山口「天美 純米吟醸 生原酒」杜氏不在でも、麗しい味わいに変化なしで安堵した | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

天美(てんび)純米吟醸 生原酒」。

山口県下関市の長州酒造さんが醸しているお酒です。

 

2023BYの造りの直前に杜氏の藤岡美樹さんが退職し、先行きが危ぶまれた今季の造りでしたが、

「短期間で人気銘柄に押し上げたのに、造りを中断してしまえばブランド価値が落ちる。なんとしてでも、造りを続行すべき」

との都内の有力酒販店の社長が取引先の地酒蔵に協力を要請しました。

 

設備面で問題はなく、かつ、3造り分の経過表も残っており、酒造りの続行の鍵は人的支援でした。

力のある蔵人が集まって、酒造りを続行し、12月末から出荷を始めることができました。

そのことについて、長州酒造の岡本晋社長は次の様に話しています。

 

 

今季の酒造りに関しまして、相原酒造様、赤名酒造様、奥出雲酒造様、重家酒造様、金光酒造様、山陽盃酒造様、清水清三郎商店様、白糸酒造様、澄川酒造場様、永山本家酒造場様、新澤醸造店様、西酒造様、みいの寿様には、ご指導やアドバイスをいただきました。

 

もっとも支援をしたのは新澤さんのところと聞いています。

 

さて、いただく新酒は60%精米の純米吟醸、無濾過生原酒です。

 

 

上立ち香はイソアミルの凜々しい香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡を適度に乗せて、伸びやかな雰囲気で忍び入ってきます。

受け止めて保持すると、気泡のプチプチとした破裂をBGMにして、軽快に膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス球様の粒々を速射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系のさらりとしたタイプ、旨味はシンプル無垢で、両者は足並みを揃えて、初々しくチャーミングな舞いを披露します。

流れてくる含み香はマスカット主体の芳しい香りで適度にデコレート。

後から酸味は適量、渋味が少量現れて、理想的なメリハリを施します。

甘旨味は終盤まで気持ちよさそうに踊りきるのでした。

 

前季と遜色の無い仕上がりでした。

安心しました。

2024BYには次の杜氏が決まっていてほしいです。

 

お酒の情報(24年62銘柄目)

銘柄名「天美(てんび)純米吟醸 生原酒 2023BY」

酒蔵「長州酒造(山口県下関市)」

分類「純米吟醸酒」「生酒」「原酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「720ml=1980円」

評価「★★★★★★(8.0点!)」