長野「十六代九郎右衛門 IWC2023 チャンピオンサケ」温厚な甘旨味の優等生的な舞い | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

長野県木祖村で美酒を醸す湯川酒造店さんのお酒をまとめて取り寄せて飲み比べをしました。

1本目はこれです。

 

 

十六代九郎右衛門(じゅうろくだいくろうえもん)IWC2023 チャンピオンサケ 純米吟醸 美山錦」。

 

このお酒は表記にあるように、英国で毎年開かれている酒類コンクール、IWC(インターナショナル・ワインチャレンジ)2023で、日本酒部門のナンバーワンとなる「チャンピオン・サケ」を獲得したお酒です。

 

発表されたのは2023年7月で、すでに同じスペックのお酒は蔵の在庫も少なかったので、「少しでも多くの人に行き渡るように」との蔵元の思いから、375mlの小瓶に詰め直し、ラベルも新しくして発売したのです。

プラスチックケースの裏側には蔵元夫妻の喜びが溢れた説明書きがありますので、そのままご紹介します。

 

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IWCのSake部門において、チャンピオン・サケを獲得し、世界一の評価を頂きました。

湯川酒造店の自然環境を活かし、培った独自の技術により、醸した素晴らしい味わいです。

“木祖村×生酛仕込”は、私たち、そして地域の活力となり続ける技術であると確信しています。

私たちは、すべてのご縁に感謝をし、これからも「造り手の誇り」を持ち、木曽路からつながる未来を醸し続けます。

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ほんとうにおめでとうございます。

 

地元産美山錦55%精米の純米吟醸、生酛酒母の一回火入れです。

 

 

上立ち香は抑制の利いた柔らかく薄甘い香りが仄かに。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に薄らととろみ層を乗せて、おっとりとした雰囲気で忍び入ってきます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に流麗なテンポで膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系のヘルシーなタイプ、旨味は適度なコクが折り重なった印象で、両者は足並みを揃えて、ゆったりとナチュラルな舞いを披露します。

流れてくる含み香は薄甘い香りで薄化粧を付与。

後から酸味と渋味が少量現れて、明快なメリハリを施します。

甘旨味は優等生的な乱れの無い舞いを終盤まで続け、最後は反転縮退して昇華して行きました。

 

美酒には違いありませんが、普段の個性的な十六代九郎右衛門に比べると大人しい気がしました。

それでは、湯川酒造店さんのお酒、2本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年52銘柄目)

銘柄名「十六代九郎右衛門(じゅうろくだいくろうえもん)

IWC2023 チャンピオンサケ 純米吟醸 美山錦 2022BY」

酒蔵「湯川酒造店(長野県木祖村)」

分類「純米吟醸酒」「生酛酒」

原料米「美山錦」

使用酵母「不明」

精米歩合「55%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「375ml=3410円」

評価「★★★★★(7.6点)」