長野県木祖村で美酒を醸す湯川酒造店さんのお酒をまとめて取り寄せて飲み比べをしました。
2本目はこれです。
「十六代九郎右衛門(じゅうろくだいくろうえもん)生もと純米 赤磐雄町 火入原酒」。
IWCのお話の続きです。
IWCは発表を二段構えにしており、5月にまずは、それぞれの部門の結果を発表します。
9部門ごとにナンバーワンである「トロフィー」受賞酒が決まるわけです。
2023年の場合、次のような結果でした。
普通酒 菊正宗
本醸造 あたごのまつ
純米 あたごのまつ
純米吟醸 十六代九郎右衛門
純米大吟醸 日輪田
吟醸 大雪渓
大吟醸 夜明け前
古酒 華鳩
スパークリング 竹葉
そして、その中からナンバーワンである「チャンピオンサケ」が決まるわけですが、その発表は7月。
ロンドンで発表会があるのですが、主催者側としては、トロフィーを取った酒蔵が全員参加しての発表会にしたいので、ロンドンに来て欲しい旨を打診してきます。
しかし、ロンドンへ行くのは招待ではなく(ケチですね)、旅費は酒蔵の自己負担ですから、蔵元としては無駄骨(?)になりたくないので、事務局に接触して、情報を得ようとしますが、「一切、何も教えてもらえませんでした」と湯川慎一さんは振り返ります。
この舞台裏は誰も明らかにしていないので、憶測でしか物を語れませんが、トロフィーの発表の段階でチャンピオンサケは決まっているのではないかと見る向きが多いです。
ただし、チャンピオンサケに決まっている酒蔵がロンドンへ行かないという選択肢を取ると、自動的に次点の蔵がチャンピオンサケになるのではないかとの噂も根強いのです。
何せ、過去にチャンピオンサケを獲得した酒蔵が発表会の場を欠席したという例がないからです。
お話の続きは、次回へ。
2本目は岡山県産赤磐雄町65%精米の純米酒、生酛酒母の火入れです。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、ツルツルの感触を振りまきながら、まっしぐらに転がり込んできます。
受け止めて保持すると、促されるままに素直にテンポ良く膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。
甘味は個性的で濃醇なタイプ、旨味は複数のコクが複層化している印象で、両者は共にエネルギッシュに中太の世界を描きます。
流れてくる含み香はジュースを煮詰めたような甘い香りでデコレート。
後から酸味が多めに渋味が適量現れて、味わいは最大限にカラフルな世界へと誘います。
終盤まで活力は失わず、ヘルシーで元気な世界を描き切るのでした。
魅惑的な生酛酒でした。
それでは、湯川酒造店さんのお酒、3本目をいただくことにします。
お酒の情報(24年53銘柄目)
生もと純米 赤磐雄町 火入原酒 2022BY」
酒蔵「湯川酒造店(長野県木祖村)」
分類「純米酒」「生酛酒」
原料米「赤磐雄町」
使用酵母「不明」
精米歩合「65%」
アルコール度数「13度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「1800ml=3540円」
評価「★★★★★(7.7点)」