埼玉「晴雲 純米吟醸」茫洋とした甘旨味がどんよりと舞う | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

晴雲(せいうん)純米吟醸」。

埼玉県小川町の晴雲酒造さんが醸しているお酒です。

 

明治35年(1902)創業の晴雲酒造は長年、創業家である中山家が事業を繋いできましたが、売り上げ低迷の所にコロナ禍がやってきたため、2020年8月、すき家などを展開するゼンショーホールディングスに身売り(売却)しました。

外食事業を多角的に展開するゼンショーから見れば、傘下の店舗で提供する日本酒に晴雲を加えれば、低迷していた売り上げのテコ入れができると見ての買収だと思われます。

 

 

実際、回転寿司のはま寿司では日本酒は晴雲のみが提供されていますし、和食チェーンの華屋与兵衛では八海山や菊水と並んで晴雲のお酒が2銘柄(本醸造と普通酒)置いてあります。

ゼンショーの営業力で各地の百貨店での販売会の頻度も増えています。

 

ただし、酒造りについては何か変革があったのか、発信がないのでわかりませんが、今回試しに購入したこのお酒の裏ラベルには「新たな麹造りに挑戦し、生まれ変わった純米吟醸」とあります。

 

麹米に長野県産美山錦、掛米に埼玉県産の彩のきずなを使った純米吟醸、火入れです。

 

 

上立ち香は地味な酒エキスの香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触をアピールしながら、のっそりとした雰囲気で忍び入ってきます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのウエットな粒々を次々と射掛けてきます。

粒から現出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はやや太めでとろりとしたタイプ、旨味は複数のアミノ酸の凹凸が目立つ印象で、両者は茫洋とした雰囲気でどんよりとした舞いを披露します。

流れてくる含み香は酒エキスの香りにわずかに芳しい香りが加わって。

後から来るのはほんのかすかな渋味のみで、隠し味役に留まり、終盤まで平凡で単調な世界が描かれるのみでした。

 

 

ゼンショーの力をもってすれば、埼玉ナンバーワンの地酒蔵にすることができるはずです。

奮起を期待します。

 

お酒の情報(24年45銘柄目)

銘柄名「晴雲(せいうん)純米吟醸 2022BY」

酒蔵「晴雲酒造(埼玉県小川町)」

分類「純米吟醸酒」

原料米「麹米=美山錦、掛米=彩のきずな」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「2860円(1800ml)」

評価「★★★★(7.3点)」