京都「神蔵 ルリ65 純米生酒」しっかりサシの入った濃い目の甘旨味が凜々しく踊る | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

自宅の晩酌用に京都市左京区の松井酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

1本目はこれです。

 

 

神蔵(かぐら)ルリ65 純米 無濾過生原酒」。

 

松井酒造はいわゆる復興蔵です。

 

創業は1726年と古いです。

兵庫県香美町香住区で酒造りを始め、江戸時代末期に京都の河原町に移転してきました。

大正末期に道路の拡幅に伴って移転を迫られ、鴨川の対岸の現在の地である左京区吉田河原町に移ってきました。

 

その後、一番多い時で1500石を造っていましたが、周辺の鉄道の地下工事などで水脈が衰えたことから、1970年代に他の酒蔵と一緒に共同醸造所を伏見区城陽に建設して(集約製造)、現在の地での酒造りを止めました。

 

 

1997年には古い蔵を取り壊して、マンションを建設して、不動産のオーナーとして松井家は存続してきました。

ところがその後、先代(14代目蔵元)の松井八束穂さんが「もう一度、ここで酒を造ろう」と決意。

2009年から酒造りを再開させています。

そこまでの経緯については、次回。

 

1本目のお酒は京都産の酒造好適米、祝の65%精米の無濾過生原酒で中汲みです。

 

 

上立ち香は生酒らしいやや太めの甘い香りがしっかりと。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡を包含したとろみ層を適度に乗せて、キビキビとした雰囲気で忍び入ってきます。

受け止めて保持すると、気泡のわずかな破裂を背景にして、軽快なテンポで膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのウエットな粒々を連射してきます。

粒から滲出してくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味はやや粘り気のある濃醇なタイプ、旨味も複数のコクが織り上がって厚めになっており、両者は足並みを揃えて、太くて濃い目のハーモニーを奏でるのです。

流れてくる含み香もフレッシュな麹バナに厚めの甘い香りがミックスして。

後から酸味は僅少、渋味がやや多めに現れて、太めの味わいにくっきりとしたメリハリを付けるのです。

味わいは濃い目ながらも余り広がらずにスリムな舞いに終始し、最後は反転縮退して喉の奥へと吸い込まれて行きました。

 

魅力的な生原酒でした。

それでは、松井酒造のお酒、2本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年40銘柄目)

銘柄名「神蔵(かぐら)ルリ65 純米 無濾過生原酒 2023BY」

酒蔵「松井酒造(京都市左京区)」

分類「純米酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」「中汲み酒」

原料米「祝」

使用酵母「不明」

精米歩合「65%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「2365円(720ml)」

評価「★★★★★(7.8点)」