自宅の晩酌にお酒を選びました。
これです。
「天美(てんび)特別純米」。
山口県下関市の長州酒造さんが醸しているお酒です。
廃業寸前だった蔵を太陽光発電システムなどを手掛ける地元の大手メーカー、長州産業が買い取って、まっさらの新しい酒蔵を作り、杜氏に女性の藤岡美樹さんを招いて、酒造りを始めたのが2020年の年の暮れからでした。
酒造りが始まる前から話題になって注目され、さらにデビューしたお酒のレベルの高さから、1年目から大ブレーク。
2年目、3年目も設備を次々と増強して増産を図り、3年で1000石蔵に近づいていました。
その矢先の昨年(2023)暮れに藤岡さんの退任が明らかになりました。
実は空太郎の耳には昨年9月には藤岡さんが辞めるとの話が入っていました。
最大の理由は蔵人たちとの不和。
ハラスメントの内容はあれこれ憶測も混じっていて不明ですが、酒造りの根幹は「和醸良酒」なので、それに反していれば、いずれはこうしたことになるのだと思います。
藤岡さんの退任が急だったため、次の杜氏を手当てできず、岡本社長は2023BYの造りを断念しようかと検討したようですが、多くの酒蔵や酒販店の協力で、醸造規模は減りますが、なんとか「天美」を続行できる態勢が整ったようです。
3造りであえなく「藤岡美樹の天美」は終了です。
そこで、2022BYの「天美」を探し、入手して飲んで見ることにしました。
口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡を僅かに纏って、元気よく滑り込んできます。
受け止めて保持すると、自律的に軽快なリズムで膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。
甘味は上白糖系のさらりとしたタイプ、旨味はシンプル無垢でシルキータッチの印象で、両者は仲良く、完璧なバランスのハーモニーを奏でます。
味わいは終盤まで澄み切った青空を思わせるクリア感が満載で、飲み下した後の余韻はも短く、爽快でした。
ブランドとしての「天美」が今後どのような運命をたどるのか、注視したいと思います。
お酒の情報(24年23銘柄目)
銘柄名「天美(てんび)特別純米 2022BY」
酒蔵「長州酒造(山口県下関市)」
分類「特別純米酒」
原料米「不明」
使用酵母「不明」
精米歩合「60%」
アルコール度数「15度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「720ml=1820円」
評価「★★★★★★(8.0点)」