自宅の晩酌用に京都市左京区の松井酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。
2本目はこれです。
大正末期から酒造りを行っていた左京区吉田河原町で酒造りの再開を決意した14代蔵元の松井八束穂さんは、息子で他の仕事をしていた松井治右衛門(当時は松井成樹)さんを呼び戻して、復活へ向けての可能性を探ります。
高度成長期には悪化していた井戸水の水質は改善していることから、1997年に建設したマンションの一角を酒造りの候補地に。資材関連会社に貸していた1階のフロアを活用することとし、同じようにビルの一角で酒造りをしていた広島の原本店(蓬莱鶴蔵)へ見学に行きました。
原本店では狭いスペースで酒造りを果たすために、いろいろな工夫を施しており、その最たるものは麹室の代わりに簡易テントの中で麹造りをしていることでした。
これを見た松井親子は「酒は造ろうと思えば、どこでもできるのだな」と感じたそうです。
しかも、その時飲んだお酒が美味しく、「制約があっても美酒は造れる」と確信したのでした。
さて、2本目は1本目と同じ祝65%精米の純米酒ですが、使っている酵母が京都酵母の「京の恋」です。
口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にうっすらととろみ層を乗せて、淡々とした態度で滑り込んできます。
受け止めて保持すると、自律的に優雅な雰囲気で膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのやや粘っこい粒々を速射してきます。
甘味はやや粘り気の強い水飴っぽいタイプ、旨味も複数のコクが重なり合って厚めになっており、両者は足並みが揃わず、歪んでアンバランスな舞いを披露します。
流れてくる含み香はフレッシュな麹バナに厚めの甘い香りがミックスして。
後から酸味と渋味は僅少現れて、これが局所的に甘旨味に溶け込んで味わいに変化をつけるのです。
終盤までその状態は変わらず、最後に飲み下した後の余韻はやや粘っこく伸びるのでした。
いささか減退感がありました。
それでは松井酒造のお酒、3本目をいただくことにします。
お酒の情報(24年41銘柄目)
銘柄名「神蔵(かぐら)クリア65 純米 無濾過生原酒 2023BY」
酒蔵「松井酒造(京都市左京区)」
分類「純米酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」「中汲み酒」
原料米「祝」
使用酵母「京の恋」
精米歩合「65%」
アルコール度数「15度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「2365円(720ml)」
評価「★★★★(7.4点)」