自宅の晩酌用に京都市左京区の松井酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。
3本目はこれです。
左京区吉田河原町のマンションの1階に醸造所を造ることを決める傍ら、息子の松井治右衛門さんは2008BYの1シーズン、黄桜の三栖蔵で酒造りを学びます。
黄桜とは以前から繋がりがあったようですが、なんという巡り合わせか、実はこのタイミングで黄桜は2000年に東京・台場に開いた日本酒蔵・黄桜台場醸造所の閉鎖を決めていたのです。
黄桜台場醸造所は広さが52㎡と狭い場所での醸造で、各種設備も小仕込み用の物で、松井酒造にとってはぴったりの物があり、それを譲り受けています。
1400㌔㍑の仕込みタンク3本と搾り機(藪田製)が台場から京都に運ばれてきています。
松井さんは黄桜で数年学びたかったようですが、復興1年目から将来の蔵元杜氏はいた方がいいという父上の考え方があり、その代わりに、最初の3造りだけは、石川・宗玄蔵と黄桜で杜氏をしていた道高良造さんを招聘し、酒造りをスタートさせたのでした。
一年目は総米220㌔の仕込み4本だけのスタートでしたが、復興蔵の噂を聞きつけた人が多くて、順調な滑り出しとなっています。
さて、3本目は米が五百万石50%精米の純米大吟醸、無濾過生原酒、中汲みです。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡をわずかに纏ったとろみ層を乗せて、雅な雰囲気で忍び入ってきます。
受け止めて保持すると、促されるままに素直に気泡の破裂と共に膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。
甘味はザラメ糖系の奥行きのあるタイプ、旨味はシンプル無垢な素直で滑らかな印象で、両者は足並みを揃えて、流麗な世界を描きます。
甘旨味のチャーミングなワルツが続き、終盤になると反転縮退して終幕を迎えるのでした。
それでは松井酒造のお酒、最後の4本目をいただくことにします。
お酒の情報(24年42銘柄目)
銘柄名「神蔵(かぐら)純米大吟醸 五百万石 無濾過生原酒 2023BY」
酒蔵「松井酒造(京都市左京区)」
分類「純米大吟醸酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」「中汲み酒」
原料米「五百万石」
使用酵母「不明」
精米歩合「50%」
アルコール度数「15度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「1990円(720ml)」
評価「★★★★★(7.5点)」