広島「華鳩 生酛 純米吟醸原酒」典型的な山廃らしいこってりネチネチとした味わいが広がる | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

酔い人「空太郎」の日本酒探検

意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

中南米方面に旅行に行って参りました。

成田空港第1ターミナルのプレミアムラウンジで2つの日本酒を堪能し、「これで、しばらく日本酒とはお別れだな」と感じながら、メキシコシティ行きのアエロメヒコB-787に乗り込んだのです。

 

出発が正午で、水平飛行に入るとすぐに昼食の提供が始まりました。

日本酒同様、しばらくご無沙汰になる和食を選び、ダメモトでCAに「日本酒はありますか?」と聞くと、朗らかに「はい!ございます」と日本人CAの返事でした。

「ボトルも見たいので、お願いします」と頼んでやってきたのがこのお酒でした。

 

 

華鳩(はなはと)生酛 純米吟醸原酒」。

広島県呉市の榎酒造さんが醸しているお酒でした。

 

これには空太郎も心底驚きました。

 

そもそも、日本発のエアラインであっても、日本航空と全日空以外の海外の航空会社の場合、「和食も提供しているのだから、それに合う日本酒も用意しよう」という熱意を持っている会社は非常に少ないです。

あったとしても、おざなりに超大手のテキトーなお酒しか出てきません(すべてのエアラインに乗っていないので例外があるかもしれませんが)。

 

 

それなのに、日本発は一日1便のみのアエロメヒコが日本酒を置いているのにも期待していなかったのです。

なので、運ばれてくる前は「どんな銘柄がでてくるのか」とワクワクしました。

そうしたら、空太郎はもちろん飲んだことがある酒でしたが、首都圏で見かけることはほとんどない広島でもマイナーな華鳩さんだったので、

「いったい、どういう経緯でアエロメヒコはこのお酒を選んだのだろう。しかも、速醸ではなく生酛とは」

と頭をグルグルさせたのでした。

 

 

真相は現時点で不明ですが、やはり、蔵元とアエロメヒコの関係者の誰かが密な関係にあるのだろうと推測したわけです。

 

兵庫県産山田錦60%精米の生酛酒母、純米吟醸原酒、火入れです。

 

 

上立ち香から粘っこい酸渋混じりの甘い香りが。

口に含むと中程度よりもひとまわり大きな旨味の塊が、平滑になった表面にぶ厚くとろみ層を乗せて、重々しい雰囲気で忍び入ってきます。

受け止めて保持すると、ヘビーな雰囲気を放ちながら膨らみ、拡散して、大振りな粘り気の強い粒々を次々と射掛けてきます。

粒から現出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は水飴系の濃いタイプ、旨味も多彩なコクが複層化している印象で、両者は端から混じり合って熱帯のカラフルな世界を描きます。

流れてくる含み香も濃醇な香りで賑やかに囃すのです。

後から酸味と渋味もたっぷりと現れて、味わいはさらに賑やかなカーニバルへと転じていくのです。

終盤までこってりとした世界が続き、飲み下した後の余韻も太く残るのでした。

 

機内食の洋食にも合うようにと配慮した結果なのでしょうか?。

あるいは、1人の乗客(空太郎のような)が「美味い、美味い」とお代わりを重ねて、4合瓶1本を空にされないための対策(実は空太郎は以前、日本のエアラインでそれをしてしまいました)なのかもしれません。

もちろん、日本酒を置いてあっただけでも感謝しております。

 

お酒の情報(24年51銘柄目)

銘柄名「華鳩(はなはと)生酛 純米吟醸原酒 2022BY」

酒蔵「榎酒造(広島県呉市)」

分類「純米吟醸酒」「原酒」「生酛酒」

原料米「兵庫県産山田錦」

使用酵母「協会7号」

精米歩合「60%」

アルコール度数「16.5度」

日本酒度「+7」

酸度「2.15」

情報公開度(瓶表示)「◎」

標準小売価格(税込)「1800ml=3740円」

評価「★★★★(7.4点)」