不動産・ホテル・介護などを手掛けるシマダグループ(東京)が東京・浅草に、滞在中(チェクインからチェックアウトまで)、日本酒が飲み放題(ビール含む)のホテル「SAKE Bar Hotel ASAKUSA」を2023年12月オープンしました。
提供する日本酒は2020年に傘下に収めた吉川醸造(神奈川県伊勢原市)のお酒。主に訪日外国人観光客を呼び込むことを狙っていますが、どのようなサービス内容なのか、どんなお酒が飲めるのか、知りたくて実際に泊まってみました。
その報告をしつつ、いただいた、吉川醸造のお酒をご紹介します。
3本目はこれです。
17時で一旦ラウンジが閉まったので、最上階の10階に向かいました。
エレベーターを降りると正面にミニ酒バーがあって、1階とは異なるラインナップの吉川醸造のお酒が3種、飲み放題になっていました。
枡にお酒を注いでオープンエアの足湯に進みます。
カウンターもあるので、お酒を置いて、お湯に足をつけながら、夕闇迫る浅草の街を眺めます。
8人が座れる広さです。
スカイツリーも指呼の中にあり、暗くなるとライトアップが幻想的な雰囲気を放っていました。
風がない日だったので足が温かく、長時間いることができましたが、風雨が強い日は利用できないようです。
18時には1階のナイトラウンジが始まるので、あらかじめ近くの百貨店で購入した弁当を持って、向かいます。
ホテル側としては外に食べに行く前に少し飲む、あるいは外食後、寝る前にもう1杯やるという利用方法を想定していますが、食べ物を買って、ここで持ち込んで、ラウンジで宴を開いても構わないそうで、お言葉に甘えました。
夜の部のサービスの食べ物は昼間に引き続きのおでん、乾き物。それに冷凍食品のたこやきがあり、電子レンジで温めて食べることができました。
カップ麺もありましたが、それはパスしました。
飲み物はカウンターに移され、日本酒は昼間の3種にひやおろしが加わっていました。
ラウンジは22時までいられますが、さすがにそこまでは持たず、20時過ぎには部屋に戻って、眠りにつきました。
3本目にいただいたのは、愛山の90%精米の純米酒ですが、ほんのわずか古代米を加えることでわずかに薄赤い色をつけています。
酵母は農大のつるばらの花酵母です。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に薄らととろみ層を乗せて、ヘルシーな雰囲気でまっしぐらに滑り込んできます。
受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散しながら、ガラス玉様の粒々を速射してきます。
甘味は高純度のザラメ糖系のタイプ、旨味はシンプル無垢で、両者は足並を揃えて、潤いたっぷりのエモーショナルな舞いを披露します。
後から酸味と渋味が少量現れて、くっきりとしたメリハリを施します。
隙の無い天真爛漫な世界が描かれ、飲み下した後の余韻も意外とすっきりしたものでした。
今夜の3つの酒はすべてが挑戦酒といえ、それを見事にハイレベルな仕上がりを見せていました。
吉川醸造のお酒は今後に大いに期待します。
お酒の情報(24年48銘柄目)
銘柄名「雨降(あふり)花酵母のおはなさけ 純米 2022BY」
酒蔵「吉川醸造(神奈川県伊勢崎市)」
分類「純米酒」」
原料米「愛山+古代米」
使用酵母「つるばら花酵母」
精米歩合「90%」
アルコール度数「14度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「720ml=2500円」
評価「★★★★★(7.6点)」