩書きかファーストネームで呼び合っているのでしょう。

 

 

そんな杜氏の猪股さんは、本業は農家です。

糸魚川市早川地区で食米と酒米を栽培しています。

今夜、いただくお酒も猪股さんが作った越淡麗、55%精米の純米吟醸、生原酒。

中取り部分を直汲みしたお酒になります。

 

 

上立ち香はバナナ由来の柔らかい香りが仄かに。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振ってサラサラな感触を振りまきながら、軽快なテンポで滑り込んできます。

受け止めて保持すると、自律的にヘルシーなムードを漂わせながら膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス球様の粒々を速射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系のさらりとしたタイプ、旨味はシンプル無垢で、ややざらつきを秘めた印象で、両者は足並を揃えて、生き生きとしたハーモニーを奏でます。

流れてくる含み香は酢酸イソアミルにプラスアルファの香りが加わってデコレート。

後から良質な酸味と渋味が適量現れて、味わいをピントのはっきりとした世界へと導くのです。

終盤まで甘旨味は疲れを見せずに健やかに踊り、最後に飲み下した後の余韻は短く、爽やかでした。

 

 

中取り酒の魅力一杯でした。

 

お酒の情報(24年73銘柄目)

銘柄名「月不見の池(つきみずのいけ)純米吟醸 生原酒 中取り 2023BY」

酒蔵「猪又酒造(新潟県糸魚川市)」

分類「純米吟醸酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」「中取り酒」

原料米「地元産越淡麗」

使用酵母「不明」

精米歩合「55%」

アルコール度数「17度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=4180円」

評価「★★★★★(7.6点)」