長野「十六代九郎右衛門 生もと純米 愛山」奥床しい甘旨味がジューシーな香りと朗らかに舞う | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

長野県木祖村で美酒を醸す湯川酒造店さんのお酒をまとめて取り寄せて飲み比べをしました。

3本目はこれです。

 

 

十六代九郎右衛門(じゅうろくだいくろうえもん)生もと純米 愛山 火入原酒」。

IWCのお話の続きです。

トロフィーを受賞した蔵は7月にロンドンで行われるチャンピオンサケ発表会に出席するか否かを迫られます。

 

湯川酒造店の湯川慎一さんも大いに迷ったそうです。

それは他の酒蔵も同じで、この時は普段から交流の深い長野県の大雪渓酒造(銘柄=大雪渓)と小野酒造店(銘柄=夜明け前)もトロフィーを受賞しており、「おたくは行くの?行かないの?」といった打診もきました。

また、純米大吟醸でトロフィーを獲得した萩野酒造(銘柄=日輪田)などは蔵元の佐藤曜平さんが奥様とお子様も連れて行くとの話もあり、湯川さんも夫婦で行くことも検討して旅行会社に見積もりを出してもらったりもしていたそうです。

 

 

しかし、最終的には慎一さん1人で行くことになったのですが、

「結果的には幸いしました。7月5日の朝(日本時間)にチャンピオンが決まると、その日の朝から蔵の電話が鳴り止まない事態になり、もし、家内(尚子社長)もロンドンに行っていたら、蔵人だけでは収拾がつかなくなっていたと思います。そんな事態にならなくてほんと、よかったです」

と慎一さんは話しています。

 

さて、3本目は兵庫県産愛山65%精米の純米酒、生酛酒母の火入れです。

 

 

上立ち香は綺麗でジューシーな甘い香りが鼻腔を撫でます。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、ツルツルの感触をアピールしながら、まっしぐらに滑り込んできます。

受け止めて保持すると、自律的にリズミカルに膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はサシの入ったやや太めのタイプ、旨味は複数のコクが織り上がった印象で、両者は足並みを揃えて、奥床しく踊ります。

流れてくる含み香はフレッシュジュースの爽やかな甘い香りでデコレート。

後から酸味と渋味が少量現れて、適度なメリハリを付与。

味わいは終盤までバランスの良い馥郁とした世界が描かれ、飲み下した後の余韻も適度に短く爽快なものでした。

 

それでは、湯川酒造店さんのお酒、4本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年54銘柄目)

銘柄名「十六代九郎右衛門(じゅうろくだいくろうえもん)

生もと純米 愛山 火入原酒 2022BY」

酒蔵「湯川酒造店(長野県木祖村)」

分類「純米酒」「生酛酒」

原料米「愛山」

使用酵母「不明」

精米歩合「65%」

アルコール度数「13度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=4360円」

評価「★★★★★(7.7点)」