不動産・ホテル・介護などを手掛けるシマダグループ(東京)が東京・浅草に、滞在中(チェクインからチェックアウトまで)、日本酒が飲み放題(ビール含む)のホテル「SAKE Bar Hotel ASAKUSA」を2023年12月オープンしました。
提供する日本酒は2020年に傘下に収めた吉川醸造(神奈川県伊勢原市)のお酒。主に訪日外国人観光客を呼び込むことを狙っていますが、どのようなサービス内容なのか、どんなお酒が飲めるのか、知りたくて実際に泊まってみました。
その報告をしつつ、いただいた、吉川醸造のお酒をご紹介します。
1本目はこれです。
ホテルの場所は浅草雷門から南へ徒歩10分ほど。新築の鉄筋コンクリート10階建て。
1階がチェックインカウンター兼バーカウンターと簡易厨房。
10階が貸切サウナとオープンエアの足湯(カウンター付)とミニ酒バー。
2~9階が客室で全21室。
夕食なし、朝はおにぎりとインスタント味噌汁がサービスされます。
一人一泊の料金は18000円(10㎡)から43200円(27㎡)でした。
ビルの一階部分の入口周辺は黒い木材を使った古い商家の玄関を思わせます。
両側に酒林がぶら下がっており、玄関を入るとL字型の木製のカウンターが目に飛び込んできます。
カウンターの背後には日本酒の一升瓶やグラスが並び、天井付近には巨大なしめ縄が飾られており、神社を参拝するような厳かなムードを醸していました。
外国人観光客が喜びそうです。
カウンターの左端がチェックインの場所で、Ipadを使ってセルフチェックインをします。
自動的に部屋のカードが出てきて、スタッフが近づいてきて、ホテルのサービス内容を詳しく説明してくれるとともに、木製の枡が渡されます。
この枡が宿泊者の証となり、日本酒はこれに入れて吞むようにと言われます。
英語のパンフレットが常備されていました。
カウンター脇のスペースが自由吞みスペースで、部屋に入る前に早速、1本目のお酒をいただくことにしました。
愛山60%精米の水酛仕込ということは奈良の菩提酛仕込みですから、いわゆる乳酸菌に乳酸を造らす生酛系酒母で、かつ、酵母無添加の挑戦的なお酒、火入れです。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にぶ厚くブヨブヨのとろみ層を乗せて、ゆっさゆっさと揺れながら、転がり込んできます。
受け止めて保持すると、とろみ層を一気に崩して無数のウエットな粒々となって、口の中いっぱいに四散してきます。
甘味は非常に上質ながら色気たっぷりのムード、旨味はシンプルで甘味に寄り添い、主役は端から甘味が張るのです。
後から酸味が適量、渋味が少量現れて、そこかしこで甘旨味に溶け込んで、味わいをさらに多彩に賑やかなレベルへと引き揚げるのです。
味わいは終盤まで賑やかに、アバンギャルドな世界が描かれ続けるのでした。
非常に面白く、ユニークなお酒です。それでは、吉川醸造のお酒、2本目をいただくことにします。
お酒の情報(24年46銘柄目)
銘柄名「雨降(あふり)純米 水酛仕込 愛山 2022BY」
酒蔵「吉川醸造(神奈川県伊勢崎市)」
分類「純米酒」「水酛酒」「原酒」
原料米「愛山」
使用酵母「酵母無添加」
精米歩合「60%」
アルコール度数「13度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「2500円(720ml)」
評価「★★★★★(7.7点)」