長野「十六代九郎右衛門 生もと純米生原酒 金紋錦」むっちりとした妖艶な甘旨味が主役を張る | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

長野県木祖村で美酒を醸す湯川酒造店さんのお酒をまとめて取り寄せて飲み比べをしました。

5本目はこれです。

 

 

十六代九郎右衛門(じゅうろくだいくろうえもん)生もと純米生原酒 金紋錦」。

 

IWCのお話の続きです。

今回、「チャンピオンサケ」を獲得できたことについて、蔵元杜氏の湯川慎一さんは次のように話しています。

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IWCについては、2017年に初めてゴールドをもらい、2020年に地域トロフィーを獲得するといった具合に少しずつ階段を上がってきました。

そして、今回、初めて純米吟醸部門でトロフィーをもらいました。

これは嬉しかったですね。

長野県の鑑評会で一位を取るよりも達成感があったのですが、それは評価を受けたお酒の米が山田錦ではなく、県産米の美山錦で、かつ、香り系ではない酵母(協会901)で取れたことが大きかった。

 

 

IWCの審査員は約60人いて、ワインの経験値が高い人が多いので、彼らは単純に綺麗な日本酒よりも、個性がある日本酒を評価する傾向があるのかもしれません。

だから、生酛酒母のうちの酒が一位になったし、純米大吟醸でトロフィーを獲得した日輪田も山廃酒母です。

こうした傾向がこれからも続くような気がします。

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さて、5本目は4本目と同じ長野県産金紋錦の純米酒、生酛酒母ですが、火入れではなく、生原酒です。

 

 

上立ち香は濃醇な太めの甘い香りがとろりと。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にうっすらととろみ層を乗せて、やや重々しく忍び入ってきます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散しながら、やや大振りの粘度の高い粒々を次々と射掛けてきます。

粒から現出してくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味は水飴っぽいものの流動性はあるタイプ、旨味は複数のコクが重なり合った印象で、両者は端から融合しながら妖艶な世界を描きます。

流れてくる含み香も厚めのある甘い香りでデコレート。

後から酸味と渋味が少量現れて、わずかにメリハリを付与。

甘旨味は終盤まで主役の位置を守り、むっちりとした世界を描き切るのでした。

 

生原酒ゆえのいささかヘビーな仕上がりでした。

それでは、湯川酒造店さんのお酒、6本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年56銘柄目)

銘柄名「十六代九郎右衛門(じゅうろくだいくろうえもん)

生もと純米生原酒 金紋錦 2022BY」

酒蔵「湯川酒造店(長野県木祖村)」

分類「純米酒」「生酒」「原酒」「生酛酒」

原料米「金紋錦」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=3900円」

評価「★★★★★(7.6点)」